きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑭ 内心の自由への挑戦 戦争法体制支える共謀罪

2017-05-06 18:04:33 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑭ 内心の自由への挑戦
戦争法体制支える共謀罪


国民の思想・内心を処罰する「共謀罪」法案が衆院法務委員会で審議される中、米ネットメディア「インターセプト」が、日米が協力して秘密裏に行ってきた情報収集活動の一端を暴露しました。
地球規模であらゆる情報を傍受・監視している米国家安全保障局(NSA)が、財政支援などの見返りに、インターネット上の情報を大量収集できる監視システムを日本に提供していたというのです。



共謀罪法案に反対する研究団体・法律家団体の記者会見=4月13日、国会内

収集した情報を米国側に提供か
村井敏邦一橋大学名誉教授(刑法)は「安倍首相が過去に3度も廃案になった『共謀罪』法案を押し通そうとするのは、米国と何らかの約束があるからかもしれません。盗聴やスパイ、密告によって収集した情報を米側に提供する仕組みができている可能性がある」と指摘します。
村井氏は、「共謀罪」の本質を見抜くためには、戦前の治安維持法による思想弾圧と人権侵害の上に侵略戦争への道を開いた歴史を直視する必要があると言います。
憲法は、21条の表現の自由、23条の学問の自由、20条の信教の自由のほかに、19条で思想・良心の自由を規定しています。ここには、国民の内心を弾圧・統制した戦前への反省が反映しています。さらに31条から40条まで、諸外国にも類を見ないほど詳細な刑事手続きを保障しています。
この憲法のもとで、刑法は、国民の自由な行動を保障するため、内心を処罰しないことを大原則としています。約300にも上る犯罪について「共謀罪」をつくることは、国民の内心領域を国家が統制することにつながるもので、刑法原則の大転換です。
安倍首相は「共謀罪」を制定する口実に「テロ対策」を言い立てます。
これに対して、村井氏は「共謀罪でテロはなくならないし、防げない。NSAはテロリストを追跡するため膨大な情報を収集していますが、米国の"テロとのたたかい〟、暴力の連鎖は果てなく続いています。政治や経済など土壌にある問題の解決なしに、テロがなくなることはない」と反論します。
一方、安倍首相は、北朝鮮への圧力として、米原子力空母カール・ビンソンと海上自衛隊護衛艦による共同訓練を行いました。戦争状態につながりかねず、憲法9条を実質的に破壊する危険をはらむ事態です。さらに海自のヘリ空母に「米艦防護」を命じ、北朝鮮情勢を口実に戦争法を発動しています。

日米同盟のもと軍事化を下支え
村井氏は警告します。
「共謀罪は、日米同盟のもとで日本の軍事化を進める下支えとして設けられようとしています。軍国主義が強まれば公益や秩序が優先され、自由と人権が保障されなくなってしまう。9条に反し、戦争体制をつくる動きを阻止するため警鐘を鳴らし続けなければいけない」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月4日付掲載


「共謀罪」ができれば、内心を調べるために、メールやSNSなどもしらみつぶしに調べられる。
それを米軍に提供されるかもって許されない。

憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑬ 報道の自由の劣化 試されるメディアの勇気

2017-05-05 19:23:08 | 平和・憲法・歴史問題について
法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑬ 報道の自由の劣化
試されるメディアの勇気


「秘密保護法が通ってから安保関連情報は取りにくくなった」「安倍首相の単独インタビュー、政府高官の毎夜のブリーフィング(状況説明)と個別リーク(情報提供)、論説委員と首相の会食。マスコミコントロールの三種の神器だ」。大手メディア関係者の一人は、安倍政権のアメとムチによるマスコミ「支配」をこう語り、報道の自由と民主主義の劣化を指摘します。
例年、「国境なき記者団」が評価している世界各国の報道の自由度で、2016年の日本のランクは15年から10位以上下落し、180力国中72位になりました。17年も72位で主要7力国で最低です。言論・出版など表現の自由を保障する憲法21条との関係で看過できない事態です。



