先日「MAKIKYUのページ」では、阪急京都線の最新型車両・1300系電車に関して取り上げましたが、先月MAKIKYUが阪急京都線を利用した際には、同系の他に7300系の主回路更新車にも初めて乗車したものでした。
7300系は京都線では中堅核的存在、一般車両の中では主力車の一つとも言える車両ですが、登場から25年以上が経過し、首都圏私鉄で同時期に導入された車両では廃車(事故・余剰を除く)も発生する年代の車両ですので、近年順次更新工事が施行され、現在更新車と未更新車が混在しています。
同系や同年代の神宝線車両・7000系では、数年前に前面形状を変更して新車並みの雰囲気にイメージチェンジ、種別・行先表示も字幕式からフルカラーLEDに改めながらも、下回りは直流電動機のままという編成(写真・以前この編成に関する記事を取り上げた際に使用した画像の再掲です)も存在しています。
近年の大手私鉄における中堅車両の大規模更新工事では、首都圏大手私鉄では主回路更新(VVVFインバーター制御化)を伴う事例が多く、数年前に登場した7000系と7300系の更新車は、首都圏大手私鉄の車両更新とは対照的とも感じた程です。
しかしながら今年夏に更新工事を終えて営業復帰した7300系は、数年前に更新工事を施行した編成とは異なり、行先表示は字幕式のまま、一部形式・編成で施行された前面種別・行先表示幕の拡大化も行われず更新前と変わらない状況になっています。
前面形状は貫通路ガラス窓が下方に拡大された程度、側扉もガラス拡大が行われているものの、5000系リニューアル車で見られるライト形状変更も行われておらず、外見上の変化点は少なく、一見すると更新工事内容を簡略化しただけの様にも見受けられます。
しかしながら下回りの主回路更新が施行されてVVVFインバーター制御車に改められているのが大きな特徴で、当然ながらこの編成の走行音は他編成とは別物です。
車内は阪急電車ならではの木目の内装に、オリーブグリーン色モケット(優先席以外)の座席と言った特徴は踏襲しながらも、蛍光灯グローブ形状の変更と蛍光灯LED化をはじめ、LCDモニターによる案内表示装置の設置、阪急系ならでなのアルミ製鎧戸日除け→一般的なブラインド化など、こちらは外見とは裏腹に新車並みに改められています。
LCDモニターによる案内表示装置は1300系などと同種の横長タイプながらも、フレームが白色ではなく黒色になっており、優先席座席のモケットが、他座席とは異なる赤色になったのも大きな特徴ですが、優先席座席モケットの変更は今後他車両にも波及すると言われているものの、LCDモニターに関しては今後も7000系列と1000系列でフレーム色が異なる状態が続くのかも気になる所です。
関西私鉄では車両製造メーカーの絡みもあってか、どちらかと言うと関東風と言われる南海電鉄で主回路更新車に当たった事がありますが、それ以外は地下鉄程度…という状況でしたので、震災後の節電必須な世相も影響して阪急が方針転換したのか否かも気になる所です。
(地下鉄は京都市営こそ主回路更新車は存在しませんが、大阪市営や神戸市営では多数の事例があり、MAKIKYUもこれらの路線を走る主回路更新車には何度か乗車した事があり、JR西も最近になって初期VVVF車の主回路更新車が登場しています)
阪急は今後の車両更新でも7300系や7000系などの主回路更新を進めて行くのか否か、また阪急に追随する形で同グループに属する阪神電車をはじめ、京阪や近鉄などでも同種の動きが出てくるのか否かも気になります。
また今後の7000系列更新も同仕様での出場となるのか、大規模リニューアルを施行しながらも直流電動機のまま活躍している編成の主回路更新が今後施行されるのか否かも気になる所です。
8300系は同1C8Mタイプのため、数年の内にインバータ取換も発生するはず。
近鉄8000系グループの一部は、1C4Mから1C8Mの回生車(並列→直列)にして、余剰機器を釣り掛け制御から交換。
南海も7000系・6000系の4連は昇圧時に1C8Mにしたが、4連の自走運用ができない。
さらに相鉄9000系は、東洋電機製GTO1C8Mタイプから日立製IGBT1C2Mタイプ(京王7000系更新・8000系更新・9000系と同じ)機器交換し、9505編成は旧塗装のまま。
阪急7300系は、初期VVVFを用いたVVVF試験導入車も混在しており、近年初期VVVFの劣化→インバータ取替えが各地で相次ぎ、まして少数派の試験導入車ともなれば、数年内に取替えとなる可能性も高そうですね。
(3300系ですら更新してまだまだ使う気の阪急ですので、さすがに7300系を廃車する可能性は低いと思いますので…)
8000・8300系も7000・7300系更新が一段落したら、次の更新対象になる可能性が高いと思いますが、今後の動向にも注目したい車両の一つですね。
南海は短い編成が多いながらも、故障時のバックアップがなく、複数編成を併結しての運用が前提となっている車種が多く、ご指摘の6000・7000系4両をはじめ、2000系2両が高野線山岳区間で単独運用不可→2300系導入の一因にもなっていますが、2000系もそろそろ更新の動きが出て不思議ではない車両ですので、その際には1C4M×2化→2両単独での営業運転常用可能に改められるのか気になる所です。
2000系の1C4M×2化が出来れば、将来的には支線転用→角ズーム改造車などの取替え用にも使えそうですので…
相鉄も最近9000系のインバータ取替えが進み、比較的至近を走る路線だけに、この車両にも何度も乗車していますが、直角カルダンのIGBT車は異色で、今後8000系でも同種の動きが出てくるのか気になる所ですね。