先日「MAKIKYUのページ」では、奄美大島・瀬戸内町の古仁屋と、大島海峡を面して向かい合う加計呂麻島の島内を運行する加計呂麻バスに関して取り上げました。
瀬戸内町では奄美大島のほぼ全域にわたって路線バスを運行する道の島交通と、加計呂麻島を運行する加計呂麻バス以外にも、瀬戸内海浜バスと言う事業者による路線バス運行が行われています。
奄美大島では基幹都市の名瀬(奄美市:旧名瀬市)でも現在道の島交通1社による運行ですので、瀬戸内町は自治体規模の割には、路線バス運行事業者の数が多い町とも言えます。
その代わり現在、奄美大島の島内全市町村で路線バスを運行している道の島交通は、名瀬~古仁屋間の幹線(南大島線)のみの運行となっています。
古仁屋発着の瀬戸内町内路線に関しては、かつては旧奄美交通などが運行していましたが、旧奄美交通→道の島交通への路線移管実施以前に、瀬戸内海浜バスへの移管が行われており、加計呂麻島を除く瀬戸内町内の路線バスは、基本的に瀬戸内海浜バスによる運行となっています。
同社の路線は、片道運賃が1000円を越える西古見などへ向かう足の長い路線と、古仁屋の町内のみを運行する路線(高丘住宅~運動公園)があり、MAKIKYUは後者のみ1度乗車機会がありました。
前者は運行本数がかなり限られ、終点まで乗車したら折り返し便がなく、古仁屋へ戻って来れない便もあるなど、余所者にとっては非常に利用し難い印象がありますが、後者は土地柄の割にはそこそこの便数が走っていると感じたものです。
MAKIKYUが古仁屋へ足を運んだ際には、西古見へ向かう便には真っ白な装いの日野リエッセ(トップドア)が用いられており、マイクロバスは他に紫色の日野レインボーRBも活躍していました。
マイクロバスは比較的足の長い路線に充当される事が多い様で、古仁屋の町内を運行する路線や、古仁屋~ヤドリ浜間の路線では、ワゴン車による運行となっている事が多い様です。
(時には町内路線でマイクロバスが運用されたり、逆に足の長い路線にワゴン車が充当される事もある様です)
MAKIKYUが乗車した瀬戸内海浜バスもワゴン車の方で、瀬戸内海浜バスの社名標記と、マグネットによる行先表示が、辛うじて路線バスである事を認識させられる程度です。
奄美大島では道の島交通でも、車内において音声合成装置などによるバス停案内放送がない状況ですので、当然ながら瀬戸内海浜バスでも案内放送はありません。
それどころか運賃は区間制ながらも、整理券の発行や運賃表示器の設置もなく、運賃箱も両替機能などを有しないただの箱であるなど、路線バスと言うよりも定時運行・定額運賃の乗合タクシーと言った印象が強いと感じたものです。
この様な車両・運行形態でコストを下げる事により、路線運行維持が実現しているのかと思うと、少々複雑な心境ですが、一部デマンド区間(予約制)などがあるものの、基本的に定時定路線運行で、余所者でも予め時刻を調べ、その予定に合わせて行動すればほぼ確実に乗車できるという点は、離島と言う土地柄を踏まえると大いに評価できる気がします。
(離島に限らず地方では路線バスが廃止→デマンドタクシー化され、事前予約が必須な上に、路線によっては地元住民しか予約ができないなど、実質的に余所者が公共交通を利用できない事例も数多く、その場合はレンタカーなどしか交通手段の選択肢が存在しない事になりますので…)
また瀬戸内海浜バスでは2台の日野製マイクロバスと、最低3台は確認済のワゴン車による乗合運行だけでなく、小規模ながらも貸切バス運行も行っており、ネット上でも余り取り上げられる機会のない事業者かと思いますので、こちらの写真もついでに掲載します。
奄美大島では幹線を運行する道の島交通でも、一部路線を除くと予め時刻を調べておかないと…という状況で、「離島の割には割合至便」とは言っても、本土に比べると公共交通の利便性は大きく劣ります。
まして瀬戸内町内の支線を運行する路線バスで、特に観光名所などを結ぶわけでもないとなれば、地元住民を除くと利用機会は非常に限られるかと思いますが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も瀬戸内町を訪問する機会がありましたら、加計呂麻島を走る加計呂麻バスと共に、瀬戸内海浜バスへの乗車も検討してみては如何でしょうか?