「共謀罪」に反対して記者会見を開いたメディア関係者=4月27日、国会内

政権からの敵意右派勢力の攻撃
英誌エコノミスト東京特派員のディビッド・マックニール氏は、この背景について「自民党政権は、批判的監視役のメディアへの支援をほとんどせず、むしろ敵意を示してきた。右翼勢力は『朝日』を破壊し、NHKを政府と国家政策の代弁者にしようとしてきた」と指摘。「安倍内閣の半数以上は日本会議国会議員懇談会のメンバーで、1947年憲法を廃棄し“日本を取り戻す”ことを意図している」と自由な言論への抑圧を警戒します。
米紙ニューヨーク・タイムズ元東京支局長のマーティン・ファクラー氏は、14年の朝日新聞への攻撃に注目。原発事故や日本軍「慰安婦」問題をめぐる「誤報」への政権や右派勢力の攻撃で、「朝日」は訂正会見に追い込まれました。ファクラー氏は、「平成の白虹(はっこう)事件に相当する。その後の主要メディアの萎縮が著しい」とのべます。
白虹事件とは、1918年、「大阪朝日」が日本軍のシベリア出兵の中、内閣批判の集会を論じた記事に、兵士の反乱の前兆を表す「白虹日を貫けり」の文字を載せたとして、新聞紙法違反などで政府から攻撃された事件。社長や著名執筆陣が社を追われました。

上層部の軟弱と現場記者の奮闘
他方、ファクラー氏は「日本でのメディアへの圧力はアメリカよりずっと弱い。日本の自由度が低いのは、主要メディアが信じられないほど圧力に弱いからだ」と指摘します。
元埼玉新聞編集長で十文字学園女子大学でメディア論を担当する石野栄一教授は、メディアが圧力に弱い理由として「雰囲気を読み、批判されたくないという日本人特有の意識」を挙げ「国でも地方でも権力者が力を持てば持つほど、その傾向はメディア上層部や経営陣に強くなる」と指摘。他方、「権力の不正を指摘し、社会への問題提起に挑む現場記者はまだまだ健在だ。メディアに携わる者は、権力は乱用されやすいことを自覚し、『国民の知る権利』にこたえる使命感を持ち続けなければ国民の信頼をなくし、自らの首を絞めることにつながる」と話します。
表現の自由の価値を担うメディアの勇気が試されています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月3日付掲載


原発事故や日本軍「慰安婦」問題をめぐる「誤報」は悪いけど、それでメディアの自主性を抑えるのは問題だ。

憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑫ 民主主義侵す秘密保護法 国の情報は国民のもの

2017-05-04 10:05:37 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑫ 民主主義侵す秘密保護法
国の情報は国民のもの


「憲法21条の表現の自由は、一人ひとりが人間らしく生きていく自己実現の基礎であると同時に、立憲主義が守られ、個人の自由が守られるように民主主義の政治プロセスがきちんと機能する保障です」

発信者と受け手両方の権利保障
表現の自由をめぐる諸間題に詳しい、立命館大学の市川正人教授は述べます。
表現の自由には、情報の発信を基本に、情報の「受け手」の権利も保障される両面性がもともと内在します。それがマスコミの発達の中で「国民の知る権利」を核とする自由へと発展してきました。
市川氏は、「19世紀末くらいからマスメディアが発達し、社会に情報を伝えるうえで圧倒的な力を持つのに応じて、国民が知るべきことを知るために、マスコミの報道・取材の自由を保護すると同時に、情報の受け手である国民の知る権利に独自の重要な意義が与えられるようになってきた」と述べます。
福祉国家、行政の役割の増大の中で、公権力が保有する情報が膨大になります。政治・政策の決定にそれらの情報は重要で、国民が自由に知ることが民主政治のプロセスにとって重要となります。
マスコミの発達と公権力の保有情報の拡大という二つの事情が、権力監視にとって表現の自由に特別の重要性を与え、「情報の流通全体を保障する自由」という性格をもたらしてきたのです。
安倍政権のもとで、重大な反動が進みます。安倍政権は2013年12月、特定秘密保護法を強行しました。



