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両備フェリー「おりんぴあどりーむ」~デザイナーの特色が随所に…

2013-05-03 | 船舶[日本国内]

先日「MAKIKYUのページ」では、高松~土庄(小豆島)間を結ぶ四国フェリー「第7しょうどしま丸」に関して取り上げましたが、その後小豆島を離島する際には、土庄から今度は岡山(新岡山港)行きのフェリーを利用したものでした。

土庄~岡山間のフェリーは3艘が就航していますが、その内1艘は四国フェリーによる運航となっており、この船は第7しょうどしま丸などと同じ装いになっていますので、見た目は高松航路と大差ない印象を受けます。

岡山航路に就航する他の2艘は、両備グループの両備フェリーが運航しており、四国フェリー運航便とは運行時刻が分かれていますが、両者は共同運航を行っています。

運賃が同一であるだけでなく、乗車券類なども共通利用可能になっており、運行時刻も両者が競合する事なく、合わせて13往復が就航しています。

その中でも両備フェリー運航便は、「おりんぴあどりーむ」「にゅーおりんぴあ」の2艘が就航しており、基本的には1日毎に両者の運航ダイヤが入れ替わる形態となっています。

2艘の内新しい「おりんぴあどりーむ」の方は、某有名デザイナーのデザインを多数起用している両備グループらしく、内外共に非常に特色ある船となっており、初めて両備フェリーを利用するなら是非こちらを…と思い、HPで公表されている運航スケジュールに予定を合わせ、この船を狙って乗船したものでした。


外観は白を基調とした装いや、大きく取られたガラスなどのお陰で、明るく開放感のある船と言う印象を受け、英文字やロゴなどが散りばめられている姿は、某デザイナーが関与した船ならでは…と感じます。


そして船に乗り込むと、JR九州の新型一般型車両座席(MAKIKYUの知人の中には、この座席を大絶賛している者も居るのですが…)を連想させる、反り返った形状の背もたれが特徴的な木製ベンチなどが多数見受けられる様も、某デザイナーが関与した船ならでは…と感じます。


乗船時には使用休止(冬季はお休みの様です)となっていましたが、甲板には足湯区画が設けられているのも、他のフェリーでは余り見られない大きな特徴です。


船内客室は白を基調としたシンプルながらも明るい印象の天井や、木材を多用した座席、様々な柄を用いた座席モケットなどは、非常に特徴的です。


売店コーナーやトイレの入口などには、これまた最近の某デザイナーが関与した鉄道車両ではお馴染みの存在になっているロゴ入りのれんが見受けられます。


壁面にも数々のイラストが掲げられているなど、船内は某デザイナーのデザイン展状態と言っても過言ではない雰囲気を受ける状況です。

そのため日頃土庄~岡山航路を利用し慣れた地元利用者などには余り新鮮味はないかと思いますが、遠方から観光などで小豆島を訪れる旅行者にとっては、船内は独特の非日常的空間が拡がっていると感じるものです。

船内客室の色使いや数々の特色を見ると、船の大きさや設備・形状などは大きく異なりますが、この独特なデザイン空間に身を置きながら海面をクルージングしていると、同じデザイナーが関与しているJR九州高速船「BEETLE」に乗船しているかの如く錯覚させられる面も…と感じます。

また一般のフェリーとは大きく異なる独特なデザイン空間故に、船内を散策していると1時間程度の乗船時間はあっという間、近年JR九州で流行している「観光列車」の船舶版と言っても過言ではない印象も受けたものです。


ただ乗船時間がさほど長くない事もあってか、座席など設備面でのグレードは決して高いとは言い難く、鉄道車両のリクライニングシートを連想させる形状の、窓際に設置されている向かい合わせ配置のハイバック型座席でもリクライニング機能はありません。

ゆったりとしたソファーやリクライニングシートが設けられ、乗船時間の割には高級な設備と感じた、四国フェリーの高松~土庄航路で用いている「第7しょうどしま丸」に比べると、小豆島発着航路を使い慣れた利用者が乗船し、船内でゆったりと過ごすという観点では、見劣りが否めない部分も感じたものです。

とはいえ岡山発着航路だけあり、発着する新岡山港の交通利便性は芳しくなく、同港周辺の公共交通機関は、フェリーに接続する両備グループの路線バス(近年両備バス→岡山電気軌道に移管)が運行されている程度という難点もありますが、新幹線などで各地から岡山へ向かい、その後小豆島へ向かうには便利なルートで、バスとセットで割引された「かもめバスきっぷ」の設定もあります。

某デザイナーならではの独特なデザインは、好みが大きく分かれる所かと思いますが、小豆島へ足を運ぶ機会があれば、高松~土庄航路など他航路も多数ありますので、往復で異なる経路を用いる周遊ルートを構成しながら、様相の異なるフェリーを乗り比べるのも面白いと感じたものです。

小豆島発着航路は、「おりんぴあどりーむ」が就航している新岡山~土庄航路以外にも、本州方・四国方共に両備グループが運航している航路が存在しています。

両備グループは鉄軌道や路線バスでも、JR九州グループと並び、某デザイナーならではの独特なデザインを内外に施した車両を多数運行していますので、他の両備グループが運航する小豆島発着航路でも、今後船舶入れ替えやリニューアルなどで、今後「おりんぴあどりーむ」に続くデザインフェリーが出てこないかも気になる所ですが、興味のある方は是非一度「おりんぴあどりーむ」に乗船してみては如何でしょうか?