先月MAKIKYUが関西方面へ出向いた際には、久々に(約20年ぶり位かと思います)蒸気機関車の動態保存で知られる京都の梅小路蒸気機関車館を訪問したのですが、その際には館内を走る「SLスチーム号」と呼ばれる列車に乗車する機会がありましたので、今日はこの列車に関して取り上げたいと思います。
SLスチーム号は、名前の通りSL(蒸気機関車)が客車を牽引する列車で、路線はスチーム号運行の為に敷設された往復1km程度の距離を運行しており、折り返し地点は転車台や乗降場(ホーム)などは存在していないため、SLスチーム号への乗車は必然的に往復乗車となります。
折り返し地点では機関車の向きを変える事も出来ませんので、館内のSLスチーム号乗り場を出発してから、折り返し地点に至るまでは、推進運転となるのも特徴で、運行区間は非常に短く、その路線自体もさほど面白いものではありませんが、牽引する蒸気機関車は他の博物館や遊園地などで見られる専用の新造車(場合によっては格好だけで、中身はディーゼル機関車などの事も多いですが…)などではなく、かつて国鉄の第一線で活躍していた本物の蒸気機関車というのが大きな特徴で、これは他の博物館などが真似できない蒸気機関車の動態保存を手がけている梅小路ならではと言えます。
SLスチーム号を牽引する蒸気機関車も、館内で動態保存となっている蒸気機関車の数両が、数日毎に交代するのも特徴で、これだけの事ができる施設は、日本ではもはや梅小路以外には…と思わせるものがありますが、MAKIKYUがSLスチーム号に乗車した際には、C61 2号機がその役割を担っていました。
SLスチーム号に牽引される客車は2両編成となっており、こちらは一応JR在来線と同じ線路幅1067mmの台車を履いた車両ながらも、古風なSLとは不釣り合いな印象を受けるものですが、車内は木製のベンチが並び、ボックス配置となった座席毎にドアが設けられている代わりに、車両間はおろか他のボックスとも行き来が出来ない状況ですので、この座席配列だけは大昔の列車を思わせるものがあります。
(今でも鉄道博物館や加悦SL広場などに保存されている鉄道創世期の客車などで、その様を観察する事が出来ます)
SLとこの客車の組み合わせを見ると、非常に奇妙なものがありますが、如何にも遊具的な印象を受け、SLとは裏腹に余り注目を集めそうにもないこの客車も、客車間は棒状の金具(?)で連結されているものの、牽引する蒸気機関車は自動連結器を装備している為に、機関車と連結する側や、推進運転の際に先頭となる側には、これに対応したアダプター(?)を装備しているなど、よく見ると興味深く感じられる面もあります。
(余談ながら営業線でも、銚子電鉄1000系電車の様に自動連結器本体ではなく、自動連結器との連結に対応したアダプターを取り付けている事例があります)
またSLスチーム号は最終列車の運転終了後に牽引していた機関車を切り離し、その蒸気機関車が方向を変えるために転車台を廻る姿(MAKIKYUが訪問した際には、必要以上に転車台を廻っていましたが…)や、石炭の燃えカスを処理する姿まで公開されるのも特徴で、この様なシーンは日頃なかなか見る事が出来ないだけに、こちらもなかなかの見物です。
このSLスチーム号は路線長こそ非常に短く、国内各地でイベント列車などで運行されるSL牽引列車や、海外で今も現役で活躍するSL牽引列車などと比べると、乗り甲斐や雰囲気の面では今一歩と感じる所です。
とはいえ運行に多大な手間と時間を要する蒸気機関車が牽引する列車に、短い時間ながらも僅か200円(他に梅小路蒸気機関車館入館料400円が必要です)で、煤が飛んでくるSLならではの汽車旅を手頃に味わえる事は有難いもので、「MAKIKYUのページ」をご覧の皆様も京都を訪問する機会がありましたら、是非一度梅小路蒸気機関車館内を走る、SLスチーム号に乗車してみては如何でしょうか?
写真はSLスチーム号と転車台を廻る牽引機(C61 2)、客車とその車内、客車間の連結部分の様子です。
又、弁天町の義経号も梅小路に出張してスチーム号としても活動した時もあり、正に花博復活と言った処でしょう。その他でも梅小路で動態保存されているカマの殆どのSLがその花博客車を牽引していまして私個人的にはスワローエンゼルのC62 2が好きで関西に行った時でも同機がスチーム号を牽引すると知れば真っ先に梅小路にすっとんで行きたくもなります。
梅小路のスチーム号は、ご指摘の通り動態保存のSLとは余りに不釣合いな客車との組み合わせが、逆に興味をそそるものです。
ただこの客車は奇妙な連結器を装備するなど、SLとは別の意味で特徴的な車両とはいえ、どう見てもSLに見合う車両ではないだけに、敢えてスチーム号のために用意する様な…と感じたものですが、花の万博で活躍した車両を転用したものだったのですね。