MAKIKYUのページ

MAKIKYUの公共交通を主体とした気紛れなページ。
初めてアクセスされた方はまず「このページについて」をご覧下さい。

KORAIL・「ヌリロ」号で活躍する日本製の新型電車

2009-11-16 | 鉄道[大韓民国・KORAIL列車]

   

先月MAKIKYUが韓国を訪問した際には、6月に営業運転を開始したばかりの新列車「ヌリロ(누리로/Nooriro)」号に乗車する機会がありましたので、今日は「ヌリロ」号とこの列車に使用される新型電動車に関して取り上げたいと思います。

「ヌリロ」号は6月に新たに設定された列車種別で、運賃体系上は既存の「ムグンファ(무궁화/Mugunghwa)」号と同格になっており、市販の時刻表でも「무」(무궁화の略)と表示している程(駅での案内や乗車券には、「ヌリロ」号の名称が用いられているのですが…)ですので、既存「ムグンファ」号との差は新型電動車を用いている事や、停車駅が多い事程度で、実質的に「ムグンファ」号の一部と捉えても良い程です。

この「ヌリロ」号は現在Seoul~天安(Cheonan)~温陽温泉(Onyang-Oncheon)~新昌(Sinchang)の広域電鉄運行区間内のみを運行しており、列車の発着ホームこそ主に列車線ホームを用いているものの、日本の大都市近郊私鉄における有料特急列車に近い雰囲気があります。

使用車両は「ヌリロ」号運行に合わせて新造された200000番台の電動車が専属で用いられており、この電車は韓国の鉄道では久々の日本製(HITACHI)となっているのも大きな特徴です。

「ヌリロ」号用の新型電車は4両1編成(両先頭車が制御車・中間2両が電動車)となっており、MAKIKYUが乗車した列車は4両編成でしたが、列車によっては2編成併結の8両編成でも運行されます。

座席は回転式のリクライニングシートが並び、「ムグンファ」号や日本のJR在来線特急普通車とほぼ同レベルの居住性を誇りますが、「ムグンファ」号では装備していないテーブルを肘掛に内蔵している点は評価できるものです。

またHITACHI製という事もあってか、初めて乗車した車両にも関わらず、車体の側面形状や窓構造などは何処かで見た車両という印象を受けたものですが、比較的シンプルな雰囲気にまとめられた客室内に加え、座席モケットの色なども影響してか、東京~房総方面を走るモノクラスのJR特急型電車を連想したものです。

ただ如何にも最近のKORAIL車両といった雰囲気の前面や、低床の列車線ホームに対応した出入口扉などは、日本製ながらも日本の電車とは異なるものですが、この車両は列車線だけでなく広域電鉄ホームでの発着も出来る様に、出入口扉部分のステップは現在、KORAILではこの車両だけでしか見られない収納式となっています。

低床・高床双方のホームで発着できる構造の車両というと、中国国鉄の客車列車などを連想しますが、「ヌリロ」号の場合は中国の様に係員が跳上式の鉄板を操作するのではなく、低床ホームでの発着時にドア扱いと前後して収納式のステップが稼動するもので、ドア扱いを行う車掌以外の係員の立会いなしでも、低床ホームでの乗降扱いが可能になっています。

各駅到着時の案内放送(自動放送)でも、注意を促す案内が行われており、人海戦術に頼る鉄道とのレベルの違いを感じたものですが、現段階では「」号停車の大半の駅で低床ホームからの発着となっていますので、これだけの装備は過剰に感じてしまう程で、高床ホームでの発着時は出入口限定&鉄板等でステップを塞ぐ方法でも充分な感じがしたものですが、将来の運用区間拡大を目論んでの先行投資なのかもしれません。

現行の「ヌリロ」号列車設定はビジネス利用に主眼を置いているのか、平日(月~金曜日)のみ運行の列車が多く、土・日・祝日の運行本数が極端に少なくなるのは難点と言えますが、電動車ならではの高加減速性能を生かし、列車線運行列車にしては停車駅が多いにも関わらず、既存の一般列車(ムグンファ号)と遜色ないダイヤで運行しているのは大きな特徴と言えます。

またKORAILの列車線では久々の動力分散方式を用いた電動車(EMU)で、その上ROTEMなどの国産車両が多数活躍するKORAILにおいて、これまた久々の日本製であるなど、独自の名称だけでなくその中身も異色の存在です。

今後の更なる活躍にも期待したいもので、KORAILでSeoul~天安・温陽温泉方面を移動する機会があれば、是非選んで乗りたい列車ですが、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様方も興味がありましたら、是非一度乗車を検討してみては如何でしょうか?



最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これもA-Train? (diamond next)
2009-11-22 07:42:47
ご無沙汰しております。お写真の車両が日立製との事ですが、A-Trainの部類に入るのでしょうかね?日立製のA-Trainとは通勤型車両(TX1000/2000系・東武50000系等)や特急車両(JR西日本683系・JR九州885系等)がそれに該当するらしいので。塗り分けが京成新AE形にそっくりでかっこいいですね。記事を拝見していたら韓国へ撮り鉄に行きたくなってしまいました。
返信する
ご指摘の通りで… (MAKIKYU)
2009-11-22 23:49:33
diamond next様こんばんは。

ヌリロ号に用いられる新型電車は、最近韓国で増えて来たとはいえ、まだまだ彼の地では少数派のアルミ合金製となっています。

組み立ても一部は韓国で行われていますが、HITACHIが絡んでいるだけに、ご指摘の通りA-Trainの技術が採用されており、側面の雰囲気は内外共にE257系を連想させられるものがあります。

また韓国ではこの電車に限らず、近年相次いでいる新線開業などで新形式が続々と登場しており、ネットワークの充実度は日本に比べるとまだまだながら、今後の展開に大きな期待が持てる状況になっています。

先月の旅行で乗車した列車に関しても、まだまだこれから取り上げたいと思っている車両が幾つも…という状況ですが、韓国は高速船で福岡から3時間、また飛行機が苦手でなければ更に容易にアクセスできる土地ですので、そちらも是非一度訪問を検討してみては如何でしょうか?
返信する
Unknown (KIKKIKKIK)
2010-07-26 01:05:58
九州の885系とすごく似てますね。同じHITACHIだからかな?
返信する
個人的には… (MAKIKYU)
2010-07-26 14:55:20
KIKKIKKIK様こんにちは。

ヌリロ号用電車は振り子式ではなく、内装も885系の様な特徴あるものではありませんので、個人的には885系に近い印象はないのですが、HITACHI製のアルミ車体で白い塗装、丸っこい前面などは何処となく885系を連想するかもしれません。

個人的には外観こそ大きく異なるものの、車内の雰囲気などを見ると、房総地区のE257系を連想してしまうのですが…
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。