先日「MAKIKYUのページ」では、先月MAKIKYUが鹿児島~奄美大島(名瀬新港)間で乗船した奄美海運「フェリーきかい」に関して取り上げましたが、名瀬新港でフェリーを下船した後は予約していたホテルに荷物を預け、その後島内路線バスを運行している道の島交通の本社へ出向いたものでした。
奄美大島の路線バスは、数年前までいわさきグループの奄美交通が多数の路線を持ち、他に旧名瀬市内やその近郊などで、旧岩崎バス(いわさきグループや、同グループのいわさきバスネットワーク(旧林田産業交通→林田バス)とは関係ありません)による路線バスの運行が行われていました。
しかし最大手だった奄美交通は事業廃止・撤退、岩崎バスが社名を改めた「道の島交通」は従来からの路線運行に加え、旧奄美交通のバス路線・車両などを引き継ぎ、現在奄美大島内の路線バスの大半を担っており、離島のバス事業者では屈指の規模を誇ります。
MAKIKYUが名瀬到着後、真っ先に道の島交通の本社へ足を運んだのは、同社のフリーパス(1~3日用)が通用当日からの発売のみ、それも基本的に車内販売を実施しておらず、本社などの乗車券発売窓口のみ(古仁屋や奄美空港でも発売窓口あり)となっており、島内を路線バスで廻るにはフリーパスは必須…という事で、まず最初に足を運んだものでした。
(ただ鹿児島からの沖縄航路で早朝名瀬到着の場合、フェリー接続の古仁屋行き早朝便では、フリー乗車券の車内発売を行っています)
そして道の島交通本社で2日間のフリーパス(3000円)を購入した後は、まずはどの路線から乗車しようか…と思案している所に、大回りで龍郷方面へ向かう秋名経由ビッグⅡ行きのバスが到着、この便は現在道の島交通で最古参の部類に入り、機会があれば是非乗車したいと思っていた昭和61年製のいすず中型車での運行でした。
早速やって来たこのバスに乗車、来島早々幸先の良いスタートと感じたもので、オリジナル塗装への変更などもあってか、年式の割には綺麗な車両と言う印象を受けましたが、この車は古参車だけあって予備車になっている様です。
外観はトップドアである事を除くと、如何にも路線バスと言った雰囲気ながらも、車内はリクライニングシート装備の豪華版、これなら名瀬から古仁屋や佐仁など、片道で所要1時間を越える路線でも…と感じる車両です。
荷物置きも設けられていますので、余程の多客(東京・大阪~奄美のジェット機就航便接続など)が見込まれる場合でなければ、空港線に充当するのも悪くなさそうな気がします。
車内の座席カバーにはいわさきグループの紋章が記され、如何にも旧奄美交通引継ぎ車といった雰囲気が漂っていますが、社名の英文表記が奄美交通は「AMAMI KOTSU K.K」、鹿児島交通が「KAGOSHIMA KOHTSU K.K」と、「交通」部分の英文表記が異なっているのは統一性がなく、少々違和感を感じます。
また行先表示も旧奄美交通の幕を使用している車両には、ビッグⅡ行きの装備がないため、行先表示を白幕表示とした上で、行先を表示した紙を掲出して対応しているのも特徴です。
車内にはデジタル式運賃表示器の設置はあるものの、道の島交通では各車両に音声合成装置などを搭載していないため、旧奄美交通引継ぎ車ではテープデッキを装備した車両もあるものの、全て乗務員によるマイク案内となっているのも特徴的です。
閑散地域の自治体バスなどでは時折見かけるこの形態も、そこそこの規模で路線バスを運行している事業者にしては珍しいと感じます。
(MAKIKYUが知っている限りでの同種事例は、本土では日田バスや大井川鉄道、旧蒲原鉄道辺りですので…)
ビッグⅡまでこのバスに乗車した後は、今度は佐仁行きのバスに乗車し、島内路線バスの最北端へ向かったものでしたが、今度もまた旧奄美交通のいすず中型車でした。
奄美交通ではいすず車を主体としていた事もあり、同社から路線と車両を継承して事業拡大した道の島交通でも、いすず車が最大勢力となっています。
こちらは年式的にはやや新しく、装いはいわさきグループ塗装+椰子の木の代わりにハイビスカス模様の旧奄美交通塗装のまま、中扉付きで座席も通常の路線バスタイプであるなど、先程の古参車よりはややグレードが落ちます。
とはいえ大型リクライニングシート車とマイクロバスが同一路線に充当される程車両格差が大きく、車両のダウンサイズ化が進む道の島交通では、これでも割合「当たり」の部類で、個人的には旧奄美交通引継ぎ車に当たれば、どの車両も悪くないと感じる程です。
その後も最初に乗車した車両と同レベルのグレードを誇り、前面形状が自家用バスなどでよく見られる前面窓拡大版の車両などに当たったもので、乗車した車両は、最初に乗車した車両とはまた異なったオリジナル塗装となっていました。
ただこのタイプには鹿児島交通塗装(鹿児島で使用した後に奄美交通移籍→道の島交通へ再移籍した車両など)やラッピング車も存在しており、主力車両の一端を担う旧奄美交通引継ぎのいすず中型車だけでも、結構なバリエーションが存在しています。
また奄美交通引継ぎ車だけでなく、特定輸送用途から転用したと思われるいすず製中型車が、古仁屋方面の路線で活躍している姿も目撃しています。
こちらは残念ながら乗車機会こそありませんでしたが、中扉付きにも関わらず「前乗り」となっており、その事を記した紙を掲げている姿は、非常に特徴的と感じたものでした。
(奄美大島内を走る道の島交通の路線バスはトップドア車も多く、この場合は当然「前乗り前降り」となりますが、中扉を装備しているバスは基本的に「中乗り前降り」となっています)
2日間の奄美大島滞在では、観光なども兼ねていた事もあり、道の島交通で活躍する車両全てに遭遇する事は到底…という状況でしが、いすず中型車以外にも様々な車両に遭遇しており、これらも近日中に追って取り上げたいと思います。