狙われる消費税10%③ “対策”が混乱に拍車
消費税増税に突き進む安倍晋三政権が、次々と増税に伴う需要低迷への対策を打ち出しています。対策自体が混乱に拍車をかけています。
実効性に疑問
対策の一つが「複数税率」の導入です。酒類や外食を除く飲食料品などの税率を8%に据え置くだけで、負担の軽減にはなりません。本紙の試算では、年収2000万円以上の世帯と同200万円未満の世帯の負担率の差が広がることが明らかになっています。負担軽減にも格差縮小にも役立ちません。
むしろ、8%と10%の税率が混在することで、経済の混乱が予想されます。
自動車や住宅など耐久消費財の購入に、減税措置を取る案もあります。
買い物で支払った額のうち増税2%分を消費者にポイント還元する案も出されました。中小事業者でクレジットカード支払いなどキャッシュレス決済を利用した人が対象。還元分を国が補助します。政権には、増税を機にキャッシュレス化を普及したいという思惑があります。
日本のキャッシュレス決済の比率は、2015年の時点で18・4%。同時期の韓国89・1%、中国60・0%、米国45・0%などと比べて低くなっています。「田舎の魚屋でクレジットカードなんかでやっている人はいない。(ポイント)還元がどれだけうまくいくか」(麻生太郎財務相)など、実効性を疑問視する声は、政権内からも出されています。現金や商品券で給付する案も出されています。

商店街で品定めをする買い物客=東京都中野区
対策はどれも、1年間など期間を限定したものです。消費税率を10%へ2ポイント引き上げた場合、毎年およそ4・5兆円、国民への負担増となります。いくら一時的な対策を取っても焼け石に水です。
14年4月に消費税率を8%に引き上げた際に落ち込んだ消費は、今なお低迷したままです。家計調査によると、2人以上の世帯における消費支出は、安倍政権発足前と比べて21万円も下落しています。この上に税率を引き上げたら、国民生活や経済に深刻な打撃を与えることになります。
増税中止こそ
そもそも消費税は逆進性を持った税制です。収入の少ない人ほど負担率が高くなります。国民生活や経済に深刻な影響を与える消費税を増税しておいて、その対策を打つというのは本末転倒です。負担を抑えるなら、増税を中止するのが一番です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月25日付掲載
複数税率は諸外国でもやっているのですが、共産党も5%の時代に食料品など生活必需品を3%に引き下げを提案したこともありますが…。
今回は10%への引き上げの際の話し。同じ食料品でも、外食なら10%、テイクアウトなら8%というのは大混乱になること必至です。
消費税増税に突き進む安倍晋三政権が、次々と増税に伴う需要低迷への対策を打ち出しています。対策自体が混乱に拍車をかけています。
実効性に疑問
対策の一つが「複数税率」の導入です。酒類や外食を除く飲食料品などの税率を8%に据え置くだけで、負担の軽減にはなりません。本紙の試算では、年収2000万円以上の世帯と同200万円未満の世帯の負担率の差が広がることが明らかになっています。負担軽減にも格差縮小にも役立ちません。
むしろ、8%と10%の税率が混在することで、経済の混乱が予想されます。
自動車や住宅など耐久消費財の購入に、減税措置を取る案もあります。
買い物で支払った額のうち増税2%分を消費者にポイント還元する案も出されました。中小事業者でクレジットカード支払いなどキャッシュレス決済を利用した人が対象。還元分を国が補助します。政権には、増税を機にキャッシュレス化を普及したいという思惑があります。
日本のキャッシュレス決済の比率は、2015年の時点で18・4%。同時期の韓国89・1%、中国60・0%、米国45・0%などと比べて低くなっています。「田舎の魚屋でクレジットカードなんかでやっている人はいない。(ポイント)還元がどれだけうまくいくか」(麻生太郎財務相)など、実効性を疑問視する声は、政権内からも出されています。現金や商品券で給付する案も出されています。

商店街で品定めをする買い物客=東京都中野区
対策はどれも、1年間など期間を限定したものです。消費税率を10%へ2ポイント引き上げた場合、毎年およそ4・5兆円、国民への負担増となります。いくら一時的な対策を取っても焼け石に水です。
14年4月に消費税率を8%に引き上げた際に落ち込んだ消費は、今なお低迷したままです。家計調査によると、2人以上の世帯における消費支出は、安倍政権発足前と比べて21万円も下落しています。この上に税率を引き上げたら、国民生活や経済に深刻な打撃を与えることになります。
増税中止こそ
そもそも消費税は逆進性を持った税制です。収入の少ない人ほど負担率が高くなります。国民生活や経済に深刻な影響を与える消費税を増税しておいて、その対策を打つというのは本末転倒です。負担を抑えるなら、増税を中止するのが一番です。
(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月25日付掲載
複数税率は諸外国でもやっているのですが、共産党も5%の時代に食料品など生活必需品を3%に引き下げを提案したこともありますが…。
今回は10%への引き上げの際の話し。同じ食料品でも、外食なら10%、テイクアウトなら8%というのは大混乱になること必至です。