狙われる消費税10%① 長期化する消費不況
安倍晋三首相は、2019年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げると宣言しました。深刻な消費不況が長期化するもとでの増税は、国民の暮らしと日本経済に破壊的な打撃をもたらします。
安倍政権が政策の「1丁目1番地」とする「経済再生」は、これまでことごとく失敗しています。「デフレ脱却」「実質2%成長」の目標も先送りを繰り返しています。国内総生産(GDP)成長率も、国際通貨基金(IMF)の18年予想では主要国中最低の1・0%です。
日銀が個人の景況感を聞く「生活意識に関するアンケート調査」(9月調査)で、1年前と比べた現在の景況感は、「良くなった」が前回6月から減少して7・4%になり、「悪くなった」が20・7%に増加しました。悪化したと感じる人が「改善」の3倍近くにのぼります。GDPの6割を占める個人消費が落ち込んでいることがここにも示されています。
毎年5兆円も
総務省の家計調査によると、2人以上世帯の実質消費支出は、第2次安倍政権発足前の12年平均360万円から直近の1年間(17年9月~18年8月)の平均339万円へ、21万円減りました。
消費不況を長期化させている原因は、14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げたことです。増税後、家計の消費支出が増税前を超えた月はひと月もなく(図)、今も落ち込んだままです。その上、消費税率を10%に引き上げれば、恒久的に毎年ほぼ5兆円の増税です。国民の暮らしが壊滅的な打撃を受けるのは必至です。
貧困と格差は拡大の一途です。安倍首相は、「相対的貧困率」の若干の「改善」をもって、貧困が改善されたと宣伝していますが、貧困ライン自体は下がり続けています。
相対的貧困率が多少低下しても、貧困の実態が改善されたとはいえません。所得が最も少ない10%の層の実質所得が下がり続けており、実態は悪化しています。
買い物客でにぎわう巣鴨地蔵通り商店街=東京都豊島区
繰り返す過ち
前回の消費税増税は、08年のリーマン・ショックや11年3月の東日本大震災から立ち直ろうとしていた日本経済に破壊的影響を与えました。増税直後、14年4~6月期のGDPは前期比年率換算で7・1%減、個人消費は17・2%減と歴史的な落ち込みを喫しました。
この数値が発表されたとき、安倍政権は増税前の「駆け込み需要の反動減」であり「影響は想定内」との見方を振りまきました。安倍首相自身、14年10月8日、参院予算委員会で日本共産党の大門実紀史議員の質問に答えて、「今回の消費税はワンショットだ」と増税の影響を軽視する姿勢をあからさまにしました。
しかし、実際に起きた落ち込みは、国民生活と日本経済を破壊する「増税不況」でした。「ワンショット」「想定内」という露骨な言葉は、いかに安倍政権が国民の生活のことを考えていないかを示しています。
消費税は、所得の少ない人に重くのしかかる逆進性を本質とする悪税です。その上、今の経済状況のもとでの増税は論外です。強行すれば、消費不況をいっそう深刻化し、貧困と格差拡大に追い打ちをかける破局的な影響をもたらすことは必至です。安倍政権はこの過ちを10%への増税で繰り返そうとしています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月23日付掲載
消費税を5%から8%へ増税したことによる家計消費の減少は、安倍首相の言う「ワンショット」どころが継続している。今の経済状況での消費税増税は、消費税に対しての見解の違う国政野党の間でも、許されないという点で一致できるはず。
安倍晋三首相は、2019年10月に予定通り消費税率を10%に引き上げると宣言しました。深刻な消費不況が長期化するもとでの増税は、国民の暮らしと日本経済に破壊的な打撃をもたらします。
安倍政権が政策の「1丁目1番地」とする「経済再生」は、これまでことごとく失敗しています。「デフレ脱却」「実質2%成長」の目標も先送りを繰り返しています。国内総生産(GDP)成長率も、国際通貨基金(IMF)の18年予想では主要国中最低の1・0%です。
日銀が個人の景況感を聞く「生活意識に関するアンケート調査」(9月調査)で、1年前と比べた現在の景況感は、「良くなった」が前回6月から減少して7・4%になり、「悪くなった」が20・7%に増加しました。悪化したと感じる人が「改善」の3倍近くにのぼります。GDPの6割を占める個人消費が落ち込んでいることがここにも示されています。
毎年5兆円も
総務省の家計調査によると、2人以上世帯の実質消費支出は、第2次安倍政権発足前の12年平均360万円から直近の1年間(17年9月~18年8月)の平均339万円へ、21万円減りました。
消費不況を長期化させている原因は、14年4月に消費税率を5%から8%に引き上げたことです。増税後、家計の消費支出が増税前を超えた月はひと月もなく(図)、今も落ち込んだままです。その上、消費税率を10%に引き上げれば、恒久的に毎年ほぼ5兆円の増税です。国民の暮らしが壊滅的な打撃を受けるのは必至です。
貧困と格差は拡大の一途です。安倍首相は、「相対的貧困率」の若干の「改善」をもって、貧困が改善されたと宣伝していますが、貧困ライン自体は下がり続けています。
相対的貧困率が多少低下しても、貧困の実態が改善されたとはいえません。所得が最も少ない10%の層の実質所得が下がり続けており、実態は悪化しています。
買い物客でにぎわう巣鴨地蔵通り商店街=東京都豊島区
繰り返す過ち
前回の消費税増税は、08年のリーマン・ショックや11年3月の東日本大震災から立ち直ろうとしていた日本経済に破壊的影響を与えました。増税直後、14年4~6月期のGDPは前期比年率換算で7・1%減、個人消費は17・2%減と歴史的な落ち込みを喫しました。
この数値が発表されたとき、安倍政権は増税前の「駆け込み需要の反動減」であり「影響は想定内」との見方を振りまきました。安倍首相自身、14年10月8日、参院予算委員会で日本共産党の大門実紀史議員の質問に答えて、「今回の消費税はワンショットだ」と増税の影響を軽視する姿勢をあからさまにしました。
しかし、実際に起きた落ち込みは、国民生活と日本経済を破壊する「増税不況」でした。「ワンショット」「想定内」という露骨な言葉は、いかに安倍政権が国民の生活のことを考えていないかを示しています。
消費税は、所得の少ない人に重くのしかかる逆進性を本質とする悪税です。その上、今の経済状況のもとでの増税は論外です。強行すれば、消費不況をいっそう深刻化し、貧困と格差拡大に追い打ちをかける破局的な影響をもたらすことは必至です。安倍政権はこの過ちを10%への増税で繰り返そうとしています。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月23日付掲載
消費税を5%から8%へ増税したことによる家計消費の減少は、安倍首相の言う「ワンショット」どころが継続している。今の経済状況での消費税増税は、消費税に対しての見解の違う国政野党の間でも、許されないという点で一致できるはず。