狙われる消費税10%⑤ 社会保障破壊 全世代に
安倍晋三政権が消費税増税の口実にするのが社会保障です。
「少子高齢化という国難」に取り組むために「お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと、大きく転換」(10月15日、臨時閣議での首相発言)するといいます。
しかし、安倍政権が行っているのは、全世代に影響を及ぼす社会保障破壊です。そもそも、消費税増税の増収分を社会保障に使ってはいません。高齢化などで当然に増える社会保障費の自然増分すら、毎年の予算編成過程で削り続けてきたことを見れば明白です。それに加え、医療・介護などの制度を次々に改悪し、社会保障費を圧縮してきました。こうして、安倍政権が約6年間に削減した社会保障費は、額が判明した項目だけでも3兆8850億円に達します。(表)
■6年間で社会保障費削減3兆8850億円以上
※削減額が判明しているものだけを計算
生存権を攻撃
生活保護では、生活扶助費を2013~15年度に1600億円(うち国費1200億円)も削減し、18年度以降の3年間でさらに210億円(国費160億円)減らそうとしています。憲法25条が保障した国民の生存権を奪いとる攻撃です。
年金では支給額を3・5%も切り下げ、医療と介護では自己負担を相次いで引き上げました。介護保険への3割負担導入、要支援1~2の主要サービスの保険給付外しなど、影響額が明らかでない制度改悪も数多く強行しました。高齢期の社会保障の後退は、若者の生活設計を大きく狂わせ、老後の不安を深刻化させています。
さらに、財務省は今後、医療と介護に総攻撃をしかける考えを打ち出しています。
国の責任で安心できる年金制度の確立などを求めてパレードする「年金フェスタ」参加者=10月19日、東京都千代田区
生活苦と不安
75歳以上の患者負担を原則1割から2割にし、介護保険の利用者負担を原則1割から2割にするなど、自己負担の全面的な引き上げを狙います。公的医療・介護から国民を遠ざけて社会保障費を削減する思惑です。高額な新薬を保険適用から除外し、要介護1・2の特定サービスを介護保険給付から外すなど、公的医療・介護の範囲そのものを大幅に縮小する方策も掲げます。「皆保険」は名ばかりとなります。
子育て分野では、幼児教育・保育の「無償化」をいいながら、給食費を無償化の対象外にしようとしています。児童手当の所得判定基準を大改悪し、共働き世帯の多くを対象から外す案も示しました。
安倍政権が国民に押し付けているのは、消費税増税と社会保障破壊のダブルパンチです。「お年寄りも若者も安心できる」どころか、若者を含む全世代の生活苦と将来不安に拍車をかけています。
(おわり)(清水渡、杉本恒如、増田哲明、山田俊英が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月27日付掲載
75歳以上の高齢者の患者負担を1割から2割へ、介護保険も1割から2割へ狙うなど、今でも年金カットで生活が苦しいのに許せません。
消費税は全然社会保障のために使われていません。
安倍晋三政権が消費税増税の口実にするのが社会保障です。
「少子高齢化という国難」に取り組むために「お年寄りも若者も安心できる全世代型の社会保障制度へと、大きく転換」(10月15日、臨時閣議での首相発言)するといいます。
しかし、安倍政権が行っているのは、全世代に影響を及ぼす社会保障破壊です。そもそも、消費税増税の増収分を社会保障に使ってはいません。高齢化などで当然に増える社会保障費の自然増分すら、毎年の予算編成過程で削り続けてきたことを見れば明白です。それに加え、医療・介護などの制度を次々に改悪し、社会保障費を圧縮してきました。こうして、安倍政権が約6年間に削減した社会保障費は、額が判明した項目だけでも3兆8850億円に達します。(表)
■6年間で社会保障費削減3兆8850億円以上
予算編成過程での自然増削減(国費) | 計1兆5900億円 | |
13年度 | 生活保護の生活扶助費削減など | ▲2800億円 |
14年度 | 診療報酬の実質1.26%減額 生活保護の生活扶助費削減など | ▲4000億円 |
15年度 | 介護報酬2.27%減額 生活保護の冬季加算削減など | ▲4700億円 |
16年度 | 診療報酬1.31%減額 | ▲1700億円 |
17年度 | 医療・介護の自己負担の月額引き上げ 後期高齢者医療の保険料値上げなど | ▲1400億円 |
18年度 | 生活保護の生活扶助費削減(3年かけて▲160億円) 診療報酬1.19%減額など | ▲1300億円 |
法改悪などによる削減(給付減) | 計2兆2950億円 | |
年金 | 13~15年「特例水準解消」で2.5%減 | ▲1兆2500億円 | 15年度「マクロ経済スライド」で0.9%抑制 | ▲4500億円 |
17年度 物価変動を踏まえ0.1%減 | ▲500億円 | |
医療 | 18年度 70~74歳まで2割負担 | ▲4000億円 |
介護 | 15年 2割負担導入 | ▲750億円 |
15年 施設の居住費・食費負担増 | ▲700億円 |
生存権を攻撃
生活保護では、生活扶助費を2013~15年度に1600億円(うち国費1200億円)も削減し、18年度以降の3年間でさらに210億円(国費160億円)減らそうとしています。憲法25条が保障した国民の生存権を奪いとる攻撃です。
年金では支給額を3・5%も切り下げ、医療と介護では自己負担を相次いで引き上げました。介護保険への3割負担導入、要支援1~2の主要サービスの保険給付外しなど、影響額が明らかでない制度改悪も数多く強行しました。高齢期の社会保障の後退は、若者の生活設計を大きく狂わせ、老後の不安を深刻化させています。
さらに、財務省は今後、医療と介護に総攻撃をしかける考えを打ち出しています。
国の責任で安心できる年金制度の確立などを求めてパレードする「年金フェスタ」参加者=10月19日、東京都千代田区
生活苦と不安
75歳以上の患者負担を原則1割から2割にし、介護保険の利用者負担を原則1割から2割にするなど、自己負担の全面的な引き上げを狙います。公的医療・介護から国民を遠ざけて社会保障費を削減する思惑です。高額な新薬を保険適用から除外し、要介護1・2の特定サービスを介護保険給付から外すなど、公的医療・介護の範囲そのものを大幅に縮小する方策も掲げます。「皆保険」は名ばかりとなります。
子育て分野では、幼児教育・保育の「無償化」をいいながら、給食費を無償化の対象外にしようとしています。児童手当の所得判定基準を大改悪し、共働き世帯の多くを対象から外す案も示しました。
安倍政権が国民に押し付けているのは、消費税増税と社会保障破壊のダブルパンチです。「お年寄りも若者も安心できる」どころか、若者を含む全世代の生活苦と将来不安に拍車をかけています。
(おわり)(清水渡、杉本恒如、増田哲明、山田俊英が担当しました)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月27日付掲載
75歳以上の高齢者の患者負担を1割から2割へ、介護保険も1割から2割へ狙うなど、今でも年金カットで生活が苦しいのに許せません。
消費税は全然社会保障のために使われていません。