西日本豪雨3か月 被災地はいま① 広島 仮設住宅 水怖い 将来不安
220人以上の死者を出した西日本豪雨から6日で3カ月になります。被災者の生活再建や地域復興への課題、現状を各地からリポートします。
西日本豪雨で多くの被災者が9月から仮設住宅での生活を始めています。広島県では建設型仮設住宅で164世帯、民間アパートなどの借り上げ型仮設住宅で662世帯が暮らしています。日本共産党や被災者支援センターは、仮設住宅を訪問し、住民の要望を聞き、行政へ伝え、生活改善へ力を尽くしています。
階段の段差が高くブロックを持ってきたと奥田市議(左)に語る男性=9月29日、広島県呉市
顔洗うと
土砂災害で甚大な被害を受けた呉市天応の海沿いに建設された仮設住宅では―。
79歳の男性と妻は発災の時、水に漬かったまま救助を4時間待ち続けた末に救出されました。2人とも体温が下がって救急車で病院に搬送され、1週間入院しました。男性は「海のすぐそばの仮設住宅だから、台風が来るたびに高潮がこないか心配だ」といいます。
仮設住宅の玄関は2段の階段がついています。1段1段が高いため、足の悪い妻への負担をやわらげようと、ブロックを敷き3段にしています。通院のため車は必需品ですが、車は浸水で使い物にならず、中古の軽自動車を買いました。夫婦とも「元いた場所は恐ろしくて住めないし仮設も2年しかおれん。どうしたらいいんでしょう」と不安を口にします。
母親の仮設入居の準備をしていた女性は「母は顔を洗うために手ですくった水を見ても、豪雨のことを思い出し怖がる」と説明しました。対話した青年ポランティアセンターのメンバーは「仮設住宅で復興が進んでいるというイメージがあるが、心の復興の大切さを実感している」と感想を話しています。
59歳の1人暮らしの男性は「電化製品はすべて泥水でだめになった。弁当を温めたりしたいので、電子レンジが支給されると助かる」と話しました。
日本共産党の奥田和夫呉市議は、被災者の声が支援制度を拡充させてきたとし、今後も支援拡充や二度と災害が起こらないための施策を求めていきたいと話しています。
環境変化
三原市の坂の上にある建設型仮設住宅では―。
夫婦で入居する男性(80)は「当面はここにおられるけど、その後が心配。そのことばかり気になる」と顔を曇らせます。男性は車もバイクも浸水で使えなくなりました。自転車で毎日30分以上かけて畑へ通います。仮設住宅からの移動が不便なので不安だといいます。
三原市街地にある借り上げ型仮設住宅では―。
夫婦で暮らす女性(68)は全壊した自宅の片づけに夫と2人で通っています。住み慣れた暮らしからの環境の変化に困惑しています。女性は「仮設に入ったら、住宅の応急修理の支援が受けられないのはおかしい。どちらも受けられるような制度にしてほしい」と話します。家賃がいつ発生するか不安だとも質問。その場で寺田元子市議が最低2年まで提供されると説明すると、女性は「気持ちが少し楽になりました」と話しました。
寺田氏は「いまも避難所生活を余儀なくされている被災者もいます。最後の一人まで、元の生活に戻れるような支援を要求していきたい」と話しています。
(広島県・宮中里佳)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月6日付掲載
水害で、家も車も使い物にならなくなり…
心のケアも必要。寄り添った支援が求められています。
220人以上の死者を出した西日本豪雨から6日で3カ月になります。被災者の生活再建や地域復興への課題、現状を各地からリポートします。
西日本豪雨で多くの被災者が9月から仮設住宅での生活を始めています。広島県では建設型仮設住宅で164世帯、民間アパートなどの借り上げ型仮設住宅で662世帯が暮らしています。日本共産党や被災者支援センターは、仮設住宅を訪問し、住民の要望を聞き、行政へ伝え、生活改善へ力を尽くしています。
階段の段差が高くブロックを持ってきたと奥田市議(左)に語る男性=9月29日、広島県呉市
顔洗うと
土砂災害で甚大な被害を受けた呉市天応の海沿いに建設された仮設住宅では―。
79歳の男性と妻は発災の時、水に漬かったまま救助を4時間待ち続けた末に救出されました。2人とも体温が下がって救急車で病院に搬送され、1週間入院しました。男性は「海のすぐそばの仮設住宅だから、台風が来るたびに高潮がこないか心配だ」といいます。
仮設住宅の玄関は2段の階段がついています。1段1段が高いため、足の悪い妻への負担をやわらげようと、ブロックを敷き3段にしています。通院のため車は必需品ですが、車は浸水で使い物にならず、中古の軽自動車を買いました。夫婦とも「元いた場所は恐ろしくて住めないし仮設も2年しかおれん。どうしたらいいんでしょう」と不安を口にします。
母親の仮設入居の準備をしていた女性は「母は顔を洗うために手ですくった水を見ても、豪雨のことを思い出し怖がる」と説明しました。対話した青年ポランティアセンターのメンバーは「仮設住宅で復興が進んでいるというイメージがあるが、心の復興の大切さを実感している」と感想を話しています。
59歳の1人暮らしの男性は「電化製品はすべて泥水でだめになった。弁当を温めたりしたいので、電子レンジが支給されると助かる」と話しました。
日本共産党の奥田和夫呉市議は、被災者の声が支援制度を拡充させてきたとし、今後も支援拡充や二度と災害が起こらないための施策を求めていきたいと話しています。
環境変化
三原市の坂の上にある建設型仮設住宅では―。
夫婦で入居する男性(80)は「当面はここにおられるけど、その後が心配。そのことばかり気になる」と顔を曇らせます。男性は車もバイクも浸水で使えなくなりました。自転車で毎日30分以上かけて畑へ通います。仮設住宅からの移動が不便なので不安だといいます。
三原市街地にある借り上げ型仮設住宅では―。
夫婦で暮らす女性(68)は全壊した自宅の片づけに夫と2人で通っています。住み慣れた暮らしからの環境の変化に困惑しています。女性は「仮設に入ったら、住宅の応急修理の支援が受けられないのはおかしい。どちらも受けられるような制度にしてほしい」と話します。家賃がいつ発生するか不安だとも質問。その場で寺田元子市議が最低2年まで提供されると説明すると、女性は「気持ちが少し楽になりました」と話しました。
寺田氏は「いまも避難所生活を余儀なくされている被災者もいます。最後の一人まで、元の生活に戻れるような支援を要求していきたい」と話しています。
(広島県・宮中里佳)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月6日付掲載
水害で、家も車も使い物にならなくなり…
心のケアも必要。寄り添った支援が求められています。