'08.05.18 『ナルニア国物語 / 第2章 カスピアン王子の角笛』(試写会)@ウォルト・ディズニー試写室
これは見たいと思っていたけど、もしかすると劇場には行かずに終わってしまうかもなぁ・・・と思っていた。公認ブロガーをさせていただいているシネトレさんから試写会のお知らせが来たので即効応募。見事当選!
「ペベンシー兄弟がナルニアから戦時下のイギリスへ戻って1年。ナルニアでは1300年が過ぎていた。異国からやってきた人間テルマール人が支配し、ナルニアは滅びた。テルマールの王子カスピアンは王位を狙う叔父の追跡から逃れ、伝説の4人の王を呼ぶ角笛を吹くが・・・」という話。これはおもしろかった! 冒頭からスピード感たっぷりでぐいぐい引き込まれた。第1章ではお伽話的な要素が多く、子役達も小さかったこともあり、どちらかと言うと子供向けという意味でのファンタジーという仕上がりだったけれど、今回は大人が見ても十分楽しめる出来になっている。
原作はだいぶ前に読んだので意外に忘れてしまっている。冒頭は荘厳な城の一室での出産シーン。カスピアン王子の叔父で摂政のミラース待望の男児誕生。その知らせを受けて、カスピアン暗殺の指令が下される。そして間一髪での逃走劇。馬を駆っての森の中でのチェイスは緊迫感がありながらも美しい。そして窮地に追い込まれたカスピアンは角笛を吹く。
一転、戦時下のロンドン。美しいナルニアから灰色の大都会。ペベンシー兄弟大きくなっている! 彼らが地下鉄の駅のホームからナルニアへ呼び戻されるシーンは感動的。ちょっと鳥肌が立った。人工的都市から一気にナルニアの美しい海岸へ。彼らは自分達の身に起きようとしている事が分かっている。もちろん私達も(笑) だからそのワクワク感を共有する。4人がナルニアに着いてから原作ではけっこう長めに冒険した後、廃墟となったケア・パラベル城を発見したけど、この辺りはさらりと描いている。オチ・カ(小さい人:トランプキン)とのやり取りもアッサリめ。廃墟になったケア・パラベルもオチ・カもイメージどおり。
4人はオチ・カから彼らが呼び戻されたいきさつを聞き、カスピアンの元を目指し旅立つ。途中ルーシーはアスランの姿を見るが、他の者には見えない。ここも原作どおりだけど後の伏線であり、アスランの神秘性を感じさせる。その夜、ルーシーが見た夢のシーンが美しい。第1章でも出てきたけど花びらが舞い人の形となりルーシーを導く映像がいい。CGの進化もさることながら、自然の美しさがいい。これは映画全体に言えることだけど、まず自然の美しさがあり、そこに全く違和感のない形でCGが使われているので、どこまで本物なのか分からない。でも、どこかお伽的というか、ファンタジーを感じさせる映像になっている。それが素晴らしい。森の中にドワーフや言葉を話すアナグマがいることが不思議じゃない。というか何もいない茂みにもその存在を感じる。ルーシーが見た夢は平和だった頃のナルニア。だから光に満ちあふれている。でも、目覚めた森の木々は心を閉ざしたまま。なので晴れた朝でもトーンは暗い。そういうのが上手い。
この間、カスピアンは隠れて暮らしてきたナルニアの人々と合流している。半人半馬のセントールやミノタウロスなど様々な種族。このデザインはディズニーだけにそんなにグロくない。子供には怖いかもしれないけど・・・。『ロード・オブ・ザ・リング』のウルク・ハイやオークに比べたら全然平気(笑) このデザインは前作同様『ロード・・・』も手がけたWETA。恐ろしい中にもどこか愛らしさや気高さのあるデザインがいい。そしてリーピチープ! 誇り高きネズミの騎士。これもイメージどおり。
そして物語は合流した4人とカスピアン、城で策略をめぐらすミラースと家臣たちの腹の探りあいとが並行して描かれる。初めは3つだった話は一気に1つに集束する。この辺りのテンポもいい。同年代だけに意地の張り合いでギクシャクしながらもピーターの意見を入れ城へ攻撃をしかけるナルニア軍。この戦闘シーンはいい。「ヘルム砦の戦い」には及ばないけど、必死に戦う動物達(ナルニア人だけど・・・)が健気でいとおしい。滅びの美学ってある。この戦いはカスピアンとピーターの息が合わなかったことで退却することになる。その際、城に取り残されたナルニア人たちの悲壮感ただよう覚悟がいい。ここで戦闘シーンが入ったことは盛り上がるとともに、ピーターとカスピアンの挫折を見ることになる。人の意見を聞けず独りよがりになってしまったピーター。個人的な気持ちにとらわれ役目を果たせなかったカスピアン。これは2人に対する試練。そしてこの後、もう1つの試練が。こんなチョイ役で?という感じでアカデミー助演賞のあの人が・・・。これらは全てラストへ向けての伏線。大人になるということは"個"をいかにコントロールできるかということ。
