昨日ジェイ・アール北海道バスの日勝線に関する記事を取り上げましたが、今日はMAKIKYUが日勝線のバスを終点の広尾で下車した後、帯広へ向かう際に乗車した十勝バス・広尾線に関して取り上げたいと思います。
帯広~広尾間はかつて国鉄広尾線と呼ばれるローカル線が走っており、この路線の途中には「愛国」「幸福」をはじめとする縁起の良い駅名が幾つも存在した事でも知られていますが、これらの駅名が並んだ乗車券が一時期大ブームになった(MAKIKYUはこの頃の事は知らないのですが…)とはいえ、国鉄末期の大赤字の中では不採算線区の一つである事には変わりがなく、国鉄広尾線はJR北海道に引き継がれる事はなく、1987年の国鉄民営化直前に残念ながら廃止されています。
そのため昨日取り上げたジェイ・アール北海道バス日勝線(旧国鉄バス)も、鉄道の終点間を結ぶ鉄道連絡路線ではなくなっていますが、廃止された広尾線の代替交通機関としては、帯広を中心に十勝一帯の路線バスを手がける十勝バスが、国鉄廃線後20年以上を経た現在に至るまで、帯広~広尾間の路線バスを運行しています。
現在系統番号60番が付けられているこの路線は、十勝バスでも広尾線と呼ばれ、かつては快速便なども存在した様ですが、現在は普通便のみの運行となっており、80km強に及ぶ帯広~広尾間を、2時間以上かけて走破しています。
そのため一般路線バスとしては比較的長距離の部類に入り、十勝平野の広大な農村風景の駆け抜けるこの路線はなかなか乗り応えがありますが、車窓風景に加えて「○○□号線」(○は地名・□は数字が入ります)といった停留所が幾つも続く様は、如何にも北海道ならではと感じさせられるものです。
運賃も全区間を乗り通すと1830円を要し、十勝バスでは回数券も1乗車1人3枚までしか使用出来ないのは少々手痛い感がありますが、運行本数は1日14往復(但し土休日運休の便もあり)が運行され、広尾発の始発は5時台、帯広発の終車も21時頃(広尾到着は23時過ぎになります)となっており、土地柄を考えるとかなり健闘している部類に入ると言えます。
現在使用されている車両も、十勝バスではお馴染みの黄色い塗装の車両ではなく、「南十勝夢街道」と書かれ、虹をイメージした専用塗装の車両が用いられています。
この車両は一般路線タイプとはいえ、比較的長距離を運行する事もあって、座席も背もたれが大きく、比較的高級感のある座席(リクライニングまでは付いていませんが…)を装備していますが、車両自体は現在大型車が主力とはいえ、一部で中型車も運用されており、MAKIKYUが乗車した際は中型車による運行でした。
またかつての広尾駅舎も、現在も十勝バスの案内所(十勝バスの終点は別の場所ですが、ジェイ・アール北海道バスの起終点や乗り継ぎはこの場所になります)として活用されており、ここで広尾発の十勝バス定期券や硬券乗車券(朝5時台の始発前から窓口が開きます)も扱っているほか、駅舎内は広尾町鉄道記念館として、国鉄広尾線に関する資料や写真の展示が行われており、鉄道運行当時の改札までそのまま残存している事は嬉しい限りです。
広尾線沿線では他にも幾つかの駅が、今でも姿を留めていますので、今回の旅行では時間の関係もあって立ち寄れず、十勝バス広尾線を乗り通す旅となったのですが、その内また広尾線沿線を訪れる機会があれば、これらも是非訪問してみたいと感じたものです。
あと「愛国から幸福ゆき」の乗車券は、広尾での取り扱いはないものの、現在広尾線を運行する十勝バスでも、硬券による乗車券(勿論券面区間での利用も可能です)を販売しており、帯広駅前にある案内所で購入する事が出来ますので、MAKIKYUも1枚購入して来ました。
この乗車券の地紋は、広尾で記念に購入した新生までの乗車券(広尾で発売している硬券乗車券の中で最も額面の安い乗車券で、係員の方によると記念に購入するケースも多いとの事です)とは異なっており、また十勝バスの回数乗車券もまた異なる地紋を用いているのは特徴的です。
(硬券乗車券は「幸福から愛国ゆき」の方が新タイプの地紋ですが、この地紋の表記は「とかち」と「TOKACHI BAS」(BUSではない)になっているのも特徴です)
写真はMAKIKYUが乗車した広尾線の中型車(帯広駅到着後に撮影したもので、行先表示は回送になっています)と主力の大型車(帯広到着の翌朝撮影したもの)、乗車中のワンシーンと広尾駅舎、十勝バスの硬券乗車券と回数券(赤斜線はMAKIKYUが追加)です。