きょう、5月6日は私たちの結婚記念日。
40数年前のこの日、六本木の教会で式を挙げ、国際文化会館で披露宴を開いた。
当日は今にも雨が降り出しそうな曇り空だったが、国際文化会館の庭にはつつじが咲きほこっていた。幸い最後まで雨は降らなかった。
コロナ禍の自粛要請も緩んできたので、久しぶりに六本木から麻布十番を歩くことにした。
大江戸線の六本木駅で降り立ち、アマンド前の交差点に出る。正面には東京タワーが見える。少し形が変わったのではないか?
工事中のロア・ビルを曲がり、鳥居坂教会の前を通ると、「本日12時25分から12時55分まで オルガン・コンサートが開催されます」という掲示が出ていた。月に1回開催される催し物らしいのだが、偶然きょうがその日だった。
開演まで1時間ほど時間があるので、まずは「赤い靴の女の子の像」を見に行くことにした。
実は昨日(5月5日)の東京新聞の連載「のぼりくだりの街」は鳥居坂の特集だった(下の写真)。
その記事の中で、野口雨情の童謡「赤い靴」の女の子は「異人さんに連れられて(異国へ)行っちゃった」ことになっているが、実は、この子は実在の人物で「きみちゃん」というのだが、アメリカ人の養子になってアメリカへ行く直前に結核に罹患してしまい、鳥居坂下にあった鳥居坂教会付属の孤児院で9歳で亡くなったのだそうだ。
そして麻布十番の路地に「きみちゃん像」という赤い靴の女の子の像が立っているというので、それを探して散歩することにしたのである。
東洋英和女学院の建物を左に見ながら、鳥居坂の急坂を下る。鳥居坂下の交差点を左折して少し歩くと、間口の余り広くない神社の木立が見えてくる。
十番稲荷神社という神社だが(下の写真)、かつてはここに「きみちゃん」がいた鳥居坂教会付属の孤児院があったという。
この神社の前の横断歩道を渡って、麻布十番商店街を越えると左手に公園があって、そこに赤い靴の女の子の像、「きみちゃん」像が立っていた(冒頭の写真)。
結核で亡くなった少女は、コロナ禍のもとにあって、お洒落なマスクをつけていた。
ただし東京新聞の記事によると、きみちゃんの生涯は不幸ばかりだったわけではなく、東洋英和女学院の生徒に連れられて、同校の校長室で日向ぼっこをしていたこともあったという。
像の台座には、きみちゃんを紹介する石碑も建っている。
となると、横浜の山下公園にある赤い靴の少女像は何なのかということになるが、「横浜の港から船に乗って 異人さんに連れられて行っちゃった」と歌詞にあるのだから、あれはあれでよいのだろう。きっとそういう女の子もいたことだろう。
ゆっくりと歩いて、あえぎながら(というほどではないが)鳥居坂を登って、ふたたび鳥居坂教会に戻り、オルガン・コンサートを聴く。
教会の建物は新しく明るくなり、当時の面影はないのだが、40年以上前の結婚式を思い出しながら、バッハその他の教会音楽を聞かせてもらった。
2022年5月6日 記