先日「MAKIKYUのページ」で取り上げた小湊鐡道の観光列車「里山トロッコ」は、要特別料金(500円・写真)の観光列車だけあり、客室設備は定期列車に充当されるオールロングシートのキハ200形とは大きく異なるモノとなっており、全席が固定式のクロスシート配置となっています。
このクロスシートは吹きさらしのトロッコ車両だけでなく、前後の車両も含めて全て木製でクッション性は皆無ですので、長時間乗車には余り適しているとは言えませんが、低速運行を行う里山トロッコで上総牛久~養老渓谷間を乗り通しても1時間弱の道程、座席形状に特段難ありという状況でもないと思いますので、硬さが問題になる事は余りなさそうな気がします。
ただ中間2両のトロッコ車両は吹きさらしですので、当然ながら非冷房車となっており、MAKIKYUはこの状況を危惧して一般車両を選択したものでしたが、こちらも乗車整理券購入時に「一応冷房はありますが余り…」という係員の話を聞いていた通り、冷房装置は気休め程度という状況でした。
というのも、装備された冷房装置はダイキン工業製「F36RTCXS-W」という機種名の家庭用エアコンを車両の両端に各1台装備しただけで、天井がルーフ状になっていて日差しがかなり入り込む状況ですので、弱冷房車以下の微冷房車と言っても過言ではない有様で、停車中に冷房機直下で冷風に当たり、辛うじて「少し涼しい」と感じるレベルでした。
ちなみにMAKIKYUの乗車日は空席も多数あった事から、発車後にトロッコ車両へ移動して外の風に当たりながらの1時間弱はあっという間、個人的にはトロッコ車両で乗車整理券を購入しても良かったかな…と感じたものでした。
ただ完全空調が当たり前の今日ではトロッコ車で具合が悪いと訴え、一応冷房付の一般客車に案内されていた乗客の姿も見受けられ、突然の雨天時における対応なども考慮すると、異なる特性を持った2種の客車を選べるのは良い事と感じたものでした。
一般客車は、レールファンだと推進運転用運転台を装備した最後尾客車の運転台に注目が集まる所だと思いますが、逆側の機関車背後に連結される客車も、機関車直後は貫通路などがない事もあってか、バスの最後尾座席の如く5人掛け座席となっており、日本の鉄道車両でこの座席配置は余り見かけないと思いますので、これも注目かと思います。
車内の内装も観光列車ながら木を用いた座席と床を除けば派手さはなく、化粧板は昭和末期の私鉄車両を思わせるクリーム色無地、一般客車の客ドアも内側は化粧板と同色のクリーム色塗装仕上げですが、トロッコ車両は外観塗装と同様のツートン塗装となっているなど、差異が見受けられたのも興味深いと感じたものでした。
この「里山トロッコ」は景勝区間における徐行運転や各種観光案内、途中唯一の停車駅となっている里見駅での物販実施など、近年各地で運行している観光列車ではよくある取り組みを参考にした催しが幾つも…という状況でしたが、里見駅での軽食類物販は観光向けにしてはかなり割安な価格での発売(写真のコーヒーと唐揚げは100円・そら豆は150円)となっていたのも好印象でした。
また運行システムの関係上、乗降扱いを行う途中停車駅は里見駅だけながらも、途中乗降扱いを行わない各駅にも一旦停車する旨が案内されると共に、これらの駅を発車した直後には「次の通過駅」を案内する放送が流れ、この放送も他の列車では余り聞かれない独特な放送と感じたものでした。
(「次の停車駅」という表現ならば、駅窓口でダイヤグラム縮刷版を配布している事でも知られる某大手私鉄の車内LED文字案内などでお馴染みですが…)
微冷房車としか言い様がない一般車両における冷房の利きの悪さや、吹きさらしとなるトロッコ車両は、真夏の盛りに乗車するのは少々辛そうな気もしますので、この時期の乗車であれば一般車両を含めて要注意と言う気もしますが、趣味的にはなかなか面白い存在と感じ、機会があればまた乗車しても…と感じたものでした。
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