秘密保護法を廃案にしょうと抗議の国会包囲行動に参加する人たち=2013年12月4日、国会前

国民の知る権利表現の自由侵害
同法は、安保、外交、特定有害活動(スパイ)、テロに関する「情報」について、行政機関の長が「秘密」指定し、秘密を漏えいした者、秘密を取得した者を懲役10年以下の厳罰に処し、その教唆、扇動、共謀を処罰します。また民間人も含め、秘密に接触できる人を「審査」で限定する「適性評価制度」を導入。軍事情報共有のため、米国が整備を要求してきたものです。
市川氏は、「国や公共機関が持つ情報は本来国民のもの。国民に仕える官僚が、それを独占するのはおかしい。国政の重要情報を安全保障に関連するとして非常に強くガードを固め、厳罰で守るのは、国民の知る権利と表現の自由に対する侵害になる」と指摘します。
同法制定の動きに対しては、全国で広範な市民が反対に立ちあがり、15年の安保法制H戦争法反対の大闘争へとつながりました。
市川氏は述べます。
「何が秘密指定されているかわからず、指定の妥当性すらチェックできない。政府には、新安保条約締結時や沖縄返還時の核密約など、国民をだました過去がある。そういうことをまったくチェックできない秘密保護法で、どんなことが隠されているのか、ずっと後にならないとわからない」
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月2日付掲載


「国や公共機関が持つ情報は本来国民のもの。国民に仕える官僚が、それを独占するのはおかしい」
国が特定機密って隠しても、なぜか共産党のもとに「内部告発」などで情報が届く。
告発者の守り、情報を有効に活用してくれるって信頼と期待から。


憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑪ 絶対主義的天皇制と戦争に反対 たたかいが自由の礎に

2017-05-03 11:49:16 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑪ 絶対主義的天皇制と戦争に反対
たたかいが自由の礎に


日本国憲法は19条で思想・良心の自由、21条で言論、表現の自由、23条で学問の自由を規定し、31条から40条まで世界的にみても非常に厳格な刑事手続きを定めるなど、国民の自由を詳細に保障しています。ここには、戦前の絶対主義的天皇制のもと、国民の自由が徹底的に奪われたことへの厳しい反省と同時に、迫害に抗して侵略戦争に命がけで反対した人びとの“たたかいと抵抗の歴史”が刻みこまれています。


治安維持法の制定に反対する大集会(1925年2月)

国民の内側から人権尊重の動き
安倍首相ら改憲派は、連合国軍総司令部(GHQ)に押し付けられた憲法だと攻撃を繰り返しています。
村井敏邦一橋大学名誉教授(刑法)は「治安維持法などによる思想弾圧のうえに、軍部が有無を言わさず権力を握り侵略戦争に突入していった。その反省から人権に厚い憲法をつくる動きが起こるが、それは占領軍だけの問題ではなく、日本国民の内発的な要求があった」と反論します。
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟の増本一彦会長は、「憲法は、国民を不当に捕まえて拷問した暗黒政治と侵略戦争を繰り返さないという決意の表明であり、抑圧されたすべての国民の総意なのです」と強調します。
1925年、天皇制政府は、侵略戦争反対、国民主権を掲げた日本共産党の弾圧のために治安維持法を制定。その弾圧は徹底的で、28年3月15日には、全国で1600人の共産党員と支持者を検挙して野蛮な拷問を加えました。
政府は緊急勅令で同年6月に治安維持法を大改悪し、死刑とともに「目的遂行罪」を導入。共産党員でなくとも弾圧を可能としました。45年8月にポツダム宣言を受諾して終戦を迎えるまで、逮捕、投獄、獄死など同法による犠牲者は数十万人に上りました。

