'07.09.21 『エアギター エピソードゼロ』@テアトルタイムズスクエア(試写会)
エアギターっていうのはギターを持たずにギタープレイをすること。古くはプレスリーが行っていたことでも有名らしいけど、メタル系の長いギターソロの間、間がもたないヴォーカリストが行うことが多い。なのでメタル系の曲を使ってプレイすることが多い。1996年フィンランドの学生がオウルの街で国際大会を開いたのをきっかけに、エアギターという新たなジャンルが生まれた。日本からは2004、05年と2年連続で金剛地武志が4位入賞。2006、07年とダイノジおおちが優勝して話題に。『かもめ食堂』のもたいまさこ扮するマサコがフィンランドに来ようと思ったきっかけでもある。この日は金剛地武志の生エアギター・プレイ&トーク付き。生エアはやっぱりおかしい。プレイ時間はそんな長くなかったのに、かなり息が上がっていたのはお年のせいだけではないはず(笑)
映画は2003年大会に向けてのアメリカ大会から始まり、2人のライバルを中心に大会終了までを描く。最初はNY大会から。会場のライブハウスには入り切れない観客が300人も出るほどの人気だったらしい。この大会で優勝したのが韓国系アメリカ人のC・ディーディー。キティーちゃんの胸当てに赤い着物といういで立ちのディーディーのエアはすごい。ただ役者志望という彼の過剰な感じはあまり好きになれなかった。普段の彼のことに言及してしまうと、素の部分の彼個人の批判になってしまうので微妙なのだけど、とにかくカメラが廻っている時の彼のテンションとか語り口が、映画で見掛けるアジア人のテンション過剰な感じに重なる。自然じゃない感じ。彼はエアに「アジアの怒り」を込めたと言うけど、アジアの怒りって一体何? エアを披露する前も彼一人だけMCしたりして何となく好きになれない。The BIRTHDAYのイマイアキノブのギタープレイが好きになれないのと同じで、余りに「俺」を前面に押し出す感じは好きになれない。まぁ、あくまで個人的な好み。彼のエアは他の出演者に比べると群を抜いていたことは間違いない。
NY大会2位のビョルン・トゥロックが彼のライバル。個人的にはルックス含めて彼のプレイの方が好み。ちと下腹が出てはいたけど細身で、プレイもスタイリッシュ。でも「エア」ってことだけを考えると、ディーディーに比べて面白みはないかも。これまた彼個人のことに言及して個人批判になってしまうかもしれないけど、あの粘ばりを不屈の精神と取るか、粘着質な負け犬と取るかも微妙。私は何となく後者に感じてしまった。映画としてもそう描いていたし。
個人的にはちょっと滑稽なことを真剣にやるってことに面白さを感じてて、エアギターはまさにそんな感じを楽しんでいた。ディーディーのスタンスはそれに近いかもしれない。LA大会ではレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが審査員をつとめている。ブライアン・メイがメッセージをよせたりとそんな感じはちょっと笑える。もちろん真面目でありつつクスッとくる感じ。
選手権会場であるオウルに着くとなんと合宿も開催されている! 前大会優勝者のザック・モンロー中心にエアのレッスンが真剣に行われる。そんな感じもクスリ(笑)でも、映画としては笑う視点では描いていないと思う。個人的な好みなので笑う視点じゃなくてもいいんだけど。ただ、やっぱり本来は楽器があって成り立つギタープレイを、なしでやるということの滑稽さってあると思う。そもそもヴォーカリストのやるエアをカッコイイと思ったことは一度もない。だって変だし(笑)
そして、アメリカ大会や世界選手権を通じて参加者が口々に言うのは「本物のギターではヒーローになれないから」という感じもいい。いわゆるギターには挫折しているけどエアならっていうのが何とも庶民的で泣ける(笑) そういう中からエアのヒーローが生まれて、その先にはギターヒーローがいる感じ。
とりあえずエアギターなどバカなことを真剣にやっているのを見るのは好きなので楽しくはあった。でもドキュメンタリーとしてはCディーディーの私生活とかは正直いらなかった。彼は確かにヒーローになったけど、その対比としてビョルンを惨めな人物として描こうという意図みたいのも感じたのは気のせいかな? それよりもっと選手権に集まった各国代表のプレーを見たかったし、それぞれのこだわりなんかが知りたかった。まぁ、これはアメリカ人監督が撮ったアメリカ映画なので他の国のことなんて関係ないのか。しかし、アメリカはヨーロッパでは嫌われている。その感じをきちんと描いていたのはエライ。でも、結局アメリカ万歳なのだけど(笑)
想像していたより全然バカ映画ではない。エアギターに好きな人にはちょっと違うと感じる面もあるかも。でも、大会でのエアのシーンはかっこよく仕上がっていると思う。
⇒『エアギター エピソードゼロ』Official site
⇒AIR GUITAR JAPAN Official site
