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惜別・オリエントフェリー「ゆうとぴあ」(2)~船内編

2015-12-28 | 船舶[海外関連]

先日「MAKIKYUのページ」では、山口県・下関~中国山東省・青島間を結び、惜しくも休航となってしまったオリエントフェリー「ゆうとぴあ」に関して取り上げましたが、今日は先日記事の続編で船内の様子を取り上げたいと思います。


「ゆうとぴあ」は新日本海フェリーの国内航路で就航していた「ニューはまなす」が船名や船籍を変えて就航していた事もあり、乗員は全て中国人であるものの、船内の雰囲気は日本国内を就航する長距離航路と大差ないと感じたものでした。
(日本語会話に関しては船員によって差があり、日常会話なら全く問題ないレベルの船員もいる一方で、殆ど通じず漢字筆談となる場合などもあり、新鑑真などMAKIKYUが乗船した事がある他の日中航路に比べると、通用度はやや低いと感じたものでした)

 
船内の案内表記も元々日本語と英語が併記された所に、後から中国語が追加された箇所も多く見受けられ、船内にある毛布には前事業者・新日本海フェリーのロゴや社名も見受けられるなど、前身の面影も至る所に…と感じる状況でした。


船室は最も割安な2等Bが、いわゆる「雑魚寝」の大部屋(写真・カーペット敷き)、次いで割安な2等Aがカーテンで通路とベッドを仕切れる2段ベッドが並ぶ船室となっています。


MAKIKYUは夜行フェリー、それも特に乗船時間が長い航路の場合は、高額な上級船室を用いる事はまずないものの、極力雑魚寝は避けて少しランクアップした船室を利用する様にしており、オリエントフェリー乗船時も2等Bと2等Aの料金格差は僅少(片道正規運賃で1000円)でしたので、2等Aを利用したものでしたが、この区画は旅客利用が少なく輸送力を持て余している事もあってか、上段ベッドは布団や寝具などを撤去して荷物置場として用いている状況でした。

1等以上の上級客室に関しては、基本的に下等船室乗客は立入禁止となっており、画像もありませんが、甲板から眺めた限りではホテルのツインルーム相当の部屋という雰囲気と感じたものでした。

元々長距離を運航するフェリーとして建造された船だけあり、展望サロンやシアタールームなどのフリースペースも設けられ、シアタールームでは夜にカラオケ大会(無料:中国の歌謡曲が主体ですが、日本のJ-POPなども多数あり)も開催、中国人乗客が歌う中国の歌謡曲などを多数聴く事もできました。


展望サロンは2等室のあるフロアの前方に設けられ、陸から離れた海域を航行する時間が圧倒的に長い「ゆうとぴあ」では、入出港時前後(写真は下関入港日の朝に撮影)を除くと陸地を眺める機会は少ないですが、昼間ずっと2段ベッドで過ごすのはさすがに…という事もあり、海況が穏やかな昼間はここで過ごす時間も結構ある状況でした。
(海が大時化+体調不良も重なり、殆ど1日中ベッドの中で過ごす日もあったのですが…)


この展望サロンは日本国内航路を就航する太平洋フェリーの古参船「きたかみ」の展望サロンと類似した雰囲気も感じ、この他フロント近くにもソファーやベンチが多数設置、ここで日本語会話が可能な中国人乗客などと何時間も会話…という事もあり、これも長時間乗船となる国際航路の旅ならではと感じたものでした。


この一帯には中国語の雑誌などが多数置かれ、その中には見覚えのある漫画本も紛れていましたが、この漫画本を開いた際、その中に登場するキャラクターの一人が「小林」と呼ばれているのは少々意外と感じたものでした。
(ちなみにこの漫画の韓国語版では日本語とほぼ同等の読み方「크리링」、主人公は漢字表記を韓国語読みした「손오공」と呼ばれていますが、一方で他の漫画の韓国語版では漢字名が存在するキャラクターでも、日本語の読み方を韓国語表記した「모리 란」といった呼び方がされており、海外におけるキャラクター呼称の差異は結構興味深いものです)


また乗船中に運動したい乗客向けに、ジムトレーニングマシンなどが置かれた空間も設けられ、これに加えて卓球台が設けられている辺りは、中国を発着する航路ならではと言う雰囲気も感じたものでした。

写真を見て感じた方も居られると思いますが、就航開始から30年弱が経過している事もあってか、やや草臥れた雰囲気を感じたもので、船内に大浴場は設けられているものの、シャワールーム(個別ブース)が設けられていないのも、古参の船ならでは…と感じたものでした。

何度も乗船していると言っていた乗客からは「年々汚くなっている」という話が聞かれ、日中間を運航する国際航路でも、新鑑真などに比べると船内の手入れなどは…と感じたのは少々残念でした。
 
この「ゆうとぴあ」は乗船時間が長い航路という事もあり、食堂も設けられていましたが、船内での食事に関しては近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。