アメリカ映画「ジーサンズ はじめての強盗」という映画を見た。「ジーサンズ」というのは、「爺さんたち」なんだろう。原題は〝Going in Style”なんだから。これは次の映画を見るまでのつなぎで見たんだけど、観客も「ジーサンズ」(少数のバーサンズもいたけど)だったなあ。まあ自分もだけど。

ニューヨークの風景が美しい。ブルックリンあたりの話。もう高齢の仲良し3人組がいる。一人が銀行のローンが払えなくなり相談に行ったら、そこに銀行強盗が入って鮮やかな手並みでカネを奪っていった。その後、企業が買収されて年金がストップ。怒った彼らは、人生最後の日々に「初めての強盗」をやっちゃおうと計画する。奪われた自分の金を取り戻すんだと…。
まあ映画の出来としては中レベルのコメディ。もっと重たい日本の新作とか、もっと面白い昔の映画も見てるんだけど、「ジーサンズ」のことを書きたいな。それは主演の3人が見ごたえがあるのと、老人というテーマ、それに日米の違いなんかを考えてしまうからである。日本でも老人が出てくる映画、テレビドラマがあるけれど、どうしても「老人問題」という感じになってしまうことが多い。こんなにカラッと描かれる老人映画を作れば日本でもヒットするんじゃないだろうか。
3人組はすべてアカデミー助演男優賞受賞者で、懐かしい顔ぶれなんだけど皆80歳を超えているではないか。銀行強盗体験をするのは、マイケル・ケイン。1933年生まれの84歳。「アルフィー」「探偵スルース」「リタと大学教授」「愛の落日」と4回も主演男優賞にノミネートされたけど、結局は「ハンナとその姉妹」「サイダーハウス・ルール」と2回助演男優賞を受けた。
誘われる友人の一人は、モーガン・フリーマン。1937年生まれの80歳。「ドライビング・Missデイジー」「ショーシャンクの空に」で主演賞ノミネートも、結局は「ミリオンダラー・ベイビー」で助演賞。最後の一人はアラン・アーキン。1934年生まれの83歳。「アメリカ上陸作戦」「愛すれど心さびしく」で主演賞ノミネートも、結局「リトル・ミス・サンシャイン」で助演賞。
(左からケイン、フリーマン、アーキン)
こういう似たような芸達者が競演してるんだから、それも時々はヨタヨタしながら強盗しようというんだから、つい応援しようかという気になっちゃうわけだ。そして予行演習でスーパーの万引きに挑む。やっぱりプロのアドバイスがいると、ドラッグに手を出して離婚したケインの元娘婿に会いに行く。そんなこんなで、実施になるけど…。うまいのは計画を時系列で描かず、警察に捜査されてからアリバイ工作を見せていること。そこで今までの伏線が生きてくる。もう終わりかと思うと、最後までトリッキーな仕掛けをしていて、そこがウェルメイドな「洋画」という感じ。
これはなんと「お達者コメディ/シルバー・ギャング」という1979年公開の映画のリメイクだという。そんな映画あったっけ。それに原作映画はラストがちょっと悲惨らしいけど、今度の映画はハッピーに終わる。それはいいことでもないだろうが、見てる方も高齢化してるんだから悲惨な結末を直視せよと言われてもヒットしないだろう。ところで、この映画では30年勤めた会社が合併して、年金を負債整理に使わないといけないと言う。そんなことがあるのだろうか。
僕が調べたところでは、アメリカにも社会保障番号が付いた社会保障庁管理の公的年金がある。それはさすがになくならないうだろう。でも、それだけでなく「企業年金」がある。そういう上乗せ分の年金は日本でもあるし、資金運用の失敗とか、担当者の個人的流用なんかで年金が消えてしまう事件は日本でも起こった。だけど、さすがに日本ではその年金の積立金を企業が負債整理に使えるということはないだろう。アメリカでそういうことがあるんだったら、明らかに法制度がおかしい。
それと同時に、「銃が身近にある」ということが自明の前提になっている。だから銀行強盗もできるわけで、日本じゃそういう犯罪は普通できない。高齢で強盗しようかと思うと、やっぱり銃がないとできないなと思う。そこはこの映画は疑問は全然持ってない。3人組の中にモーガン・フリーマンというアフリカ系が入っているけど、これは会社で長年の同僚ということで、わざわざ黒人俳優を入れているという感じもしない。ニューヨークという風土もあるだろうけど、ごく普通という感じ。アメリカ社会を見るためには、むしろ普通レベルの娯楽映画の方が面白い。ザック・ブラフ監督。

