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ダイヤ改正で消滅した「直行」列車~西鉄独自の種別は見納めに

2010-03-31 | 鉄道[九州・私鉄等]

 

日本一のバス事業者であると共に、本州以外で鉄道を運行する唯一の大手私鉄としても知られる西日本鉄道(西鉄)は、今月に入ってからICカード(nimoca)の他カード(SUGOCAなど3種)との相互利用開始や、新駅(紫駅)開業とこれに伴うダイヤ改正、割引率の高さが魅力的な磁気SFカード(よかネットカード)の発売終了など、大きな動きが目白押しとなっている事は、ご存知の方も多いかと思います。

この様な大イベントは日を同じくするのが通例ですが、西鉄では今月に入ってからのこれらの大イベントは全て異なる日(前者から順に13日・27日・31日)となっている点は、様々な事情が存在しているとは思いますが、極めて異色と言えます。

その中でも先日紫駅開業と共に行われたダイヤ改正では、天神大牟田線で平日朝ラッシュ時間帯にだけ運行していた2種別が消滅し、列車種別は全日各時間帯において運行する特急・急行・普通の3種に整理されましたので、西鉄電車を使い慣れない人間にも単純で分かりやすい運行体系になったと言えます。

ちなみに先日のダイヤ改正で消滅した2種別は「快速急行」「直行」の2種別で、快速急行の方はMAKIKYUが乗車する機会はないまま終焉を迎えてしまいましたが、直行の方は先月MAKIKYUが九州へ出向いた際にも、始発の福岡(天神)から1駅だけながら乗車する機会がありました。

「直行」と聞くと、MAKIKYUは西鉄電車の走る福岡から高速船で北上し、所要3時間程の半島各地を走る市外バス(主に観光タイプの車両を用いる都市間バスですが、座席は先着順の自由席である事が殆どで、彼の地では高速バスとは別種のバスとして運行しています)を連想してしまいますが、日本の鉄道(ケーブルカーを除く)における列車種別では、近年では西鉄が唯一の存在でした。

西鉄電車の「直行」は英訳が「NON-STOP」ではなく「STRAIGHT」を用いていたのも特徴的で、かつては福岡を出ると途中停車駅がなく、終点まで直行していたのですが、近年は薬院駅にも停車しており、「直行」という種別名にも関わらず途中停車駅が存在していた事も異色でした。

また「直行」は平日の朝ラッシュ終わり頃に、福岡(天神)へ到着した列車を折り返して車庫(筑紫)に戻す際、実質回送と言っても過言ではない下り方面の車両を、何本かだけ「直行」として二日市まで営業で走らせていた状況でしたので、日頃西鉄電車を利用している方でも馴染みは…という方が多いかと思いますし、九州外の人間であるMAKIKYUなどは尚更です。

その上二日市までの停車駅は「特急」と全く変わらず、朝ラッシュ終わり頃の下り数本のために、わざわざ別種別を設定していた事は異例と言えます。

今までこんな列車が走り続けていた事自体が不思議なもので、「直行」廃止→急行格下げで途中駅の利便性向上を図る事は、MAKIKYUは妥当な施策と感じ、同感と思われる方も多いかと思います。

停車駅増加は勘弁と感じる方も、二日市行きの特急として走らせれば…と思われる方が大勢かと思いますので、実効性のない種別を増やす事で不慣れな利用者を混乱させる事を考えると、「直行」廃止は妥当な施策と言えます。

とはいえ西鉄電車にしか存在しない異色の種別が消滅した事は、他の大手私鉄には見られないサービスが幾つも存在する西鉄の独自色が薄れ、趣味的には寂しいと感じてしまう一面もあります。

「直行」は他鉄道では見られない種別として知られていただけに、定期列車で姿をみる機会は無くなっても、イベントや臨時列車での登板に期待すると共に、西鉄電車で異色の種別が用いられていた事を、記憶の片隅に留めておきたいものです。