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旧国鉄志布志線代替バス~運行開始当初の車両が今日でも活躍

2010-03-13 | バス[九州本土]

 

「MAKIKYUのページ」では、先月MAKIKYUが乗車した日南線を走る観光特急「海幸山幸」号や、快速「日南マリーン」号に関する記事を取り上げましたが、MAKIKYUがこれらの列車を乗り継いで日南線の終点・志布志に到達した後は、来た道をそのまま戻るのも…という事で、鹿児島交通グループの路線バスを利用したものでした。

志布志はかつて日南線の他に鹿屋・垂水を経て国分に至る大隅線と、都城へ抜ける志布志線との3線が発着する要衝だった事でも知られていますが、この両線は共に国鉄末期の分割民営化直前に廃止され、第3セクター鉄道への転換も実現せずに路線バス代替となっています。

この大隅・志布志両線の代替バスは、鹿児島交通グループ(近年のグループ再編で、大隅半島内を運行するバスは、大隅交通ネットワークなどの子会社が運行を担っています)が運行しており、大隅では代替バス以外の既存路線バスと合わせ、現在では同グループがその大半を占める状況になっています。

その中でも志布志~鹿屋~垂水間の大隅線代替バスと、垂水~鴨池(鹿児島市内)のフェリーを乗り継ぐルートは、志布志~鹿児島市内間を公共交通機関で移動する際には最も一般的で、運行本数も土地柄の割には至便(志布志~鹿屋間で毎時1本程度、鹿屋~垂水間と垂水~鴨池間は毎時2本程度かそれ以上)ですので、MAKIKYUも過去に利用した事がありますので、先月の訪問時にはそれ以外のルートを使ってみようと思っていたものでした。

MAKIKYUが志布志を訪れた際には、比較的至便な大隅線代替バスは勿論、丁度良い時間に運行する便があったのですが、それ以外に国分を経て鹿児島空港へ至るバスと、県境を跨いで都城へ至る志布志線代替バスの2路線も丁度良い時間にありましたので、比較的便数が少なく乗り難い志布志線代替バスに乗車したものでした。

志布志線代替バスは高校生の通学が主な任務となっている様で、運行ダイヤも主に通学時間帯に合わせた運行となっている様に見受けられ、MAKIKYUが乗車した際には一部区間で高校生が多数乗車した他は乗客の姿もまばら、都城手前で県境を越える時には車内も閑散とした状況でしたので、旅行者にとって利用し難いダイヤも止む無しといった感があり、よくこんな所に国鉄分割民営化直前まで鉄道が走っていたと感心してしまう程でした。

そのため比較的開けた印象がある鹿屋などを通り、その気になれば鉄道存続も可能だったのでは…と感じてしまう大隅線代替バス沿線に比べると、沿線は随分長閑な印象を受けたものでしたが、起伏のある台地を走る志布志線代替バスは車窓の変化に富み、一部で大型バスが通行するには比較的道幅が狭い所を走り、サイクリングロードに転用された旧志布志線跡と並行する区間を走るなど、片道1時間半程度の乗車時間も飽きる事無いものでした。

しかも鹿児島交通グループの賃率が低く抑えられている事もあって、運賃表には初乗り運賃の「130」が幾つも並ぶ姿が見られ、旧志布志線に相当する志布志~西都城間を乗車して980円、終点の都城まで乗り通しても1030円と、MAKIKYUが利用したRapicaなどのICカード乗車券を利用すれば、全線を乗り通しても実質1000円以下(Rapicaなどを利用する場合、1000円入金した場合に1100円分チャージされます)という、乗車時間や距離の割に割安な運賃設定も評価できるものです。

また使用車両も、MAKIKYUが乗車したバスは鹿児島交通グループでは数少ない宮崎ナンバーの車両で、見た目は他の鹿児島交通グループで活躍する車両と大差ないものの、写真のAEROSTAR Mは専ら志布志線代替バスに充当されている様です。

AEROSTAR Mは製造年月が長く、最後期の平成8年(1996年)製ともなれば排ガス規制によって古参車両が使用できない大都市圏でも走っていた車両である上に、写真の志布志線代替バス充当車両に限らず、鹿児島では一般的な仕様ともいえる黒い引き違い窓に4枚折戸の中扉、エアサスにハイバックシートという装備も、一般路線バスの中ではハイグレードな部類に入ります。

これに加え鹿児島交通グループの椰子の木を散りばめた装いも、車両をより近代的な印象に見せる雰囲気があり、見た目はさほど古さを感じさせず、むしろ首都圏で最近まで走っていたAEROSTAR Mよりも上等に見える程です。

しかしながらMAKIKYUが志布志線代替バスで乗車した車両の製造は昭和62年(1987年)と、製造から既に20年以上を経過した古参車で、鉄道廃止→志布志線代替バス運行当初から今日までずっと走り続けている事になり、鹿児島交通グループでも鹿児島市内を中心に大量に導入している大都市圏からの中古車導入などで、いつ代替されても不思議ではないのが現状です。

大隅半島ではこの車両に限らず、同レベルの車両がゴロゴロしており、大型路線車の古参車両が好きなMAKIKYUとしては、この様な車両に当たるのは大歓迎ですので、志布志線代替バスへの乗車は路線・車両の両面で非常に満足感を感じるものでした。

大隅半島内を走る鹿児島交通グループの路線バスは、志布志線代替バスに限らずとも趣味的に興味深く、珍車の部類に入る車両の活躍なども見られますので、志布志周辺を訪問する機会がありましたら、日南線乗車と共に、鹿児島交通グループの路線バス乗車も検討してみては如何でしょうか?