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KORAIL・平和列車「DMZ-Train」(1)~外観編

2014-09-07 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

MAKIKYUが6月に大韓民国(韓国)を訪問した際には、近年KORAIL(韓国鉄道公社)が続々と登場させている幾つもの観光列車に乗車し、既に「O-train」と「V-train」に関しては、「MAKIKYUのページ」でも取り上げましたが、KORAILではそれ以外にも幾つかの観光列車を運行しており、その一つが平和列車「DMZ-Train」です。


「DMZ」という言葉は、馴染みのない方も多いかと思いますが、「非武装地帯」の事で、日本ではこの様な地域は存在しないものの、韓国は今でも北韓(北朝鮮)とは「急戦状態」の「準戦時国家」となっており、南北境界付近には一般人の立入が制限されている特殊区域が存在しています。

韓国は日本と非常に近く、良く似た雰囲気故に海外まで足を運んでいる事を忘れてしまいそうな雰囲気もありますが、この様な地域の存在や、準戦時国家と言う特性もあってか、今日でも徴兵制度が存在し、街中でも兵役訓練に就く迷彩服を着た人物の姿を見る事も珍しくない辺りは、日本とは異なる国家の状況を意識させられるものです。

「DMZ-Train」も、名前の通りこの非武装地帯(DMZ)へ向かう列車である事から、この様な列車名が付けられており、MAKIKYUが乗車した列車はソウル駅を起点に、京義(Gyongui)線を北上し、非武装地域内に位置する都羅山(Dorasan)駅までの間を結んでいます。
(一時分断された京義線の線路も、現在は都羅山駅以北の線路復旧が行われていますので、物理的には京義線という名前の通り、列車は戦前の如く新義州(Sinuiju)までの直通運行や、更に丹東を経て遠方まで運行する事も不可能ではないと思いますが、朝鮮半島の南北分断と言う特殊な事情もあり、都羅山駅を跨いでの定期列車運行は…という状況です)

この都羅山駅自体が、非武装地帯に位置する事もあり、今日では専ら都羅山駅周辺の非武装地域内に位置する観光スポット見学者が訪れる駅となっていますが、以前は通勤列車が発着していた都羅山駅も、「DMZ-Train」運行開始後は同列車のみとなっていますので、現在鉄道を利用して同駅を訪問する場合、必然的に「DMZ-Train」を利用する事になります。
(バス大国の韓国と言えども、非武装地帯という特殊性もあり、都羅山駅を発着する路線バスは存在しませんので、公共交通機関を利用して訪問する場合は、「DMZ-Train」以外の手段は存在しないのが現状です)

この「DMZ-Train」は、以前都羅山駅を発着する「通勤列車」にも使用していた都市通勤型ディーゼル動車(CDC)と呼ばれる車両を、観光列車向けに改装して充当しています。

KORAILでは通勤列車が次々と運行中止・他列車への格上げされていますので、現在大半が用途変更に伴う改造を施され、原型のまま残存する車両はかなり少なくなっています。

用途変更を伴う改造を施されたCDCの大半は、ムグンファ号用(RDC)に改造された事もあってか、各車に2箇所設置された両開き式の客扉は、1扉が撤廃されているのが大きな特徴になっています。


江原道(Gangweon-do)の東海(日本海)沿いを走る「パダ(海)列車」用に転用改造された車両も、一部扉の撤廃改造が施されているのですが、「DMZ-Train」は2扉のままとなっていますので、他のCDC改造車に比べると、車両形状自体はCDC時代の姿と変化が少ないと言えます。


しかしながら観光列車という事もあってか、装いは大きく改められ、都羅山方1両だけ他2両とは異なる装いとなっているのも、「DMZ-Train」の大きな特徴となっている他、車両形状の変化が比較的少ないとは言えども、一部窓の拡大化改造など、CDC時代とは異なる部分も幾つか存在しています。


また「DMZ-Train」の側面サボも、一般列車とは異なる様式の専用サボが用意されている点は、観光列車ならではと感じたものでした。

観光列車という事もあり、車内の雰囲気などはCDC時代とは色々変化しているのですが、こちらに関しては近日中に別記事で追って取り上げたいと思います。



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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
MAKIKYUさんこんにちは? (kobus)
2014-09-20 23:45:11
MAKIKYUさんこんにちは?kobusです。

一つ追加することがあればDMZ地域にも路線バスの運行が行われています。文山ターミナルからDMZ地域であるJSA、大成洞の町まで坡州新盛旅客93号線の日16回運行しています。

このバスは、都羅山駅よりDMZ内部まで運行が行われており、JSAの兵士たちと、大成洞の村の住民の利便性のために運行されています。ただし、民間人の場合、統一大橋以降の乗車が絶対不可能でありDMZ区間は、MPがバスに同乗してルート運行をします。

この路線は、2008年には、しばらく都羅山駅を経由したが、住民の利用低調により廃止されました。

このように民統線内運行中の定期路線バスは、江華島、江原道鉄原郡、華川郡の地域でも運行されています。
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ほぼ観光用になっている現状では… (MAKIKYU)
2014-09-21 16:32:05
kobus様こんにちは。

DMZ地域で限定的に市内バス運行が行われていても、地元住民以外の利用が…という現状では、観光で訪問した外国人旅行者の利用などは論外と言っても過言ではありませんね。

また坡州市のDMZ区域へ乗り入れる市内バスが、都羅山駅を経由しなくなったというのも、KORAILが実質的に観光用になっている現状では当然とも言え、バスターミナルや広域電鉄駅などへアクセスする路線設定の方が妥当なのは当然かと思います。

今回の記事でも、駅前に市内バス停留所が見当たらず、市内バスが走っている姿を目撃しなかった事もあり、『「DMZ-Train」以外の手段は存在しないのが現状』と記させて頂きましたが、韓国では停留所がないのにバスが来るという事もあり、これは余所者(特に外国人)にとっては、非常に分かり難いものです。

市内バスや郡内バスなどは、余り非居住外国人の利用を想定していないのも一因かもしれませんが…
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