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【cinema / DVD】『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』

2007-08-06 23:32:54 | cinema / DVD
DVDにて鑑賞。

今世紀最大の倒産劇と呼ばれたエンロン社を描いた作品。ライブドア事件の時に引き合いに出されたりしたけど、当時は良く知らなかったし、あまり興味が無かった。人気者だった頃からホリエモンが好きじゃなかったし・・・。

幹部の不正を告発した元副社長や、粉飾決算に気付いたアナリスト、不正について記事にした記者、元トレーダーなど多数の証言やニュース映像からなるドキュメンタリー映画。正直、株取引とか粉飾決算など漠然とした理解だったので、全く分からないんじゃないかと思っていた。でも、すごく分かりやすかった。

おそらく他にも黒幕はいたのだろうけど主な黒幕は3人。エンロンを悪へと導いたとされるアンディー・ファストゥは粉飾決算に加担。作品中彼のみ有罪判決を受けている。会長ケン・レイは父の代からブッシュ一族との結びつきが強く、政治資金などかなりの金が動いた様子。頭は切れるようだけど、その風貌や会社が巨額の赤字を出す中、社用機の事しか頭に無い感じなどは、こんな話につきものの滑稽な役どころにも見える。

多分、一番糾弾したかったのはジェフ・スキリングだと思う。裁判映像などは彼のものが一番多い。かなりの切れ者らしいけど自分の頭のよさに酔っている感じ。大学の時に頭が良いか聞かれて「うんざりするほど」と答えたらしい! 私はうんざりするほど頭が悪いので、そんな人の気持ちはさっぱり分からないけど、頭髪も寂しくなり、分厚いめがねのメタボ中年だった彼が、一大決心して自己改造するなど努力はスゴイ(笑) ってことは自己顕示欲が強いということか・・・。

エンロンの急成長は粉飾決算などによる株価操作と市場の掌握。粉飾決算のからくりは時価会計というもの。本来は資産と負債を時価評価し決算するというものらしいけど、これを悪用し出てもいない利益を計上していったらしい。この辺りは漠然とした理解。でも、なるほどなと思う。そしてJPモルガン、シティーバンク、メリルリンチなどの巨大銀行や証券会社もエンロンの格付けを上げるのに加担したとも言える。虚像だけで株価が上がる。こういう事が情報社会の恐ろしさなんだと納得。

興味深かったのはカリフォルニア電力危機への関与。この事件については知らなかったし、電力を売り買いしているとはビックリ。これは後々、知事リコールにまで発展。そして、ある映画スターが登場してくる。元々特別ファンではないけれど、このからくり通りだとすれば筋肉バカだな・・・。

前述の3人は会社が破綻する前にインサイダーで株を売り抜けしていたし、それより前にパイという人物は会社の経費で毎晩ストリップに通い、会社の自分のデスクの上でストリッパーを躍らせるというやりたい放題やりつくした挙句、退職金3億5千万を受け取り今は悠々自適の生活らしい。2万人の失業者の多くは自分達の年金すら失ったというのに!

インタビューに答える側の元幹部や社員達は一様に、幹部3人を糾弾するけれど不思議と自分達の罪の意識は薄いようだ。確かに被害者の側面はある。一般の社員達は確かにそうだろう。でも幹部なのであれば加害者の側面もあるんじゃないだろうか? 特に元トレーダーたちの悪びれなさには鼻白らむ。カリフォルニアの多くの市民が停電による被害を被ったのに!「バカな投資家をカモにする」発言もビックリ。それが仕事といえばそうだけど釈然としない。

ケン・レイやジェフ・スキリングが繰り返し言う「知らされていなかったから、私は責任を取れない」というのは全く腹が立つ。トップというのは部下の失敗の責任を取るものだろう! まぁ、そんな常識は通じないのだろう。でも、このセリフ意外に元トレーダー達にも当てはまるものだろう。立場や罪の是非などの違いはあるけれど。

実際に起こった出来事かと思うと手放しでオススメしずらいけど、この事件について文章で読んでもここまで理解できたか分からない。そういう意味ではかなり良く出来ていたし、面白かった。次々出てくる悪事のからくりに驚くばかり。


『エンロン 巨大企業はいかにして崩壊したのか?』Official Site

コメント
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