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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

西日本豪雨3か月 被災地いま③ 愛媛 治水対策 河底掘削 渋る政府

2018-10-13 13:12:13 | 震災・災害・復興・地震&災害対策など
西日本豪雨3か月 被災地いま③ 愛媛 治水対策 河底掘削 渋る政府
7月7日、愛媛県を襲った記録的な豪雨により、野村、鹿野川の両ダムが緊急放流を行いました。放流された大量の水で肱川(ひじかわ)は氾濫し、各地に甚大な被害をもたらしました。鹿野川ダムを管理する山鳥坂ダム工事事務所の小長井彰祐所長は、この間、開かれた住民説明会で「ダムには限界がある」と発言しています。長年、肱川をみてきた住民に治水の在り方について話を聞きました。

「本当に恐ろしかった。今でも眠れないんです。疲れて、家の片づけも進みません」。自宅の1階が浸水した大洲市の矢野越子さん(77)はいいます。
矢野さんの住む多田地区は堤防も一部を除いて整備されています。「内水(ないすい)が氾濫したんよ」
と夫の庄一さん(74)は言います。肱川の堤防にある支流のゲートを閉めたため、支流の水があふれました。庄一さんは「あと2メートル、肱川の河底が深かったら、水位も下がり、ゲートを開ける時間も早まって、被害も少なかったのでは」と話します。
庄一さんは「昔の肱川の河口付近には、200トンの機帆船が出入りしていました。そのくらい河床が深かった」と指摘。「肱川の河口は狭くて、もともと水が流れにくい構造です。その上、長年にわたって大量の土砂がたまっています。これでは水は流れない」と話します。



長年、土砂が堆積してできた肱川の河ロ右岸側の砂地=10月3日、愛媛県大洲市



砂地形成
肱川河口の岸には、長年堆積した土砂が巨大な砂地をつくり、川にせり出しています。国は今回の被害を受け、緊急治水対策を発表。対策の中には築堤などと並び「河道掘削」もありますが、国土交通省大洲河川国道事務所の阿部勝義副所長は「今回、新たに積もった土砂を取り除くもの」と説明します。
「上っ面を少し削るだけだ」と、肱川河口から19キロほど上流の大洲市肱南(こうなん)地区に住む池田亀菊さん(81)は批判します。池田さんはここに住んで30年。家のすぐ裏に堤防があり、2階から肱川がよく見えます。
今回、池田さん宅は被害を免れましたが、堤防の残りあと1メートルほどの高さまで水が迫りました。「2004年、11年と洪水のたびに大量の土砂が積もり、そして今回です。水は、たまった土砂の上を流れます。堤防を造っても、掘削しない限り、河床が上がって、いたちごっこになります。次はここも危ないかも」と話します。

築堤のみ
04年、国は肱川の整備計画を策定しました。その中には、新しいダムの建設や鹿野川ダム改造事業が記載されています。河川整備については、築堤は進めるものの、河道内掘削は「行わず」と明記しています。
池田さんは「ダムは一定の能力以上の水を防げません。肱川の治水のことを真剣に考えるなら、国は、ダムの建設に血道をあげてないで、河道の掘削や堤防の建設を進めるべきです」と話します。
(愛媛県・宮内智矢)(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年10月8日付掲載


ダムと堤防だけでは水害を防げないことを教訓に。河川の浚渫で流れを良くしたり、河川敷や遊水池などで受け止めるなど総合的な治水対策が必要。
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