今日ネット上のニュースを見ていたら、JR可部線が現在の終点・可部駅から延伸され、廃線となった区間の一部が復活するという記事が出ていましたので、取り上げたいと思います。
(以下の青文字が記事抜粋部分です)
JR廃線、初の復活…広島市の可部線(読売新聞)
広島市は、8年前に廃止されたJR可部線の可部―旧河戸(こうど)間(安佐北区)約2キロを電化して復活させる方針を固めた。
2011年度に着工、13年度の完成を目指し、JR西日本の事業化判断を待って運転を開始する見込み。国土交通省によると、廃止路線の復活はJRでは初という。
市などによると、可部駅から西に延びる廃線敷を活用し、新駅は終点と中間の2駅を設置。この区間で1日平均約2000人の利用を見込んでいる。
事業費の3分の1を国が負担し、残りを市とJR西で負担する方向で協議する。可部線は赤字のため、03年11月末、未電化区間の可部―旧三段峡(46.2キロ)間が廃止に。
旧河戸駅周辺は商業施設や住宅地などの開発が進んでおり、住民から再開を望む声が上がっていた。市とJR西などは08年に協議会をつくり、10年2月、電化延伸案をまとめていた。
(ここまでが記事抜粋)
可部線廃線区間の一部復活による延伸は、以前から様々な話が出回っているものの、現段階ではJR西HPでは公開されていませんので、公式発表が待ち遠しいものです。
MAKIKYUは可部線可部以遠の非電化区間は、乗車機会がないまま廃線を迎えてしまった事もあり、廃線区間の一部が乗車できる様になるという意味でも興味深い話です。
ただ可部線はMAKIKYUが昨年末に広島へ出向いた際にも乗車したものの、私鉄買収線区と言う事も影響してか、現存区間は一応電化しているものの全線単線、ホームも4両分しかなく輸送力が限られるなど、輸送基盤の脆弱さが気になります。
おまけに使用車両もJRの地下鉄千代田線直通用車両が代替を迎えている今日において、現在代替廃車が進んでいる203系の導入によって締め出された古参車両の改造車が未だに主力の座を占めており、MAKIKYUが昨年末に可部線に乗車した際にも、この車両に当たったものでした。
しかも昼間は20分間隔とやや運転間隔が開く上に、2両と言う短い編成(それでもワンマン運転でないのは意外な気もしますが…)で混雑が常態化しています。
可部線沿線は市内中心部への直通運転を売りにしている路線バスも頻発し、大町駅で接続して広島市内中心部と郊外を結ぶ新交通システム・アストラムラインは結構な高頻度で走っている事などを考えると、地方私鉄を思わせる雰囲気は趣味的に面白いとはいえ、沿線の開発程度の割には都市交通としての質は決して良いとは言い難いのが現状です。
そのため可部以南は現状のままで、廃線区間を一部復活させて延伸しても都市交通として見劣りする事は否めず、脆弱な輸送基盤で延伸による乗客増にも対応できるのか気になる所です。
またJR西日本の広島地区ローカル輸送は、今日でも旧国鉄からの継承車両が殆どを占めているなど、大都市圏輸送にしては他都市圏に比べて…というのが現状である上に、その中でも可部線は芳しくない状況ですので、廃線区間復活だけでなく、既存区間の脆弱な輸送基盤や車両面での質的改善にも期待したいと感じたものでした。
写真は昨年末に広島駅で撮影した可部線列車、現在広島地区では単色化が進行しており、黄色1色となった車両も結構見かけたもので、可部線でも現在新旧2色の105系電車を中心に、ラッシュ時間帯などには他形式の活躍も見られます。
そのため塗装変更中の今日は非常に彩り豊かで、見ている分には非常に面白いのですが、元地下鉄直通用電車の改造車はいつ廃車になっても不思議ではないだけに、白に青と赤帯の装いのまま、「河戸」の行先を掲げる姿が実現するのか否かも気になる所です。
開業から今日までに数箇所で何度かルート変更
が行われていますが、基本的に私鉄時代の面影を色濃く残していますね。(例えば、横川~安芸長束間は過去に二度ルート変更されています。)
今回の電化延伸については、車両やスピードは特に関係なく、とりあえず電車で市内中心部まで行ければいいという発想で計画されたものでしょう。
これまで可部市街地西エリアは広島市北部を主要テリトリーとする某バス会社の独壇場でしたが、今回の線路延伸によって、このバス会社の運営に悪影響が出なければ良いのですが…。
廃線前の可部線の運転席からの映像(広島ホームテレビ)
http://www.home-tv.co.jp/train/kabesen/index.html
広島ではアストラムライン末端部や芸備線沿線の下深川周辺などの様に、市内中心部への公共交通は鉄軌道よりもバスの方が優勢と感じるエリアが幾つもありますね。
可部周辺も両者が結構競り合っている様に感じていますが、今後可部線が延伸される事で両者の関係が変化していくのかも気になる所で、バスも状況が芳しくないとなれば、最近目立つ大都市圏からの移籍中古車両の活躍が増えるかもしれませんね。
また古い車両や遅いスピードなどは致し方ないにしても、可部周辺はラッシュ時間帯でも4両編成が20分間隔程度の輸送力しかなく、これでも軽便鉄道などに比べれば遥かにマシとはいえども、延伸と共に何らかの輸送力向上施策に期待したいものです。
せっかく復活するのだから、何とか頑張ってくれないと困りますが・・・
JR西日本は確かにご指摘の通り、地方エリアとなるとローカル輸送は余り期待できないかと思います。
ただローカル輸送改善も、公費が出る案件では新車導入事例が幾つもあるなど、費用の裏づけがあれば…というのが現状ですので、路線復帰区間のインフラ整備以外にも、可部線既存区間のインフラ改良や車両体質改善といった動きが生じてこないのかも気になる所です。
出来ることなら廃線区間復旧だけで終わるのではなく、これを契機に新たな動きにも期待したいもので、真新しい廃線復旧区間に元地下鉄直通用車両の2両編成という様にだけはならない事を願いたいものです。