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沖縄都市モノレール「ゆいレール」(車内編)

2013-06-26 | 鉄道[九州・私鉄等]

先日「MAKIKYUのページ」で取り上げたゆいレールは、現段階では那覇市内のみを運行しており、全線乗り通しても30分程度、専ら短距離の都市内移動に用いられる路線と言う事もあり、日本の都市交通では一般的なロングシート主体の座席配置となっています。


しかしながら運転台背後だけはクロスシートが設置され、この部分は床も若干段上げされているなど、都市内交通機関ながらも観光客などが乗車した際に、少し嬉しく感じる展望区画が存在している点は、機能性ばかりを追及して無機質な印象の都市鉄道が多い中で、評価に値すると感じます。
(余りクロスシートが多いと、今度は混雑時の車内流動などに問題が生じますので、現状の設備や路線特性などを踏まえると、クロスシートの設置数や配置区画も、妥当な気がします)

座席自体はロングシート・クロスシート共にほぼ同タイプで、設置方向を変えただけと言う印象がありますが、客窓が大きい事も影響してか、背もたれが非常に低いのが大きな特徴です。

座席の座り心地も「薄く硬い」もので、ベンチにモケットを貼っただけと言っても過言ではない雰囲気ですが、市内交通機関で全線乗り通しても30分程度、短時間乗車が多い路線である事を考えると、充分許容範囲と感じます。

硬さだけならば一部乗客からは「ベンチ」とも言われ、JR某社が最近登場させた新型一般型電車で採用している木材をふんだんに用いたハイバックロングシートと比べても…という部類ですが、こちらは背もたれが小さいために、余り腰に干渉しない事もあり、見た目の豪華さや華やかさこそJRのロングシートに劣りますが、実質的な座り心地という観点では上等な印象があり、材質だけでなく形状も座席の座り心地に大きく影響する事を痛感させられます。
(逆に余り軟らか過ぎる座席も考え物で、首都圏の標準軌某大手私鉄で最近増殖している「ブカブカ」したロングシートに比べれば、好みが大きく分かれる木材をふんだんに用いたJRのハイバックロングシートや、首都圏の一部鉄道で導入され、「岩」などと言われている座席でも個人的にはまだ評価できると感じていますが…)


導入年次や座席形状などを踏まえると、座席支持方法は最近流行の片持ち式でも不思議ではない気がするのですが、座席下に空間が確保されるタイプではないものの、普通ならその場合足元にあるはずのヒーターが見受けられず、暖房関係が貧弱に感じられるのは、高温多湿でまず降雪など考えられない南国の車両ならではで、日本の鉄道車両にしては珍しいのでは…と感じます。

またドア付近を見渡すと、ドア上に千鳥配置された案内表示装置は次駅などが点灯するマップ式のみ、最近の車両にしては簡素な印象があり、LEDやLCDモニターが見当たらないのは、運行系統が単純な路線と言う事も影響している気がしますが、今後浦添方面へ延伸されるとなれば、その際にはLCDモニターなどに取り替えられるのかも気になる所です。


そしてドア横の手すりは、首都圏の一部通勤電車など、A-Train標準仕様車でよく見受けられる柱を兼ねた特徴的なもので、実際に持つとなると…という代物です。

つり革配置も前後方向のみで関西の電車などに近い見付けですので、見た目は悪くないものの、混雑時の機能性という観点では…という印象を受けます。

内装も割合シンプルながらも、荷棚も特徴的な形状をしており、化粧板は車端壁面だけ随分明るい色を採用、ドア部分も色彩を変えているなど、無造作な印象ではなくデザイン面での配慮も伺えます。

市内交通機関だけあって豪華さはなく、シンプルで機能性を配慮しながらも、デザイン面での配慮も怠っておらず、遠方から訪問した旅客が乗車した際にも印象に残る車両となっている点は、沖縄では久々の旅客営業鉄道となったゆいレールの意気込みが…と感じたものです。

ゆいレールは路線特性や開業からの月日が浅い事、車両のバリエーションが限られる点など、趣味的な面白さという点では…という印象
があり、乗る事自体を目的とするよりは、都市内交通機関としての迅速さや定時制といった利便性が評価される路線と言う印象があります。

そのためゆいレール乗車だけを目的に、本州などからはるばる沖縄まで足を運ぶのは厳しいかと思います(鉄道以外の魅力は色々あり、
他の目的と合わせての訪問となる事が大半かと思います)が、国内では特異な環境の地を走る車両ならではの特徴などもあり、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も沖縄へ足を運ぶ機会がありましたら、一度は是非乗車を…と感じたものです。