今回良かった事は4人が成長したので自分達が何をすべきで、どこへ向かうべきか模索しつつも分かっていたこと。人間の権力への欲望や大人の汚い部分も描かれている。子供のうちはそれに抵抗を感じるかもしれないけど、大人になったらこういう世界で生きていく。まぁ、ここまで極端ではないけれど・・・。そういう部分をきちんと描いているのもいい。
ピーターとミラースの決闘から一気に合戦へなだれ込むのがいい。「ペレンノール野の戦い」にはかなわないけど、ピーターとカスピアンの掛け声とともにナルニア軍が突撃していく姿は感動! だってチーターみたいのが一生懸命走っているんだもの・・・。猫を飼っているので猫科には弱い(笑)
主役4人は成長していた分だけ演技も成長。なかなか良かった。ひねくれエドマンドが頼もしい子になっていたのはちょっぴり物足りないけど・・・(笑) 今回の主役カスピアンのベン・バーンズ。マスコミがかなりフィーチャーしていたので注目してみたけど良かった。憧れの王子様って実はつまらなくなりがちだけど、苦悩して成長する王子を上手く演じていたし、立派な王になった姿にもウソ臭さや違和感はなかった。彼がピーターからその命運を託された叔父ミラースと対峙するシーンは良かったと思う。ティルダ・スウィントンはわずかな出演シーンながらさすがの存在感。アスランのリーアム・ニーソンがいい。深くて大きく包み込む声が素晴らしい。
実は最終的に勝ったのはナルニア人を含めた"自然"。結局そこかと思う人もいるかもしれないけど、自然をおろそかにしてはいけないというメッセージは、こんな風に見せられたら子供達の心に響くかも。そして4人、特に今回節目を迎えたピーターとスーザンの姿を通して大人になることが学べると思う。大人になる事は困難や挫折を経験して、苦しんだ中から何かを学び取り一歩ずつ成長すること。それは何もナルニア国の危機を救うことじゃない。日々、どんなことでも自分で考えて答えを出していけば、例え目に見えなくても確実に進歩しているハズ!
というわけで、かなり良かった。ニュージーランド・チェコ・ポーランド・スロベニアなど各地で撮影された映像も見事。オススメ!
『ナルニア国物語 / 第2章 カスピアン王子の角笛』Official site
![](https://yaplog.jp/cv/maru-a-gogo/img/560/img20080520_1_p.jpg)
↑ コレもらった。かなり充実した内容。
これは見たいと思っていたけど、もしかすると劇場には行かずに終わってしまうかもなぁ・・・と思っていた。公認ブロガーをさせていただいているシネトレさんから試写会のお知らせが来たので即効応募。見事当選!
![](https://yaplog.jp/cv/maru-a-gogo/img/560/img20080520_p.jpg)
原作はだいぶ前に読んだので意外に忘れてしまっている。冒頭は荘厳な城の一室での出産シーン。カスピアン王子の叔父で摂政のミラース待望の男児誕生。その知らせを受けて、カスピアン暗殺の指令が下される。そして間一髪での逃走劇。馬を駆っての森の中でのチェイスは緊迫感がありながらも美しい。そして窮地に追い込まれたカスピアンは角笛を吹く。
一転、戦時下のロンドン。美しいナルニアから灰色の大都会。ペベンシー兄弟大きくなっている! 彼らが地下鉄の駅のホームからナルニアへ呼び戻されるシーンは感動的。ちょっと鳥肌が立った。人工的都市から一気にナルニアの美しい海岸へ。彼らは自分達の身に起きようとしている事が分かっている。もちろん私達も(笑) だからそのワクワク感を共有する。4人がナルニアに着いてから原作ではけっこう長めに冒険した後、廃墟となったケア・パラベル城を発見したけど、この辺りはさらりと描いている。オチ・カ(小さい人:トランプキン)とのやり取りもアッサリめ。廃墟になったケア・パラベルもオチ・カもイメージどおり。
