先月末MAKIKYUが都内へ出向いた際には、東京メトロの1日(24時間)乗車券を利用し日比谷線にも乗車したものでした。
日比谷線は既存の18m3ドア車(一部車両は5扉)を20m4ドア車に代替、その後各駅にホームドアを設置する事も発表されていますが、20m4ドアの新型車両は昨年納入が始まり昨冬に試行運行を実施、そして先月末に新型車両の本格運行が始まっています。
現在の新型車両稼働数は2編成のみでまだ少数派ですが、先月末日比谷線を利用した際にこの新型車両にも乗車機会がありましたので、取り上げたいと思います。
日比谷線の新型車両は東京メトロと相互直通運転を行う東武鉄道の2社双方が導入、今後数年で既存車両を全て代替する事になりますが、現在営業運転を行っているのは東京メトロが導入した新型車両・13000系のみとなっています。
既存車両は18m×8両=編成長約144mに対し、ホーム延伸などを行わず20m車運行を行うため、新型車両は1両減車の7両編成となっているのが大きな特徴です。
乗車位置も異なるため各駅案内でも両数案内共に「8両」と「7両」の乗車位置案内が掲出される状況ですが、新型は20m×7両=約140mですので、輸送力は既存車両よりも若干低下しています。
平成初頭の時期であれば、輸送力確保が至上命題で5扉車登場をはじめ、設備増強が追い付かず混雑する北千住駅で連絡となる東武~営団(現東京メトロ)連絡定期券所持者向けの迂回乗車なども実施する程でしたので、輸送力減少となる車両代替はまず考えられなかったと思います。
しかしながら少子高齢化による利用減をはじめ、東武スカイツリーライン~東京メトロ半蔵門線相互直通運転開始やつくばエクスプレス開業など、東武スカイツリーライン各駅停車~東京メトロ日比谷線から新ルートへの利用転移なども進み、日比谷線も輸送力面で若干余裕ができています。
これに加えホームドア設置による保安度向上なども求められ、各列車の編成長やドア位置を統一する必要が生じた事も20m級車両登場の大要因となっており、東武は日比谷線開業当初から20m級車両を走らせていながら、日比谷線直通に限っては3代目の車両でようやく20m級車両による運行が実現する事になっています。
車両規格統一となると、金太郎飴の如くどの路線でもラインカラーが異なるだけで大差ない車両ばかりが…という鉄道会社も首都圏には存在しますが、車窓などは期待できない地下区間が大半を占める「地下鉄」運行会社の東京メトロは営団時代から路線毎に特性を打ち出した個性ある車両を登場させており、今回の日比谷線13000系でもこの良き伝統が踏襲されていると感じるのは喜ばしい限りです。
内装は東京メトロ発足後の新形式車両で共通するシンプルな雰囲気ながらも、モダンで都会的な雰囲気を感じ、床材や座席モケットなどは寒色系でまとめていながらも、袖仕切りや車端部分の化粧板などで木目を使用、また車端貫通路はガラスを多用し開放的な雰囲気とする辺りはよく考えれているな…と感じたものです。
半間接タイプのLED蛍光灯や、アクリルに結晶模様を描いた荷棚なども機能美を感じさせられ、乗り合わせた乗客からは「日比谷線って滅茶ボロいイメージだけど、何これ凄い綺麗」という声も聞こえる程でした。
(「滅茶ボロいイメージ」というのは東京メトロ自体よりも、自動放送装置を装備しておらず走行中かなり煩い音を放つ他社の乗入車両が作り出している面が大きいと思いますが…)
ドア上には最近の東京メトロで標準仕様になりつつあるLCDモニター2+1面による4か国語案内+広告案内も装備、広告画面では新車13000系の案内を盛んに流しており、これ以外にも車内広告でドラえもんを起用して新車登場を盛んに告知しているのも印象的でした。
放送スピーカーも近年の車両ではエアコン吹出口部分に内蔵し、目立たない様にしている車両が多くなっていますが、敢えてスピーカーの存在感を出すかの如く目立つ様に配置しているのも大きな特色と感じ、これはかなり異色と感じたものでした。