個人の尊厳擁護「市民革命」進む
ポツダム宣言第10項は、「日本政府は日本国国民における民主主義的傾向の復活を強化し、これを妨げる一切の障害は排除するべきであり、言論、宗教及び思想の自由並びに基本的人権の尊重は確立されるべきである」(現代語訳)としました。
増本氏は、「反ファシズムの国々が支持したポツダム宣言が『民主主義的傾向』という表現で、侵略戦争の原動力となった天皇制に対する日本国民の抵抗を高く評価し、治安維持法は『一切の障害』を代表する悪法として排除されたのです。歴史的な意義がある」と語ります。
いま安倍政権による、9条破壊と国民の自由を抑圧する動きの強まりに対し、多くの市民が立憲主義回復と個人の尊厳を掲げ、広く草の根から立ち上がっています。自由を国民自らがつかみなおし、個人の尊厳を擁護する新しい「市民革命」が進みます。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月1日付掲載


日本国憲法は、GHQから押し付けられたものではなく、戦前からの侵略戦争反対、国民主権を求めた運動が営々とあったからつくられた。

憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑩ 最賃1500円めざせ 広がる運動 政治動かす

2017-05-02 12:58:15 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑩ 最賃1500円めざせ
広がる運動 政治動かす


「時給は東京の最低賃金932円ちょうど。1日7時間、週6日働いても月収15万円前後。定時では生活できないので、夜9時まで残業したり、貯金を切り崩してやっと生活しています」

非正規に換わり最賃に張り付く
東京都内の大手取次流通センターで働く契約社員の川辺隆さん(50)=出版情報関連ユニオン(出版労連)組合員=が語ります。
出版業界の売り上げは、1996年の2兆6000億円をピークに減少し、現在1兆5000億円にまで激減。正社員が非正規社員に置き換えられ、非正規雇用の賃金は最低賃金に張り付いています。
川辺さんは、労働者の実態について「昼食は同僚が食べ終わったカップラーメンの残り汁をもらい、それだけで済ませる」「親の体調が悪くても帰省できない」「交通費が支給されないので毎日1時間以上歩いて通勤している」と紹介します。
賃金も月1回の支給では生活できないため、支給日前に銀行口座に有料で振り込んでもらう「即払いシステム」という制度までできているといいます。
憲法25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記し、27条2項で「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」としています。これに基づいて制定されたのが最低賃金法です。



エキタスのデモで最低賃金1500円への引き上げを訴えてデモ行進する参加者=4月15日、東京都新宿区

有給休暇を取得他部署から感謝
現在の最賃は全国平均で823円。しかし、フルタイムで働いても年収200万円に満たないワーキングプア(働く貧困層)の水準です。地域格差が218円もあり、抜本的引き上げは急務です。
最低賃金をめぐっては1975年、当時の労働4団体が一致して全国一律制度の実現を求める要求を発表、これを受けて日本共産党も含む当時の4野党が共同して法案を提出しました。実現はならなかったものの、全国一律制を求める声が大きく広がりました。たたかいに押されて民主党政権下の2010年に「20年までに全国平均1000円を目指す」という方針が決定され、安倍政権も「1000円を目指す」といわざるをえないところまできました。
全国で「いますぐ1000円」とし、「1500円をめざせ」という運動が広がっています。出版ユニオンでも、今春闘で時給1500円への引き上げの要求を掲げました。
川辺さんは語ります。「当初は、アルバイトが会社に要求していいのかという声もありました。しかし、議論をするなかで昨春闘は1200円、今年は1500円の要求を掲げました。運動を通じて、会社が周知してこなかった有給休暇の取得も可能になりました。他部署の人からも感謝されています」
広がる貧困と格差解消、生活改善に向けたたたかいに憲法の精神が息づき、政治を大きく動かしています。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年4月30日付掲載


「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」にならない最低賃金って、憲法が守られていないってことになるでしょ。
アルバイトでも半年以上働いたら取得可能な有給休暇と合わせて、生活できる最低賃金を!