豆豆先生の研究室

ぼくの気ままなnostalgic journeyです。

映画『汚れなき悪戯』

2022年04月29日 | 映画
 映画の子役シリーズ、その3は、スペイン映画『汚れなき悪戯』(原題 “Marcelino Pan y Vino”(マルセリーノ、パンとブドウ酒)、1955年製作、東和提供)のパブリート・カルボ。ハリウッド映画に限定しなければ、ぼくの子役ナンバー1である。
 『汚れなき悪戯』(けがれなき いたずら)は、小さい頃に見た思い出深い映画の1つである。主人公の子どもがサソリにかまれたシーンを覚えている。
 1955年といえば、戦後スペインがまだフランコ独裁政権の下にあった時代。この映画を親フランコ的な映画とする評価もあるようだが、ぼくにはそうは思えなかった。幼なかったからかもしれないが。

 いつの時代かは明らかでないが、舞台はスペインの片田舎の修道院。ある朝、その門の前に幼い男の子(パブリート・カルボ)が棄てられていた。12人の修道士たちは彼をマルセリーノと名づけて大事に育てる。マルセリーノは悪戯(いたずら)好きの可愛い少年に育つのだが、ある日ちょっとした悪戯から事件が起きてしまい、かねてから修道院を快く思っていなかった村長は修道院に対して立ち退きを要求する。
 立ち退きの日(だったか?)に、マルセリーノは修道士から絶対に開けてはいけないと言われていた修道院の塔の屋上の扉を開けてしまう。中にはキリストの像が立っていて、「こちらにおいで」と彼を招いているようにマルセリーノには思えた。光り輝くキリストのほうに歩み寄ったマルセリーノは、そのまま天に召される。
 気がついた修道士たちが駆け寄ったときには、マルセリーノの亡骸はキリスト像の足元で冷たくなっていた・・・。

 このラストシーンで流れる主題歌が「マルセリーノの歌」である。おそらくこの曲も、ラジオ番組「ユア・ヒットパレード」(東京田辺提供)でトップを続けたはずである。上の写真がそのレコードと、ジャケット(セブン・シーズ・レコード、HIT=1333、©表示は1966年、この年にリバイバル上映されたらしい。370円)。
 映っている少年がマルセリーノ役のパブリート・カルボである。ジャケットの解説によると、彼は5000人を超える応募者の中から選ばれたという。小森和子(小森のおばちゃま)がパブリート・カルボとジェームス・ディーンの大ファンであると公言していたことは以前に書き込んだ。
   

 ぼくは彼が主演した『広場の天使』という映画も見た記憶がある。もく拾い(禁煙社会の今日、意味が分かるだろうか?)のお爺さんと二人だけで生活する貧しい少年を演じていた。この話も泣けた。
 実際のパブリート・カルボは(マルセリーノほどではないが)わりと若くして亡くなった。調べると彼は1948年生まれで、2000年に亡くなっている。ぼくとほぼ同じ年齢だったのだ! 
 朝日新聞に彼の死亡記事が載ったので、ぼくだけの思い出かと思っていた『汚れなき悪戯』のパブリート・カルボが意外と有名だったことに驚いた。

 『汚れなき悪戯』はDVDも持っているのだが、ヨーロッパのカトリック国における捨て子の問題に関心をもっている研究仲間に貸してあって今は手元にない。
 彼女によれば、ヨーロッパの修道院は捨て子の受け皿になってきたが、捨て子は修道院で酷使され、その死亡率も高かったということである。
 映画『汚れなき悪戯』のラストシーンは、そのような歴史を象徴していたのかもしれない。

 2022年4月29日 記
 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 映画『ペーパー・ムーン』 | トップ | 新宿住友ビル、三角広場 »

映画」カテゴリの最新記事