先日JR北海道の標準仕様特急形車両とも言える789系電車に関して取り上げましたが、この形式は新幹線連絡特急・スーパー白鳥号用として導入された車両の他に、道央地区で国鉄時代から活躍していた781系電車の老朽取替え用に、昨年になって導入された車両があります。
この車両は789系の中でも1000番台と呼ばれており、MAKIKYUも先日北海道を訪問した際に初めて乗車する機会がありましたが、道央地区で活躍する785系電車と極力使用を合わせて設計され、同系と共通運用される事もあって、編成はuシートと呼ばれる指定席車1両を含む5両固定編成となっています。
グリーン車の組み込みはなく、塗装も785系とほぼ同等の装いとなっているなど、スーパー白鳥号用車両とは同形式を名乗りながらも、随分様相の異なるものとなっています。
デザイン的にはスーパー白鳥号用の789系や、気動車ながらも789系とほぼ同等のデザインとなっているキハ261系などと類似しており、JR北海道の新標準仕様特急用車両の一群と言えますが、旭川方面からの特急の一部は、札幌から快速「エアポート」として新千歳空港まで運転されており、この列車は時間帯によってはかなり混雑する事もあって、乗降性を高めるために各車両の客ドアを片側2箇所としている事は、他のJR北海道新標準仕様特急用車両との違いの一つと言えます。
常時5両固定編成で運用し、増結を行わない事もあってか、前面のデザインこそ他のJR北海道新標準仕様特急用車両と類似していながらも、貫通路は設けられずに非貫通形となっている事も特徴ですが、貫通扉だけでなく最前部への通路も設けられていない事から、ほぼ同等のデザインを採用している他のJR北海道新標準仕様特急用車両とは異なり、前面展望を楽しむ事が叶わない構造となっている点は惜しまれます。
とはいえ前面展望はその気になれば、789系1000番台の定期旅客列車としての運転区間では、千歳線の1駅間(南千歳からの盲腸線部分:地下区間で車窓を楽しむ事は出来ませんし、終点もMAKIKYUにとっては用のない所ですので、MAKIKYUは先日北海道へ出向いた際にようやく乗車した程です)を除き、他列車で楽しむ事が可能ですので、老朽取替えによる大量増備(JR北海道の規模から考えての話ですが…)を実現する為に割り切ったものなのかもしれません。
車内も構造的には、uシートを除くとスーパー白鳥号用の789系や、キハ261系の普通車とほぼ同等の構造となっていますが、真っ白なFRP製の天井(スーパー白鳥号用の789系や、キハ261系では濃いブルーになっているのが特徴的です)などを見ると、内装は特急用車両としてはやや簡素な感がありますが、一方でuシート車の各座席にはコンセントが設けられている点などは評価できるもので、ビジネス需要主体の列車として使う事を前提に、シンプルながらも機能性を重視した車両となっている事を実感させられたものです。
現在この車両は基本的に室蘭方面への「すずらん号」には運用されないものの、札幌~旭川間の電車特急「スーパーカムイ号」で785系と共通運用されており、同区間の特急やそれに関連する運用では、789系1000番台の運用比率がやや高い状況となっています。
この車両の導入によって、今まで車両性能の違いなどによって「スーパーホワイトアロー号」「ライラック号」と分けられていた札幌~旭川間の特急列車が、これらを統合した「スーパーカムイ号」として統一されており、これによって昼間完全30分間隔による分かり易いダイヤが実現すると共に、列車によるグレードのばらつきも随分緩和された事(厳密に言えば旭川以遠の道東方面などからの気動車特急が少数混じっており、これらの一部は所要時間や車両グレードなどで随分な違いがあるのですが…)は大いに評価すべき点と言えます。
785系とは色々差異も見られます(こちらもその内取り上げたいと思います)ので、両者の好みは分かれる所ですが、785系と共に北の大地を駆け抜ける電車特急として、今後末永く活躍する事に期待したいものです。
(ちなみに写真はJRマークを表示しており、列車を特定できない状況ですが、快速エアポート号乗車の翌日に、たまたま発寒駅を通過するホームライナーを撮影したものです。)