毎日新聞落語会「渋谷に福来たるSPECIAL~落語フェスティバル的な~」という催し、渋谷区文化総合センターで2日~4日まで。僕は3日の「円丈ゲノム」に行ってきた。ホントは2日の「師匠噺 四派饗宴」に行きたかったんだけど、チケットが取れなかった。でも、新作派の実力者4人の「円丈ゲノム」も行きたかったからまあいいでしょう。「ゲノム」は「遺伝子」ですね。円丈師匠は「ゲーム」だと間違えていたとホームページで書いてるけど。
まず最初に幕が上がると、春風亭昇太、林家彦いち、三遊亭白鳥の三人が出てきて、鼎談会。これが抜群に面白い。新作落語は差別されてきたと「待ってました!」(吉川潮)の本の中でいっぱい出てくるが、この四半世紀の新作落語をリードしてきたのが円丈師匠。渋谷ジャンジャン(公園通りの山手教会地下にあった小劇場、ライブハウス)で80年代にやっていた「実験落語の会」がいかにすごかったか。重要だったか。僕はジャンジャンは何度も行ってるけど、この頃は落語を聞いていない。残念。
円丈師匠は足立区在住で、そのことは弟子の白鳥がどうやって弟子入りしようとしたかで語っていたけど、なんと「イエローページ」(電話帳)に載っていたそうだ。ただし「足立区六」としか載ってなかった。足立区には六が付く地名がいくつもあるので行きつかない。そのうち他の電話帳を見たら旧住所が載っていた…。今は「つくばエキスプレス」というのができて「六町」という駅名もあるわけだが、円丈師の家はそこ。昔は「陸の孤島」。そのあたりの事情は「悲しみは埼玉に向けて」とか「一つ家公園ラブストーリー」とかで語られる。まだ僕が落語をほとんど聞かなかった90年代半ば、足立区の高校に勤めていて卒業近くに卒業生向け落語会を企画した。その時に来たのが、円丈師匠。この時の面白さは格別だった。以来、同じ足立区ということで印象に残り、最近も割と聞いてる。
3人の語りの中で、昇太が「最近、市馬兄さんが歌歌ったりしているけど、実はそれも円丈師匠が昔やってる。これは知らない人が多いでしょう。」と言って、音源が見つかったといって、「悲しみのホアンホアン」とかいう歌が場内に流れる。爆笑。アイドルソングみたいな歌。そこに、突然うどん屋ののぼりを掲げた自転車に乗って、円丈師匠が3人の前を通り過ぎる。何も言わずに、もう一回戻ってくる。もう、ありえないほどおかしい。場内爆笑。
僕が落語を少し聞くようになったころ、足立区のホールでやった春風亭柳昇の会にまだ知名度のなかった時代の昇太が出ていた。昇太の新作の面白さは群を抜いていた。以後しばらく追っかけ的に聞いていた。「伊東四朗一座」に出ていたのまで見ている。(伊東四朗が見たかったんだけど。)昇太は師匠選びの話をよくしているけど、やはり柳昇師匠で良かったんでしょう。「笑点」に出るようになってから、少しおとなしいように思えたのだけど、最近聞くとやはり面白いですねえ。今回は「新作落語傑作読本1」(白夜書房)に掲載されている「オヤジの王国」。読むより語りの方が面白い。それは「体技」としかいいようがない、全身の演技が面白いんですね。膝をついて半立ちになって熱演するというのが昇太のスタイルだけど、このネタは横になるのもある。
今回は、まず円丈の弟子、白鳥が「悲しみは日本海に向けて」、昇太の「オヤジの王国」、仲入り後に林家彦いち「二月下旬」、そしてトリで円丈「悲しみの大須」という名古屋の大須演芸場の芸人列伝。かなり大きな会場が満員で、熱演、爆笑。新作落語の面白さを堪能できた会だった。でも、足立区(ずっと住んでる)や新潟(妻の実家)が出てくることもあり、最後の円丈師匠も出身の名古屋ネタだったから、なんとなく日本の中の居住地にまつわる「差違」というか、もっと言えば「差別」がいかに笑いの源泉になるか、複雑な感じもしたなあ。そういうホンネの部分が芸能の本質なんだろうけど。
