こどものとも年少版1999年12月号は、スズキコージ作『かくれんぼ』。この絵本が、
私たち親子にとっての、最初のスズキコージ作品です。娘が3歳3ヶ月の時でした。
お話はとってもシンプル。カンちゃん(男)、クンちゃん(女)、レンちゃん(女)、ボンちゃん(男)、
カボちゃん(女)の5人が、じゃんけんで鬼を決めー鬼はカボちゃんー、残りの4人を探していく、
ただの「かくれんぼ」のお話です。ページの中に一箇所づつ窓が開いていて、しかけ絵本になっています。
最後の一人ボンちゃんが、なかなか見つからない以外は、とくに盛り上がるところもなし。
でも、その代わりに、絵の方は、余白というものがいっさいないほど、あらゆる色とあらゆる線で
埋め尽くされています。まさに「スズキワールド」ですね。
スズキコージさんの絵本を見たのは、初めてなものですから、「その時」親の私はびっくりし、
娘はこわがってさえいました。親だったら、誰だって「そんな場所でかくれんぼなんかしたら、
誰かにさらわれちゃうよ」と思わずにはいられないような場所が、表紙から、裏表紙にまで、
びっしり描かれています。
とても怪しげなおばあさんや、怪獣のかたちをしている噴水、きこり、荷車、町なかで楽器を演奏する人、
牛のようにも見える角のある犬(犬のように見える牛かも)などなど。
今思えば、最後の場面で、この「牛犬」にこどもたちが乗っている様は、 『ウシバス』ですね。
単純な名前の付け方にもなんか意味があるのかな?と思っていましたが、全然意味なんかなくって、
かくれんぼの話だから、カンちゃん、クンちゃん、とどんどん決めていったのだろうなあと、今は
思っています。(「こどものとも50周年ブログ」のエッセイで『エンソくんきしゃにのる』の話を読みましたから)
何回か読んでいるうちに、しかけのしくみが娘にもわかってきたので、おそるおそる、窓を開けて
みるようにはなったけれど・・楽しんでいたのかどうかはちょっと思い出せません。きっと今だったら、
「あんな場所で、みんなでかくれんぼしてみたい」と、言うような気はしていますが。
今日2月28日がスズキコージさんのお誕生日、と絵本カレンダーが教えてくれたので、
懐かしい絵本を探してみました。