3月にMAKIKYUが五島列島へ足を運んだ際には、五島列島最大の島・福江島内を走る五島自動車(五島バス)にも何度か乗車する機会がありました。
五島バスは長崎市内やその周辺を走る長崎自動車(長崎バス)グループに属しており、長崎バスHPにも五島バスHPへのリンクが設定されているなど、グループ企業である事を伺わせる一面もあります。
ただ上五島(中通島)の路線バスは、大半が佐世保市内などと同じ西肥自動車(西肥バス)によるなのに対し、あくまでもグループ企業と言うだけで別事業者による運行となっています。
そのため長崎県内本土の大手各社で通用するICカード「長崎スマートカード」や、九州内を走る大半の一般路線・高速乗合バスが乗り放題となる「SUNQパス」などは通用対象外となっており、この点では中通島を走る西肥バスに比べると見劣りが否めません。
(その代わり余り宣伝されておらず、HPにも言及が見られないなど知名度は低いのですが、五島市外からの訪問客に限り、島内一般路線が1000円で一日乗り放題となるフリー乗車券が発売されており、案内所(福江港ターミナル内にもあります)などでのみ購入可(車内販売なし)です。
この乗車券は利用当日でなくても前日などに事前購入する事も可能(購入時に利用日を指定・対象日を押印)で、島内路線でも片道1000円を超える区間も多数ありますので、利用価値は非常に高く、その上現金以外に「長崎しまとく通貨」での購入も可能ですので、福江島訪問の際にはおススメです)
車両面でも中通島を走る西肥バスでは、最近では大都市圏中古車の直接導入も目立つものの、佐世保など本土で10年以上使用した車両が転用される事が多く、本土と島の間で車両面での繋がりも…といった状況なのに対し、五島バスは現時点では大都市圏中古車の導入を行っていないどころか、親会社である長崎バスからの車両移籍も見受けられないなど、中通島とは対象的な状況になっています。
(長崎バスは首都圏などの大都市圏に比べると車両使用年数は長いですが、大都市圏中古車導入も見受けられず、ノンステップバス導入数も九州最大であるなど、地方の民営バス事業者の中では車両状態も比較的良好な部類で、近年でも系列外の島原鉄道へ路線車を売却した事例が存在する程です)
親会社や大都市圏などからの移籍車が見受けられず、専ら自社導入車という状況だけあり、島の状況を鑑みた車両が導入され、主力となっている車両は一般路線と貸切用途の双方に対応可能な、背もたれの大きい2人がけ座席がズラリと並ぶ大型の「兼用車」となっています。
それも九州と言う土地柄もあってか、西日本車体工業(西工)製の車体を採用した車両が主流を占めているのが大きな特徴で、年式的には経年20年を超える古参の部類に属する車両が多い事から、西工製車体の兼用車は58MCが大半を占めています。
58MCで小さなサイズの前面幕や、黒の引き違い窓といった風貌は、同じ長崎県の離島を走る壱岐島の壱岐交通で活躍する車両にも類似した雰囲気を感じ、福江島自体も壱岐島と何となく類似した雰囲気を感じたものでした。
(長崎県離島の中では大規模な部類に入る対馬島・壱岐島と中通島(上五島)・福江島(下五島)は、どちらも前者は細長い形の島で起伏の激しい地形となっており、後者は丸っこい形をしており、割合起伏が小さい地形となっています)
下回りも壱岐交通の58MCと同様の日野製(左側の写真)と、親会社長崎バスで主流となっているいすず製(右側の写真)の2通りがあり、公式側後部のルーバー有無などで、両者を識別する事が可能です。
経年車ながらも主力車両と言う事もあってか、福江島内で五島バスが運行する路線バスに乗車した際には、このタイプの車両には何度も遭遇したもので、如何にも西日本離島のバスらしい車両と言う事もあり、このタイプに当たると嬉しいと感じたものでした。
また比率は低いものの、西工58MC以外の大型兼用車も活躍しており、こちらに関しても近日中に別記事で取り上げたいと思います。