西日本豪雨3か月 被災地はいま② 岡山 児童の周りは 家計・孤立に悩み
西日本豪雨で甚大な浸水被害を受けた岡山県で、前に進もうとする被災した子どもと親たちの姿を追いました。
同県矢掛町で小学5年の長女と暮らす派遣社員の女性(46)の自宅は7月6日から翌7日未明の豪雨で床上まで浸水しました。女性は水をかき分け避難しました。当時、長女は同町にある女性の実家に預けていました。長女は「お母さんが心配で3時ごろまで寝られなかった」といいます。翌日、母親に再会した時に号泣しました。
臨時スクールバスで仮設校舎に登校する真備中学校の生徒たち=10月4日、岡山県倉敷市真備町
有休使い
長女はしばらく女性から離れませんでした。自宅を片付けていても腰にしがみついたまま。避難先では夜は手をつないで寝ました。
「臭くても自宅の方がいい」という長女のことばで自宅に戻ってからは落ち着き始めたといいます。知り合いにお下がりのランドセルをもらい、夏休み明けから元気に通学しています。
女性は「有給休暇を使って自宅を片付けていますが、有休がなくなれば欠勤扱いです。児童扶養手当をもらっていますが、家の中のものは全部捨てたので出費が大変です。経済面でとても不安です」と話しました。
倉敷市真備町の岡田小学校に家族で避難している女性(40)の子どもも母親から離れませんでした。小2の長女は校舎の学習ルームに連れて行っても母親にしがみつき、離れると泣きわめきました。4歳の長男も幼稚園に行かず、離れなかったので片付けもできなかったといいます。
女性は「長女は学校が始まる頃には元気になりましたが、友達と言い合いをすることがあります。以前はなかったのに」といいます。
真備町の浸水で校舎が使えなくなった5校も仮設校舎が完成し、10月からは仮設校舎での勉強が始まりました。真備東中学校の校庭に仮設校舎ができた真備中学校の斎藤善紀校長は「生徒たちは表面的には元気です。校庭が狭くなり、部活動をしていないので、真備東中と相談してどうするか決めたい」と話します。
広範囲に
真備町の被災者3000世帯はアパートなどを借り上げる「みなし仮設住宅」で生活しています。被災者が集まる建設型仮設で生活する266世帯の10倍以上。みなし仮設は市の全域と総社市に散らばります。1000人以上の子どもたちが市運行の臨時バスで通学しています。
倉敷市教育委員会指導課の笠原和彦課長は「ふさぎがちな子どももいるし、被災で精神的に不安定になった親の影響を受ける子どももいる。子どものサインを見逃さないよう教員の研修をしている」と話しています。
被災者から相談を受けている倉敷医療生協労組の山下順子さんは「避難先が遠い所では通学バスの乗車時間が1時間以上になり、通学だけで疲れる子どももいます。家に帰っても近所に友達はおらず、ゲームや読書でこもりがちになっている」と指摘。「学齢期の子の親世代は新築から間もない自宅が全壊し、自家用車も水没。ローンを抱えた上の予定外の大きな出費に悩んでおり、経済的支援が必要です。みなし仮設に入った人たちの多くが孤立に悩んでいます」と話しました。
(岡山県・小梶花恵)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月7日付掲載
子どもたちは仮設校舎などで授業が始まりましたが、慣れない通学などで大変だと思います。みなし仮設は一般の仮設住宅よりは居住環境は良いですが、やはり将来が不安ですね。
西日本豪雨で甚大な浸水被害を受けた岡山県で、前に進もうとする被災した子どもと親たちの姿を追いました。
同県矢掛町で小学5年の長女と暮らす派遣社員の女性(46)の自宅は7月6日から翌7日未明の豪雨で床上まで浸水しました。女性は水をかき分け避難しました。当時、長女は同町にある女性の実家に預けていました。長女は「お母さんが心配で3時ごろまで寝られなかった」といいます。翌日、母親に再会した時に号泣しました。
臨時スクールバスで仮設校舎に登校する真備中学校の生徒たち=10月4日、岡山県倉敷市真備町
有休使い
長女はしばらく女性から離れませんでした。自宅を片付けていても腰にしがみついたまま。避難先では夜は手をつないで寝ました。
「臭くても自宅の方がいい」という長女のことばで自宅に戻ってからは落ち着き始めたといいます。知り合いにお下がりのランドセルをもらい、夏休み明けから元気に通学しています。
女性は「有給休暇を使って自宅を片付けていますが、有休がなくなれば欠勤扱いです。児童扶養手当をもらっていますが、家の中のものは全部捨てたので出費が大変です。経済面でとても不安です」と話しました。
倉敷市真備町の岡田小学校に家族で避難している女性(40)の子どもも母親から離れませんでした。小2の長女は校舎の学習ルームに連れて行っても母親にしがみつき、離れると泣きわめきました。4歳の長男も幼稚園に行かず、離れなかったので片付けもできなかったといいます。
女性は「長女は学校が始まる頃には元気になりましたが、友達と言い合いをすることがあります。以前はなかったのに」といいます。
真備町の浸水で校舎が使えなくなった5校も仮設校舎が完成し、10月からは仮設校舎での勉強が始まりました。真備東中学校の校庭に仮設校舎ができた真備中学校の斎藤善紀校長は「生徒たちは表面的には元気です。校庭が狭くなり、部活動をしていないので、真備東中と相談してどうするか決めたい」と話します。
広範囲に
真備町の被災者3000世帯はアパートなどを借り上げる「みなし仮設住宅」で生活しています。被災者が集まる建設型仮設で生活する266世帯の10倍以上。みなし仮設は市の全域と総社市に散らばります。1000人以上の子どもたちが市運行の臨時バスで通学しています。
倉敷市教育委員会指導課の笠原和彦課長は「ふさぎがちな子どももいるし、被災で精神的に不安定になった親の影響を受ける子どももいる。子どものサインを見逃さないよう教員の研修をしている」と話しています。
被災者から相談を受けている倉敷医療生協労組の山下順子さんは「避難先が遠い所では通学バスの乗車時間が1時間以上になり、通学だけで疲れる子どももいます。家に帰っても近所に友達はおらず、ゲームや読書でこもりがちになっている」と指摘。「学齢期の子の親世代は新築から間もない自宅が全壊し、自家用車も水没。ローンを抱えた上の予定外の大きな出費に悩んでおり、経済的支援が必要です。みなし仮設に入った人たちの多くが孤立に悩んでいます」と話しました。
(岡山県・小梶花恵)(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月7日付掲載
子どもたちは仮設校舎などで授業が始まりましたが、慣れない通学などで大変だと思います。みなし仮設は一般の仮設住宅よりは居住環境は良いですが、やはり将来が不安ですね。