まず最初に幕が上がると、春風亭昇太、林家彦いち、三遊亭白鳥の三人が出てきて、鼎談会。これが抜群に面白い。新作落語は差別されてきたと「待ってました!」(吉川潮)の本の中でいっぱい出てくるが、この四半世紀の新作落語をリードしてきたのが円丈師匠。渋谷ジャンジャン(公園通りの山手教会地下にあった小劇場、ライブハウス)で80年代にやっていた「実験落語の会」がいかにすごかったか。重要だったか。僕はジャンジャンは何度も行ってるけど、この頃は落語を聞いていない。残念。
円丈師匠は足立区在住で、そのことは弟子の白鳥がどうやって弟子入りしようとしたかで語っていたけど、なんと「イエローページ」(電話帳)に載っていたそうだ。ただし「足立区六」としか載ってなかった。足立区には六が付く地名がいくつもあるので行きつかない。そのうち他の電話帳を見たら旧住所が載っていた…。今は「つくばエキスプレス」というのができて「六町」という駅名もあるわけだが、円丈師の家はそこ。昔は「陸の孤島」。そのあたりの事情は「悲しみは埼玉に向けて」とか「一つ家公園ラブストーリー」とかで語られる。まだ僕が落語をほとんど聞かなかった90年代半ば、足立区の高校に勤めていて卒業近くに卒業生向け落語会を企画した。その時に来たのが、円丈師匠。この時の面白さは格別だった。以来、同じ足立区ということで印象に残り、最近も割と聞いてる。
3人の語りの中で、昇太が「最近、市馬兄さんが歌歌ったりしているけど、実はそれも円丈師匠が昔やってる。これは知らない人が多いでしょう。」と言って、音源が見つかったといって、「悲しみのホアンホアン」とかいう歌が場内に流れる。爆笑。アイドルソングみたいな歌。そこに、突然うどん屋ののぼりを掲げた自転車に乗って、円丈師匠が3人の前を通り過ぎる。何も言わずに、もう一回戻ってくる。もう、ありえないほどおかしい。場内爆笑。
僕が落語を少し聞くようになったころ、足立区のホールでやった春風亭柳昇の会にまだ知名度のなかった時代の昇太が出ていた。昇太の新作の面白さは群を抜いていた。以後しばらく追っかけ的に聞いていた。「伊東四朗一座」に出ていたのまで見ている。(伊東四朗が見たかったんだけど。)昇太は師匠選びの話をよくしているけど、やはり柳昇師匠で良かったんでしょう。「笑点」に出るようになってから、少しおとなしいように思えたのだけど、最近聞くとやはり面白いですねえ。今回は「新作落語傑作読本1」(白夜書房)に掲載されている「オヤジの王国」。読むより語りの方が面白い。それは「体技」としかいいようがない、全身の演技が面白いんですね。膝をついて半立ちになって熱演するというのが昇太のスタイルだけど、このネタは横になるのもある。
今回は、まず円丈の弟子、白鳥が「悲しみは日本海に向けて」、昇太の「オヤジの王国」、仲入り後に林家彦いち「二月下旬」、そしてトリで円丈「悲しみの大須」という名古屋の大須演芸場の芸人列伝。かなり大きな会場が満員で、熱演、爆笑。新作落語の面白さを堪能できた会だった。でも、足立区(ずっと住んでる)や新潟(妻の実家)が出てくることもあり、最後の円丈師匠も出身の名古屋ネタだったから、なんとなく日本の中の居住地にまつわる「差違」というか、もっと言えば「差別」がいかに笑いの源泉になるか、複雑な感じもしたなあ。そういうホンネの部分が芸能の本質なんだろうけど。