ニューヨークの風景が美しい。ブルックリンあたりの話。もう高齢の仲良し3人組がいる。一人が銀行のローンが払えなくなり相談に行ったら、そこに銀行強盗が入って鮮やかな手並みでカネを奪っていった。その後、企業が買収されて年金がストップ。怒った彼らは、人生最後の日々に「初めての強盗」をやっちゃおうと計画する。奪われた自分の金を取り戻すんだと…。
まあ映画の出来としては中レベルのコメディ。もっと重たい日本の新作とか、もっと面白い昔の映画も見てるんだけど、「ジーサンズ」のことを書きたいな。それは主演の3人が見ごたえがあるのと、老人というテーマ、それに日米の違いなんかを考えてしまうからである。日本でも老人が出てくる映画、テレビドラマがあるけれど、どうしても「老人問題」という感じになってしまうことが多い。こんなにカラッと描かれる老人映画を作れば日本でもヒットするんじゃないだろうか。
3人組はすべてアカデミー助演男優賞受賞者で、懐かしい顔ぶれなんだけど皆80歳を超えているではないか。銀行強盗体験をするのは、マイケル・ケイン。1933年生まれの84歳。「アルフィー」「探偵スルース」「リタと大学教授」「愛の落日」と4回も主演男優賞にノミネートされたけど、結局は「ハンナとその姉妹」「サイダーハウス・ルール」と2回助演男優賞を受けた。
誘われる友人の一人は、モーガン・フリーマン。1937年生まれの80歳。「ドライビング・Missデイジー」「ショーシャンクの空に」で主演賞ノミネートも、結局は「ミリオンダラー・ベイビー」で助演賞。最後の一人はアラン・アーキン。1934年生まれの83歳。「アメリカ上陸作戦」「愛すれど心さびしく」で主演賞ノミネートも、結局「リトル・ミス・サンシャイン」で助演賞。



こういう似たような芸達者が競演してるんだから、それも時々はヨタヨタしながら強盗しようというんだから、つい応援しようかという気になっちゃうわけだ。そして予行演習でスーパーの万引きに挑む。やっぱりプロのアドバイスがいると、ドラッグに手を出して離婚したケインの元娘婿に会いに行く。そんなこんなで、実施になるけど…。うまいのは計画を時系列で描かず、警察に捜査されてからアリバイ工作を見せていること。そこで今までの伏線が生きてくる。もう終わりかと思うと、最後までトリッキーな仕掛けをしていて、そこがウェルメイドな「洋画」という感じ。
これはなんと「お達者コメディ/シルバー・ギャング」という1979年公開の映画のリメイクだという。そんな映画あったっけ。それに原作映画はラストがちょっと悲惨らしいけど、今度の映画はハッピーに終わる。それはいいことでもないだろうが、見てる方も高齢化してるんだから悲惨な結末を直視せよと言われてもヒットしないだろう。ところで、この映画では30年勤めた会社が合併して、年金を負債整理に使わないといけないと言う。そんなことがあるのだろうか。
僕が調べたところでは、アメリカにも社会保障番号が付いた社会保障庁管理の公的年金がある。それはさすがになくならないうだろう。でも、それだけでなく「企業年金」がある。そういう上乗せ分の年金は日本でもあるし、資金運用の失敗とか、担当者の個人的流用なんかで年金が消えてしまう事件は日本でも起こった。だけど、さすがに日本ではその年金の積立金を企業が負債整理に使えるということはないだろう。アメリカでそういうことがあるんだったら、明らかに法制度がおかしい。
それと同時に、「銃が身近にある」ということが自明の前提になっている。だから銀行強盗もできるわけで、日本じゃそういう犯罪は普通できない。高齢で強盗しようかと思うと、やっぱり銃がないとできないなと思う。そこはこの映画は疑問は全然持ってない。3人組の中にモーガン・フリーマンというアフリカ系が入っているけど、これは会社で長年の同僚ということで、わざわざ黒人俳優を入れているという感じもしない。ニューヨークという風土もあるだろうけど、ごく普通という感じ。アメリカ社会を見るためには、むしろ普通レベルの娯楽映画の方が面白い。ザック・ブラフ監督。