4人はオチ・カから彼らが呼び戻されたいきさつを聞き、カスピアンの元を目指し旅立つ。途中ルーシーはアスランの姿を見るが、他の者には見えない。ここも原作どおりだけど後の伏線であり、アスランの神秘性を感じさせる。その夜、ルーシーが見た夢のシーンが美しい。第1章でも出てきたけど花びらが舞い人の形となりルーシーを導く映像がいい。CGの進化もさることながら、自然の美しさがいい。これは映画全体に言えることだけど、まず自然の美しさがあり、そこに全く違和感のない形でCGが使われているので、どこまで本物なのか分からない。でも、どこかお伽的というか、ファンタジーを感じさせる映像になっている。それが素晴らしい。森の中にドワーフや言葉を話すアナグマがいることが不思議じゃない。というか何もいない茂みにもその存在を感じる。ルーシーが見た夢は平和だった頃のナルニア。だから光に満ちあふれている。でも、目覚めた森の木々は心を閉ざしたまま。なので晴れた朝でもトーンは暗い。そういうのが上手い。
この間、カスピアンは隠れて暮らしてきたナルニアの人々と合流している。半人半馬のセントールやミノタウロスなど様々な種族。このデザインはディズニーだけにそんなにグロくない。子供には怖いかもしれないけど・・・。『ロード・オブ・ザ・リング』のウルク・ハイやオークに比べたら全然平気(笑) このデザインは前作同様『ロード・・・』も手がけたWETA。恐ろしい中にもどこか愛らしさや気高さのあるデザインがいい。そしてリーピチープ! 誇り高きネズミの騎士。これもイメージどおり。
そして物語は合流した4人とカスピアン、城で策略をめぐらすミラースと家臣たちの腹の探りあいとが並行して描かれる。初めは3つだった話は一気に1つに集束する。この辺りのテンポもいい。同年代だけに意地の張り合いでギクシャクしながらもピーターの意見を入れ城へ攻撃をしかけるナルニア軍。この戦闘シーンはいい。「ヘルム砦の戦い」には及ばないけど、必死に戦う動物達(ナルニア人だけど・・・)が健気でいとおしい。滅びの美学ってある。この戦いはカスピアンとピーターの息が合わなかったことで退却することになる。その際、城に取り残されたナルニア人たちの悲壮感ただよう覚悟がいい。ここで戦闘シーンが入ったことは盛り上がるとともに、ピーターとカスピアンの挫折を見ることになる。人の意見を聞けず独りよがりになってしまったピーター。個人的な気持ちにとらわれ役目を果たせなかったカスピアン。これは2人に対する試練。そしてこの後、もう1つの試練が。こんなチョイ役で?という感じでアカデミー助演賞のあの人が・・・。これらは全てラストへ向けての伏線。大人になるということは"個"をいかにコントロールできるかということ。
今回良かった事は4人が成長したので自分達が何をすべきで、どこへ向かうべきか模索しつつも分かっていたこと。人間の権力への欲望や大人の汚い部分も描かれている。子供のうちはそれに抵抗を感じるかもしれないけど、大人になったらこういう世界で生きていく。まぁ、ここまで極端ではないけれど・・・。そういう部分をきちんと描いているのもいい。
ピーターとミラースの決闘から一気に合戦へなだれ込むのがいい。「ペレンノール野の戦い」にはかなわないけど、ピーターとカスピアンの掛け声とともにナルニア軍が突撃していく姿は感動! だってチーターみたいのが一生懸命走っているんだもの・・・。猫を飼っているので猫科には弱い(笑)
主役4人は成長していた分だけ演技も成長。なかなか良かった。ひねくれエドマンドが頼もしい子になっていたのはちょっぴり物足りないけど・・・(笑) 今回の主役カスピアンのベン・バーンズ。マスコミがかなりフィーチャーしていたので注目してみたけど良かった。憧れの王子様って実はつまらなくなりがちだけど、苦悩して成長する王子を上手く演じていたし、立派な王になった姿にもウソ臭さや違和感はなかった。彼がピーターからその命運を託された叔父ミラースと対峙するシーンは良かったと思う。ティルダ・スウィントンはわずかな出演シーンながらさすがの存在感。アスランのリーアム・ニーソンがいい。深くて大きく包み込む声が素晴らしい。
実は最終的に勝ったのはナルニア人を含めた"自然"。結局そこかと思う人もいるかもしれないけど、自然をおろそかにしてはいけないというメッセージは、こんな風に見せられたら子供達の心に響くかも。そして4人、特に今回節目を迎えたピーターとスーザンの姿を通して大人になることが学べると思う。大人になる事は困難や挫折を経験して、苦しんだ中から何かを学び取り一歩ずつ成長すること。それは何もナルニア国の危機を救うことじゃない。日々、どんなことでも自分で考えて答えを出していけば、例え目に見えなくても確実に進歩しているハズ!
というわけで、かなり良かった。ニュージーランド・チェコ・ポーランド・スロベニアなど各地で撮影された映像も見事。オススメ!
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↑ コレもらった。かなり充実した内容。