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加計呂麻島を走る加計呂麻バス~人口2000人に満たない離島ながらも…

2013-06-07 | バス[九州離島・沖縄]

先日「MAKIKYUのページ」では、奄美大島・古仁屋から加計呂麻島へ向かう町営フェリー「フェリーかけろま」に関して取り上げましたが、このフェリーかけろまが就航する加計呂麻島は人口2000人に満たない離島で、行政的には古仁屋などと同じ大島郡瀬戸内町に属します。

古仁屋自体が奄美大島(離島)ですので、加計呂麻島は「離島の離島」と言っても過言でなく、古仁屋自体も決して足を運び易い所ではありません。

奄美諸島在住者や出身者、奄美大島などに知人が居住している方や、島旅が好きな方などを除けば、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方の中でも、足を運ばれた事がないという声が多数かと思いますし、中には「加計呂麻島」という名前を聞いても、具体的な場所が思い浮かばないという方も居られるかと思います。

しかしこの小さな離島・加計呂麻島でも、古仁屋への航路が発着する瀬相・生間両港を結ぶ路線をはじめ、両港から島内各地へ向かう民営路線バスが運行しており、島内全路線は加計呂麻バスが運行を行っています。

島の規模などを踏まえると、本土から遠く離れた人口の少ない離島において、民営の路線バス運行が行われている事自体が驚異的と感じる程です。

使用車両は奄美大島の道の島交通でもお馴染みの存在になっている日産シビリアンが主力となっており、旧奄美交通に吸収され、昔奄美大島内の一部路線を運行していた旧林バスの装いを今日まで残しているのも大きな特徴と言えます。


MAKIKYUもフェリーかけろまで加計呂麻島へ足を運んだ際には、加計呂麻バスにも一度乗車したのですが、各路線は瀬相・生間両港で古仁屋からのフェリー発着に合わせて運行しており、フェリー到着後程なく、複数台のバスがほぼ同時刻に島内各方面へ向かうダイヤを構成しています。


MAKIKYUが加計呂麻バスに乗車した際は、主力シビリアンの中でも、古参の部類に属する車両に当たり、車体脇に錆が見受けられる状況などは、潮風に吹かれる過酷な離島の環境下で、永年走り続けてきた車両ならでは…と感じたものでした。


ただシビリアンも年式は様々で、行先表示は車内ガラス内側に出しているため、前面上部にコブの様な行先表示器こそ存在しないものの、道の島交通の主力車とほぼ同レベルと感じる車両も活躍しています。

シビリアン以外にも、マイクロバスは日野リエッセが1台在籍している様で、貸切などの際には優先的に充当される様ですが、こちらは残念ながら姿を見る事はできず、予備車として車庫で待機している事が多い様です。

この他一部便はワゴン車による運行となっており、実際にワゴン車が「路線バス」として稼動している姿も目撃しています。


奄美諸島では加計呂麻島よりもはるかに大きく、人口も多い喜界島や沖永良部島(船で通過しただけで、実際に島内へ足を踏み入れた事はないのですが…)でもワゴン車による路線バス運行が当り前になっている様ですので、むしろワゴン車よりもマイクロバスによる運行の比率が高くなっている事は、加計呂麻バスが離島のバスにしては健闘している部類である事を示しているかの如く感じたものです。

ちなみにMAKIKYUが乗車した加計呂麻バスのシビリアンでは、奄美大島の道の島交通ですら音声合成装置などによる車内放送がない位ですので、当然ながら車内放送も存在せず、それどころか乗客の大半が顔見知りの常連客と言う事もあり、時折余所から加計呂麻島へ足を運び、バスを利用する観光客などが乗車した時だけ、適宜案内を行う形態をとっています。

過疎地だけあって当然ながらほぼ全線が自由乗降、常連客の場合は特に行先などを告げなくても、自宅の目の前でバスが停車する辺りは、如何にも離島のバスと言った印象があり、また乗客だけでなく荷物輸送も行っているのも大きな特徴です。


運賃収受も車内に運賃箱の設置はなく、乗務員が直接収受する形態となっており、釣銭用の小銭も携帯しているのですが、車内には今時なかなか目にする事がない旧式の手動両替器も設置され、この両替器は今日でも実際に使用可能な状態になっています。
(MAKIKYUも運賃支払い時に、乗務員の方に頼んで使い方を実演して頂いたのですが、写真では見えない側にレバーがあり、両替対象の小銭を機器上部に入れた後、レバーを操作すると機器下部から小銭が排出されます)

加計呂麻バスではこの手動両替器だけでなく、車内前方の行先表示器の上にも気になるアイテムがありました。

この棒は「ハブ取り棒」なのですが、猛毒を持つ事で有名なハブは国内では奄美諸島と沖縄県の一部だけに生息しており、加計呂麻島もその一つです。


乗務員氏から伺った話では、夕方の最終便運行時などに時折路上にもハブが出没するらしく、実際にハブ取り棒を使って捕獲する事もあるそうです。

ただハブは猛毒を持っており、実際に奄美諸島でも農作業中などに、年間数十件程度のハブ被害が出ています。
(MAKIKYUの知人の中にはハブ取り棒を用い、ハブを捕獲した経験を持つ人物も居ますが、捕獲に慣れていない余所者がハブ捕獲を目論む事は、やめた方が良いと思います)


またMAKIKYUが加計呂麻島バスで乗車した路線は、途中かなり狭い悪路も通り、中にはマイクロバスでもギリギリ…と感じる箇所も存在する程で、昨年の奄美豪雨で被災した箇所の修復が終わっておらず、未だに路肩などが崩れたままの痛々しい姿も何箇所かで目にしたものでした。

加計呂麻バスは極めて過酷な環境下で運行しており、運営維持自体も並大抵ではないかと思いますが、車両面ではマイクロバスが主体ながらも、趣味的に注目すべき点も幾つもあります。

加計呂麻島は非常に足を運び難い所ですので、MAKIKYUが再び訪問する機会はあるのかどうか…と感じていますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方ももし加計呂麻島へ足を運ばれる機会がありましたら、是非一度加計呂麻バスにも乗車してみては如何でしょうか?