豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

バーク『フランス革命についての省察』

2021年12月28日 | 本と雑誌
  
 エドムンド・バーク/水田洋訳『フランス革命についての省察』(中公バックス・世界に名著41巻、中央公論社、1980年)を読んでいる。

 実は、10月に読みだした。ホッブズを読んだ後に何かの拍子で読み始めたのだが、今日(12月28日)現在、131頁でとん挫してしまっている。131頁の「国民議会とパリの凱旋式」という見出しの前に<10月28日>と書き込みがあるから、ちょうど2か月間ほったらかしのままということになる。
 バークは保守主義の代表的な論客とされているから、いつかは読まなくてはと思ってきた。しかも後に知ったことだが、半澤孝麿先生の翻訳もある(みすず書房)。半澤先生は50年以上前にぼくが大学に入学して最初に対話した先生なのである。穏やかで真面目な先生だった。あの先生が全訳をしているということは、きっと重要な本なのだろう。
 しかし、詠み始めてみたものの、どうも共感できない。内容もさることながら、その攻撃的な筆致に共感できない。しかも、のどの部分を読みやすくしようと左右に押したところ240頁と241頁の間で無線とじがガバッと真二つに割れてしまった(下の写真)。

     

 バークの基本的立場はフランス革命を否定し、イギリスの伝統的な君主制のもとでの漸進主義を支持するのだが、(現にぼくが読んだ箇所までは)フランス革命を熱烈に支持してイギリスにおいても同様の革命を主張する「イギリス革命協会」なる団体のパンフレットに対する駁論が続く。
 ぼくは、本書の巻頭にある水田洋氏の「イギリス保守主義の意義」という解説を読んでからバークを読み始めたのだが、イギリスにおいてフランス革命なみの急進的な君主制廃止、共和制を唱える者はそれほど有力ではなかったようである。水田氏によれば、フランス革命の当初はホイッグもトーリーも革命を支持したが、国王の処刑、ジャコバン独裁に及んだ頃には(最初からフランス革命を否定していた)右派だけでなく、左派のなかにも離反するものが現われたようである。

 どうもバークの本書は、現実に進行するフランス革命の批判というよりも、「時効の原理の名のもとに、・・・歴史的にできあがって現存するすべてのものを、歴史的に承認されたものとみな」し、「名誉革命に象徴されるイギリスの政治的伝統の、ほとんど無条件の擁護であ」った(23頁)。
 おそらくそれは、彼自身が手に入れた「地主」という地位の擁護でもあったのだろう。

 残り200頁をとにかく読み続けるか、もう本書は断念して、本書を契機に出版され、当時本書以上に売れたというトマス・ペインの『人間の権利』を読むか、迷っている。
 いずれにしても、今年最後の読書になるだろう。

 2021年12月28日 記

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする