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JR東日本 209系2000番台~見るからに貧相な転用改造車

2010-03-26 | 鉄道[首都圏・JR]

先日MAKIKYUが房総半島へ出向いた際には、昨年から千葉地区のJR線で活躍を開始し、今月のダイヤ改正以降に運用が大幅に増大した209系2000番台車に、初めて乗車する機会がありました。

この車両は千葉地区では昨年から運用開始したとはいえ、「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称」で呼ばれる事が多く、粗製乱造車の代名詞と言っても過言ではない209系という形式を名乗っているだけあり、当然ながら新造車ではなく、相次ぐ故障の発生などで運用離脱となった京浜東北線車両(209系0番台)の一部を、4両と6両の短編成に組み替えて千葉地区向けに転用したものです。

千葉地区向けの転用改造に伴い、車両番号が2000番台という大きな番号に改められていますが、車体に標記された形式番号は、車両によっては元の番号を剥がした後が見受けられるなど、如何にも転用改造車という雰囲気を漂わせています。

 
外観はラインカラーを、房総地区で活躍中の211系電車と同じ黄色と青のラインに取り替えた事や、スカート(排障器)が大型のモノに取り替えられた事が目立ち、中間車を見てもトイレ取り付け改造で窓を塞がれた姿は、見るからに改造車を意識させられるものです。

連結器も4・6両の編成を組み合わせて8・10両を構成する事も多い事から、自動開放装置を取り付けている事も特徴で、行先表示器も既に209系の一部番台で用いられているLED式に取り替えられています。

しかしながら行先表示器をLED式に改めながらも、今流行のフルカラーではなく3色表示となっており、路線毎に色分けを行う為に211系を転用した際には、前面種別表示をわざわざLED→字幕に改めた程の千葉地区にしては…と感じてしまいますが、その案内も「路線名」と「路線名・行先」を交互表示(例:「内 房 線」→「内房線 木更津」)する形態となっており、やたらとしつこく路線名を強調する案内が非常に特徴的です。

また千葉地区への転用に際しては、下回りの制御機器などを横須賀・総武快速線で活躍するE217系(現在改造進行中で、改造車と未改造車の混成編成もよく見かけます)などと同様に、最新型と同レベルのモノに取り替えているのも大きな特徴です。

その一方で貧相で薄暗い印象が否めない化粧板などは相変わらずで、車内設備へのテコ入れは最小限に留められていると感じたもので、車両更新に対する考え方は、関西の有名球団を抱える某大手グループ私鉄の車両などとは対照的なものです。

千葉地区への転用に際して変わった点としては、先頭車両だけボックス席を配置したセミクロスシートに改められ、辛うじて近郊型と言い訳出来る設備に改められたほか、先述の通り一部中間車に車椅子対応型のトイレ設備が設置されている事が挙げられます。

 

先頭車は座席配置を改めると共に、そのモケットも山手線車両を連想させる緑色系となっているのが特徴的ですが、ボックス席は最近のJR東日本車両では一般的な形態の座席ながらも、片持ち式ではなく通路側足元に脚が設置されているのが特徴的です。

車内設備の目玉とも言えるボックス席も、窓割は京浜東北線時代の突貫工事で一部開閉可能とした窓柱とは一致していませんが、これに加えて中間車は座席モケットすら既存のまま存置しているため、編成内での釣り合いが取れていません。

その上車両番号標記は車外に限らず、車内側も後から改番された番号のステッカーを上から貼り付けているだけであるなど、如何にも最低限の転用改造だけを施したと主張している様に感じられ、その醜態は余りに貧相と言わざるを得ないのが現状です。


それでも車両自体は平成に入ってからのステンレス製車両で、国鉄時代から使い続け、潮風に吹かれて長年酷使している車両に比べれば…という見方もあるかと思いますし、既に東京方面直通の快速列車で4ドア車が活躍している区間ではさほどの違和感がないかと思います。

混雑時に威力を発揮する事も考えると、千葉駅を基点に片道1時間程度の運行列車(君津・上総一ノ宮・成東・成田辺り)であれば、まあ許容範囲と言えなくもない気がしますし、MAKIKYUが先日房総半島で乗車した209系はどれも短時間乗車でしたので、ほぼ通勤型の設備もさほど苦にはならなかったものです。

ラッシュ時間帯には6+4両の10両編成で、京葉線東京直通列車に使っても悪くないかと感じたもので、少なくとも乗務員室がやたらと広く、客室空間が狭いJR東日本の最新鋭標準型を6+4両編成で走らせ、デッドスペースが大きくなるよりはずっと良いかと思いますし、踏切事故対策の衝撃吸収構造も、京葉線の路線特性を考えると必然性は乏しいかと思います。

しかしながら元が短時間乗車を前提とした通勤型電車で、その中でも「某社レンズ付きフィルムに良く似た名称」で呼ばれる事が多く、粗製乱造車の代名詞と言っても過言ではない安物車両の中でも最もタチの悪い車両であるだけに、とりあえず改造で最低限近郊型としての体裁を整えているとはいえ、千葉駅から銚子や安房鴨川まで乗り通すのはとても…と感じたのが実情です。

それでも割増料金を払う事で、特急列車やグリーン車といった異なる選択肢を選べる路線・区間ならまだしも、千葉地区では昼間時間帯に特急列車が全く走らず、普通列車の普通車以外に選択肢が存在しない路線・区間が幾つも存在しています。

そうなると割安な青春18きっぷなどで乗車するのであればまだしも、普通乗車券を購入して長距離移動に利用したいと思える車両ではなく、こんな車両ばかりになってしまった暁には、2時間以上も乗り続ける事を考えると、場合によっては高速バスなど他の交通手段の利用も…と感じてしまったものでした。