気ままに

大船での気ままな生活日誌

福岡市博物館で国宝金印と名刀 (博多たび#3)

2016-01-27 13:43:43 | Weblog

サザエさん通りに面して、福岡市博物館がある。はじめての訪問でわくわく。なにせ、ここには、かの有名な国宝・金印があるしね。2014年秋に東博で開催された日本国宝展で見ているが、やはり本場でみるのが一番。

知らない人はいない国宝。”金印”、日本の古代史上最も著名な五文字「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」が印面に刻まれています。後漢の初代皇帝光武帝(こうぶてい)が倭(わ)の奴国王に金印を与えたという『後漢書』の記載を裏づけました。日本最古の金製品で、鈕(ちゅう)はとぐろを巻く蛇をかたどり、その鱗(うろこ)は魚々子(ななこ)技法で表されています。と、国宝展のときのマイブログ記事を貼りつけてみた。

ここでは、あの小さな金印が、こんな大きな囲いの中に、ひとつだけ展示されている。国宝展のときは長蛇の列だったが、ここはひっそり。ゆっくりみられる贅沢。

さあ、覗いてみましょう。展示法は同じく、鏡に印面を写すようにしている。

ガラス越しに拡大して撮ってみたが、ぼやけて字が分からない。で、こちらの写真をご覧ください。とぐろを巻く蛇。

蛇の目を拡大

印面:漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)

一方、こちらの名刀陳列棚には行列ができていた。8割方、若い女子。東博ではしばしば見かけていたが、博多にもたくさんの刀剣女子が生息していたのにはびっくりタイ。

左に長槍、日本号、右に国宝刀・圧切長谷部

大身槍/名物日本号 天下三名槍の一つ。”黒田節”の母里友信の長槍。穂(刃長)が約80㎝、茎が約60㎝、拵えを含めると。321.5㎝、総重量2.8キロになる。


樋(刃中央の溝)に倶利伽羅龍の浮彫がある。

青貝螺鈿貼拵の鞘と柄。

博多駅前の母里友信像 酒はのめのめのむならば 日の本いちのこの槍を のみとるほどにのむならば これぞまことの黒田武士

国宝 刀 名物”圧切長谷部(へしきりはせべ)” 信長が、観内という茶坊主を成敗した時、膳棚の下に隠れた観内を棚ごと「圧し切り」(刀身を押し当てて切ること)にして斬殺したことで、「へし切」の名が付けられた。のちに黒田如水に渡る。名刀というより妖刀というべきか。

金印と名刀、すばらしい博物館だった。




(つづく)

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禅寺で金澤翔子の書

2016-01-27 10:34:30 | Weblog

円覚寺で金澤翔子の書展が開催されているというので、昨日、行ってきた。ぼくが書に感動することはめったにないが、今回は胸があつくなってしまった。書に命が宿るというか、そんなふうなのだ。

大方丈全体が展覧会場になっている。そこに翔子さんの大作がいくつも置かれている。玄関口にも。摩訶という字がみえる。

摩訶般若の4字だった。般若心経の冒頭に出てくる経文。何という力強い文字。

翔子さんが小学校4年のとき書いたという、般若心経全文の書も奥の方に展示されている。その横にお母さんのコメントが。ダウン症の知的障害のため小学校の先生から、新学期からの登校を拒否された。なすすべもなく、途方に暮れた私は、翔子に般若心経の大作を書かせようと決心した。

今は円覚寺に眠る父が、翔子の才能を認め、20歳になったら個展を開こう、という。それから、母と娘の懸命な努力がはじまる。そして、20歳のとき、とうとう念願の個展を銀座で開くことができた。それから10年。亡き父ゆかりの禅寺で、”心”展が開催された。命日の1月16日には、翔子さんが父への感謝の祈りを込め、仏殿において席上揮毫を行なったとのことだ。

お母さんのコメントが、翔子さんの書を一層、輝かせてくれる。たとえば、建仁寺に飾られた禅語”大哉心乎(おおいなるかなしんや)”。ある高僧が足を止められ、凄い作品だと、おっしゃり、実は”大哉心乎”の字には仏という字が隠れていて、本来は大哉仏心乎(おおいなるかなぶっしんや)という。隠れている仏の字の空間を開けていると、びっくりされたそうだ。翔子には、普通の人がみえない仏の字がみえていた。

2009年、建長寺で個展があり、風神雷神を大書した。なんと、宗達の風神雷神図屏風の構図と同じだったのである。

参考:風神雷神図屏風(建仁寺)

翔子さんには、ぼくらが永年、身につけてきている、いわば余計なものを、はじめから持たない。それゆえ、みえないものがみえるのであろう。ぼくも、はやく、翔子さんに近づかねば。

大河ドラマの題字も書かれた。

心に沁みる書のかずかず

素晴らしい書展であった。

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