その“ミラージュ”だが、10日ほど前に、三菱自動車から“ミラージュ”を名乗る小型車が出るという記事に出会った。
“ミラージュ”も印象に残るクルマだった。
フランスの戦闘機の名前を名乗り、軍需企業である三菱から出るというと、かなり好戦的なイメージを抱くが、実物はそんなネーミングとは裏腹の、穏やかなラインのヨーロッパ車の雰囲気を漂わせるクルマだった。
最後に見かけたのは、さっきも書いたが、何年か前の大阪だった。
学会が開かれた折に泊った天王寺駅前のビジネスホテルの窓から道路を見下ろすと、向かい側に水色のボディー、3ドアのおしゃれな車が駐っていた。
プジョーか何かの旧型かと思って、わざわざ見に行くと、三菱の“ミラージュ”だった。
まさに“ミラージュ”(Mirage=蜃気楼)を見た思いだった。ホテルの5、6階の窓から見下ろしても、おしゃれな雰囲気を漂わせるようなクルマだったのだ。
その頃は、数か月に1度くらいは東京の路上でも見かけたのだが、その後はまったく見なくなった。
今回のニューモデル発売をきっかけに調べると、2002年版を最後に生産が終了したようだ。
今度のモデルはすでに写真も公表されているが、どうもあの先代がもっていたヨーロッパ車の雰囲気はない。
フロントグリルに、リアに、ハンドルに、と随所にあの「三菱」マークが飾られているのもよくない。例の事件で、いかに「三菱」マークが負のイメージを背負うことになったか、三菱の関係者は分からないのだろうか。
今回ネット上で見つけた先代ミラージュのフロントの「三菱」マークはかなり控えめな小さいものだったことを発見した。せめてあの程度にひそやかに飾るべきだろう。
フロアシフト、サイドブレーキは合格。
3710mm×1665mm×1490mmというサイズも悪くはないが、先代に比べてかなりずんぐりした印象になってしまっている。
マツダ・デミオなどに対抗するつもりらしいが、1000cc3気筒で30km/Lというのはインパクトに欠けるか。
タイで生産と聞いたせいか、どことなくマーチ同様のアジアン・テイストを感じてしまう。これも先代とは大きく違う。
発売されたら、いちおう実車は見に行くだろうけれど、よっぽど公表された写真とイメージが違っていない限り、選ぶことはないだろう。
三菱なら、むしろ“コルト・プラス”のモデルチェンジに期待したい。
いずれにしろ、何から何までジャスト・フィットというクルマには出会うことができない。当分は、まだまだ迷いそうである。
2011/11/15 記