今日4月1日からは就職や進学などで、新たな道へ進まれる方も多いと思いますが、鉄道関係でも三重県内を走る近鉄の特殊狭軌線・内部(Utsube)線と八王子線が経営分離され、新たに発足した「四日市あすなろう鉄道」による運行となります。
近鉄は近年養老線と伊賀線を経営分離、また内部・八王子線と同様の特殊狭軌線として知られる北勢線を三岐鉄道に移管するなどの動きがありますが、鉄路自体が廃線となった例はありませんので、近年岐阜市内線など多数の路線を廃止した名鉄と比べると対照的です。
別会社への分離に伴い、四日市を境に運賃が打ち切り計算され、沿線利用客などの負担が増大してしまうのは手痛い話ですが、赤字が続く状況での近鉄運営による存続は厳しく、公有民営化で鉄道廃止という最悪の事態を回避できた事は、不幸中の幸いかと思います。
今日経営分離された内部・八王子線は、MAKIKYUも近鉄時代に2回程乗車した事があり、最初に乗車した際は、各車両がエンジとオレンジの装いを纏っていました。
その後2004~8年にかけて、1両ずつ異なる装いのパステルカラーに塗装変更されていますが、塗装変更後は昨年5月に津へ足を運ぶ用があった序に立ち寄り、内部線に乗車した程度です。
起点となっている近鉄四日市駅は、内部・八王子線は他路線とは離れた乗り場から発着、一旦改札を出て乗換となりますが、この2路線の駅名も今日からは「あすなろう四日市」に改称、別駅扱いとなります。
新会社移管を見越してか、近鉄では近年導入を進んだPiTaPa・ICOCAなどの交通系ICカードへの対応も行われず、昨年名古屋市内から内部へ向かった際にも、わざわざ券売機で乗車券を購入したものでした。
昨年乗車したパステルカラーの電車は、1980年代に製造された260系と呼ばれる車両が主流を占めており、内部・八王子線で活躍する電動車は全て同系で統一されています。
付随車はこれに加え、一部の古参車両に更新工事などを施して併用しており、こちらは窓割や車体長が異なるなど、見るからに不揃いな外観が特徴となっています。
電車内も260系は路線バスを連想する固定クロスシートとなっているのが大きな特徴ですが、更新工事を施行した古参車両はロングシート車となっており、同一編成内でも車内設備の異なる車両が混在する事が日常茶飯事となっています。
特殊狭軌線という事もあり、全車吊り掛け駆動車となっており、3月14日に福岡県の筑豊電気鉄道が新型低床車・5000形運行開始、日本唯一の全車吊り掛け駆動車による鉄道と言う記録を返上してから、僅か1月も経たずに記録復活となります。
おまけに全車非冷房車、こんな鉄道は日本中を探しても他に…という状況で、名古屋から1時間もかからない所でこの状況は、知らないとビックリするかもしれませんが、今後三岐鉄道へ移管された北勢線の如く、今後冷房改造車が登場するのか否かも気になる所です。
今回の近鉄から四日市あすなろう鉄道への内部・八王子線移管に伴い、営業路線で軌道幅が3種類存在する鉄道事業者が一つ消滅、またその中に762mmのナローゲージが含まれる鉄道事業者も消滅する事になります。
また内部線の途中駅の中には「泊」という名前の駅も含まれており、大阪市内に拠点を置く鉄道事業者が今年春、この名前の駅を相次いで他社へ移管する事にもなります。
他にも今日からは京都府・兵庫県に跨って走る北近畿タンゴ鉄道も「京都丹後鉄道」として再出発しますが、機会があれば新体制発足後にも乗車できれば…と思っており、今後これらの新会社による安定運行を祈願し、記事を結びたいと思います。
内部・八王子線の現状は、都市鉄道としては時代遅れも甚だしいと云わざるを得ないのが現状で、特殊狭幅線故にやむを得ない釣り掛け駆動はまだしも、北勢線が三岐鉄道移管後に実施した冷房化は、新会社としては急務かと思います。
乗車時間が短く、内部まで乗り通しても15分程度ですので、耐えられない程ではないかもしれませんが、サービス面で芳しくない事に加え、現場の乗務員にとっても相当な激務かと思いますので・・・