この様に既存車両とは異なる特色を幾つも備え、最新鋭の車両らしさを十二分に感じさせる13000系ですが、内装だけでなくメカニズム的にも各車両の台車に新機構の台車を装備する事で曲線走行時の騒音低減を図っており、走行中の車内騒音もかなり静かになり、少なくとも「滅茶ボロいイメージ」の車両とは大違いと感じたものでした。
この他にも各車両を電動車化する事で重量配分の均等化を図るなど、既存車両とは大きく異なる面が多々見受けられる車両となっており、これらの取組みが今後他線区で登場する新型車両にも取り入れられる事になるのか否かも気になる所です。
また東京メトロと共に仕様を揃えて一括発注を行った東武側の日比谷線直通用新型車両・70000系は第1陣が既に納入され、試運転を行っている事も報じられていますが、こちらもそう遠くない時期に営業運転を開始する事がほぼ確実な状況ですので、こちらも運行開始の暁に荷は是非一度乗車し、その際の印象や13000系との差異などに関して取り上げられれば…と思っています。
最新の画像[もっと見る]
- 寝台列車関連記事へのリンク掲載 8年前
- JR西日本225系5100番台~幾つかの疑問を感じる阪和線用最新型車両 8年前
- 最新!「住みよさランキング2016」トップ50が発表~今年もまた北総監獄が… 9年前
- 和歌山電鐵・たま駅長が急逝~高齢とは言えども… 10年前
- 和歌山電鐵・たま駅長が急逝~高齢とは言えども… 10年前
- 和歌山電鐵・たま駅長が急逝~高齢とは言えども… 10年前
- 阪神電車・普通用に新形式車両導入~車両代替は予想していましたが… 10年前
- 今日は各地でダイヤ改正~JR系はかなり注目されていますが… 10年前
- 「開発を止めた某鉄道」7260形がようやく消滅~余りに酷過ぎましたので… 10年前
- 山陽新幹線開業40周年・記念キャンペーンCMも… 10年前
当方も昨年末の特別運行のときに乗車したのですが、その後の通常運行投入後は、1度しか乗車できていません。やはり2編成だけなので、神出鬼没なのはやむを得ないと思います(^_^;)
13000系が20m4扉にしたのは、恐らくですが乗り入れ相手(東武)との規格統一の必要と、乗降性の向上が狙いだったのではないでしょうか。特に、20m4扉車の7連であれば、1編成について扉は28か所ですから、18m3扉車の24か所よりも増えます。確かに両端5扉車(この場合は32か所)よりは少ないですが、扉の配置が均等なので、乗降性の向上が編成の全体に及びます。だからこそ、若干の収容力の低下に目をつぶったものと思われます。
20m4扉ということになりますと、東横線沿線民である当方としては、東横線直通の復活などという夢を見てみたくもなってしまいますが、それは望み薄でしょうね…。
まだ導入数が少ない上に、かなり斬新な印象の車両だけに、13000系も今はかなり際立つ存在になっている気もしますが、この車両がスタンダードになれば日比谷線の雰囲気も大きく変わるな…という気がします。
20m4ドア車への規格変更は車両規格統一→ホームドア設置対応が主要因と推測していますが、乗降性改善による定時性向上など、輸送品質の向上にもなります。
半蔵門線~スカイツリーライン直通開始で輸送量確保が充足し、量の充実→品質の充実へとシフトしている事を象徴している様にも感じられますが、この車両代替で結果的に東横線との規格統一も実現していますので、東横線乗入も実現したら面白く、現に日比谷線車両は03系の鷺沼工場入出場で東急線内を自走する事もあり、13000系も同様となれば物理的には東急線内も走行可能だと思います。
ただ東急側に日比谷線直通対応の7両編成が存在せず片乗り入れになる事に加え、ただでさえ相互直通運転拡大で煩雑な状況を更に複雑化させる事も考慮すると、定期的な運転は困難な気もします。
とはいえ車両数やダイヤなどに割合余裕があり、行楽需要が多い土休日に限定して目黒線一部列車の様な元町・中華街延長運転を行う事に関しては検討余地大で、仮に東横線乗入が実現するとしたら、現実的にもこれが最も妥当と感じていますが…