⇒金剛地武志Official site
エアギターっていうのはギターを持たずにギタープレイをすること。古くはプレスリーが行っていたことでも有名らしいけど、メタル系の長いギターソロの間、間がもたないヴォーカリストが行うことが多い。なのでメタル系の曲を使ってプレイすることが多い。1996年フィンランドの学生がオウルの街で国際大会を開いたのをきっかけに、エアギターという新たなジャンルが生まれた。日本からは2004、05年と2年連続で金剛地武志が4位入賞。2006、07年とダイノジおおちが優勝して話題に。『かもめ食堂』のもたいまさこ扮するマサコがフィンランドに来ようと思ったきっかけでもある。この日は金剛地武志の生エアギター・プレイ&トーク付き。生エアはやっぱりおかしい。プレイ時間はそんな長くなかったのに、かなり息が上がっていたのはお年のせいだけではないはず(笑)
映画は2003年大会に向けてのアメリカ大会から始まり、2人のライバルを中心に大会終了までを描く。最初はNY大会から。会場のライブハウスには入り切れない観客が300人も出るほどの人気だったらしい。この大会で優勝したのが韓国系アメリカ人のC・ディーディー。キティーちゃんの胸当てに赤い着物といういで立ちのディーディーのエアはすごい。ただ役者志望という彼の過剰な感じはあまり好きになれなかった。普段の彼のことに言及してしまうと、素の部分の彼個人の批判になってしまうので微妙なのだけど、とにかくカメラが廻っている時の彼のテンションとか語り口が、映画で見掛けるアジア人のテンション過剰な感じに重なる。自然じゃない感じ。彼はエアに「アジアの怒り」を込めたと言うけど、アジアの怒りって一体何? エアを披露する前も彼一人だけMCしたりして何となく好きになれない。The BIRTHDAYのイマイアキノブのギタープレイが好きになれないのと同じで、余りに「俺」を前面に押し出す感じは好きになれない。まぁ、あくまで個人的な好み。彼のエアは他の出演者に比べると群を抜いていたことは間違いない。
NY大会2位のビョルン・トゥロックが彼のライバル。個人的にはルックス含めて彼のプレイの方が好み。ちと下腹が出てはいたけど細身で、プレイもスタイリッシュ。でも「エア」ってことだけを考えると、ディーディーに比べて面白みはないかも。これまた彼個人のことに言及して個人批判になってしまうかもしれないけど、あの粘ばりを不屈の精神と取るか、粘着質な負け犬と取るかも微妙。私は何となく後者に感じてしまった。映画としてもそう描いていたし。
個人的にはちょっと滑稽なことを真剣にやるってことに面白さを感じてて、エアギターはまさにそんな感じを楽しんでいた。ディーディーのスタンスはそれに近いかもしれない。LA大会ではレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレロが審査員をつとめている。ブライアン・メイがメッセージをよせたりとそんな感じはちょっと笑える。もちろん真面目でありつつクスッとくる感じ。
選手権会場であるオウルに着くとなんと合宿も開催されている! 前大会優勝者のザック・モンロー中心にエアのレッスンが真剣に行われる。そんな感じもクスリ(笑)でも、映画としては笑う視点では描いていないと思う。個人的な好みなので笑う視点じゃなくてもいいんだけど。ただ、やっぱり本来は楽器があって成り立つギタープレイを、なしでやるということの滑稽さってあると思う。そもそもヴォーカリストのやるエアをカッコイイと思ったことは一度もない。だって変だし(笑)
そして、アメリカ大会や世界選手権を通じて参加者が口々に言うのは「本物のギターではヒーローになれないから」という感じもいい。いわゆるギターには挫折しているけどエアならっていうのが何とも庶民的で泣ける(笑) そういう中からエアのヒーローが生まれて、その先にはギターヒーローがいる感じ。
とりあえずエアギターなどバカなことを真剣にやっているのを見るのは好きなので楽しくはあった。でもドキュメンタリーとしてはCディーディーの私生活とかは正直いらなかった。彼は確かにヒーローになったけど、その対比としてビョルンを惨めな人物として描こうという意図みたいのも感じたのは気のせいかな? それよりもっと選手権に集まった各国代表のプレーを見たかったし、それぞれのこだわりなんかが知りたかった。まぁ、これはアメリカ人監督が撮ったアメリカ映画なので他の国のことなんて関係ないのか。しかし、アメリカはヨーロッパでは嫌われている。その感じをきちんと描いていたのはエライ。でも、結局アメリカ万歳なのだけど(笑)
想像していたより全然バカ映画ではない。エアギターに好きな人にはちょっと違うと感じる面もあるかも。でも、大会でのエアのシーンはかっこよく仕上がっていると思う。
⇒『エアギター エピソードゼロ』Official site
⇒AIR GUITAR JAPAN Official site
⇒金剛地武志Official site