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尾形修一の紫陽花(あじさい)通信

教員免許更新制に反対して2011年3月、都立高教員を退職。教育や政治、映画や本を中心に思うことを発信していきます。

六義園と旧古河庭園

2014年05月28日 22時58分27秒 | 東京関東散歩
 東京都立の庭園は9つあるが、「庭園へ行こう」というサイトで、まとめて紹介されている。バラの季節の旧古河庭園に合わせて、六義園にも行ったので、その時の散歩のまとめ。山手線の駒込駅というのは、よく通るけどあまり降りたことのない駅である。そのすぐ南側に六義園、北へ少し歩くと旧古河庭園。両方合わせた共通券も出していて、400円。ただし、所在地の地名で言うと、駒込駅は豊島区で、六義園は文京区、旧古河庭園は北区と全部違っている。全部、それぞれの区のはずれの方にあるのである。

 さて、まず「六義園」から。読み方は「りくぎえん」である。昔、三百人劇場というところに行った帰りに寄ったことがあるけど、20年ぶりぐらい。5代将軍綱吉の側近、柳沢吉保が1702年に築園したもので、大名庭園の名園中の名園。国の特別名勝に指定されている。下に示した横長の写真は、上下をトリミングしただけだが、泉水と築山を広々と回遊する庭園だけに、普通に撮ると空が大き過ぎ。
   
 少し時間を前に戻して、入り口から見ると、壁がレンガである。それはどうしてかというと、プレートで説明があって、明治時代に三菱の岩崎弥太郎が買ったのである。江戸にあった大名庭園を今に残したものは、明治の財閥だったというわけである。岩崎家が1938年に東京市に寄付し、1952年に国の特別名勝に指定された。特別名勝というのは、全国に36しかなく、その中には富士山、上高地、十和田湖・奥入瀬渓流など自然景観も入っている。日本三景、日本三名園などもすべて指定されている。関東地方で指定されているのは東京の六義園小石川後楽園浜離宮庭園の三つしかない。すべて大名庭園である。日本三名園も大名庭園だし、結局寺社や財閥、貴族ではなく、大名が作った庭園が今に伝わったわけである。先に挙げた三つはいわば「東京三名園」とも言える存在だろう。最後の写真は園内にあった柳沢吉保の肖像画。
   
 中に入ると、風景がさっと開け、開放感が素晴らしい。水に松の緑、つつじの赤が点在し、広々した気持ちになれる。この快さは何物にも代えがたい。日本庭園の傑作中の傑作だと思う。庭園に入った時の気持ち良さが、もう尋常ではなく、ここは素晴らしいなあと思う。園内をめぐると、最後の方に「藤代峠」という場所があり、35メートルだという。登ると園内が一望でき、ここは落とせない場所だ。その近くの風景とあわせて。
    
 六義園という名は、中国の詩の分類法(詩の六義)にならって、紀貫之が古今和歌集の序で和歌を6つに分類した言葉から来ているとある。何だかよく判らないが、読みは漢音で「りくぎ」と読ませている。柳沢吉保は「むくさのその」と呼んでいたという。吉保というと歴史上悪役扱いが多いが、綱吉自身も幕政を文治に転換した人物で、これほどの名園を作るという力量からしても並々ならぬ教養の持ち主だったのではないか。今度は秋の紅葉の頃に訪れてみたいと思う。さて、そこから駒込駅方面に本郷通りを戻る。駅の裏のあたりに「染井吉野発祥の地」という碑がある。少し歩くと左手に女子栄養大学。誰でも入れる喫茶もあるようだけど、今は通り過ぎる。霜降橋交差点からもう少し坂を歩くと、左手に旧古河庭園がある。
   
 手前のバラを変えて洋館を撮っただけだけど、東京でも一番好きな風景の一つである。やはりどっちかというと洋館の方が面白い。特に春秋のバラが咲き誇る時期は一番客が多い。後で載せるけど、ライトアップ用の照明が目立つし、写真を撮るカップルなどが多くて、被写体としては難しい。元は陸奥宗光の屋敷だが、陸奥の次男が古河市兵衛の養子として二代目となった関係で古河の所有となった、洋館は3代目虎之助の時、1917年に建築された。ジョサイア・コンドルの設計。鹿鳴館や旧岩崎邸の設計で知られる人である。昔も今も、足尾鉱毒事件と田中正造に関心があり、その意味では「敵の館」なんだけど、時間が経ってしまえば文化財。今は国民の財産であり、国の名勝。昔は映画撮影にも使われ、「何か面白いことないか」(1966、蔵原惟惟監督)や「日本春歌考」(1967、大島渚監督)などに使われている。ここだと思うけど。
   
 横から見ても面白く、建物の正門の方も面白い。中も見られるんだけど、別に往復はがきで事前予約しなくてはならず、まだ見たことはない。武蔵野台地の上の方に洋館があり、降りたところにバラの庭園。そこでもう満足した気持ちになって、バラのアイスでも食べて帰ってしまいがちなんだけど、さらに台地を下ると、日本庭園がある。もっとも六義園から来るとスケールが何十分の一という感じなんだけど、それなりに趣はあるし、案外深くてビックリする。この地形の妙も面白い。でもまあ、やはりここはバラと洋館の場所だなと思う。
  
 バラフェスティバル期間中、何にちか、夜のライトアップがあり、今まで行ったことがなかったので今度訪ねてみた。でもバラに当たる光が写真的にはジャマなことが多い。日本庭園の方はかなり暗い。ムードはあるので、また行ってみたいなと思いながらも、なかなか写真は撮りにくいなあと思った。
  
コメント
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