'12.05.08 『ファミリー・ツリー』試写会@朝日ホール
rose_chocolatさんからのお誘い。気になっていたので、よろこんで行ってきたー♪
*ネタバレありです!
「ハワイで弁護士をしているマット。カメハメハ大王に繋がる先祖から引き継いだ広大な土地の信託管理も任されている。妻と2人の娘の4人家族。自分の信念に従い、家族に接しているつもりだった。でも、妻がボートの事故で意識不明となり、家族の心が離れていたことが分り・・・」という話。意図したわけではないけど、母の死を乗り越える父親と子供達の話が続いてしまったけれど、こちらも良かった。どちらも、コメディタッチで重いテーマをサラリと描いていて、重くなり過ぎずに見れる。家族の再生という普遍のテーマを、気負うことなく描いてて、感動。゚(PД`q。)゚。ってことはないけど、じんわり豊かな気持ちになれる映画だった。
カウイー・ハート・ヘミングスの同名小説が原作。ちなみに小説原題は「THE DESCENDANTS」で子孫達という意味。映画の原題も同じになっている。原作は未読なので、どの程度忠実に映画化されているのか不明だけど、どうやらハワイが舞台になっているのはそのままらしい。脚本も手がけたアレキサンダー・ペイン監督は、ハワイが舞台であることが重要であると感じたそうだけど、それは本当に正しいと思う! この映画が、よくある家族再生の話にならなかったのは、さまざまな要素があると思うけれど、ハワイが舞台であるということがとっても大きいと思う!
冒頭、マット自身のナレーションで、「楽園に住んでいるから悩みなどないだろうと言われるけれど、ハワイに住んでいたって悩みはある。サーフィンしまくっているだろうと言われるけれど、自分はサーフィンなんて15年もしていない。」というようなことが語られる。まぁ、よく考えればそうなんだろうけど、やっぱりハワイといえばそういうイメージ。日本からハワイに移住する方の多くは、自然に魅せられてサーフィンや、独特のハワイ文化や、自然を求めて行かれる方が多いと思うし・・・ マットのようにハワイで生まれ育った人にとっては、ハワイの魅力は普通のことであって、生きていく上での悩みは同じなのかもしれない。でも、見る側にとっては、やっぱりハワイといえば楽園というイメージ。だから、彼らの普通の悩みもどこかのんびりとしたものに思えてしまう。見ている側にゆったりと、心の余裕を持たせる作用があったことは間違いないと思う。マットには悪いけれど・・・(笑)
冒頭からマットの奥さんが昏睡状態であることが分る。どうやら、ボートのレースか何かに出場している時の事故だったらしい。サーフィンなどもする活発な女性だったようだけれど、事故が起きたとき同乗していた男性はチャラい・・・ 母親の病状により情緒不安定になった次女スコッティは、学校で問題行動を起こす。病室の母親の写真を撮り、コラージュを作ってしまったり・・・ この辺り『幸せへのキセキ』でも、息子ディランが不気味な絵を描いたり、問題行動で退学になっていた。小学校にカウンセラーを置くなど、アメリカって子供のメンタル・サポートに関して進んでいる印象があったけど、意外に厳しくてビックリ・・・ まぁ、スコティは退学にはなっていないし、ご家庭でも注意してあげて下さいということだけど・・・
別の島の寄宿学校にいる長女アレクサンドラは、地元の高校を退学になった経緯がある。彼女が反抗的なのは思春期独特のものでもあるけど、母親の浮気を目撃してしまったから。この母親の浮気相手探しが物語を引っ張って行くことになる。幼いスコッティには理解できないことだし、あまり詳しく聞かせたくないとの配慮もあり、浮気相手探しはアレクサンドラと彼女の幼馴染シドを中心に行うことになる。この3人の組み合わせもおかしい。シドのイマドキ男のキャラに最初はムカつくけど、だんだん彼の存在がよい中和剤になったりする。義父と話す時には特に・・・
妻の父親は、マットが妻に対して冷たかったと散々イヤミを言う。どうやら、彼が広大な土地を持っていて、それなりの財産があるのに、弁護士収入だけで生活していることが、娘に苦労させていたと思っているらしい。実際そう言ってたし(笑) 娘を思う気持ちは分るけど、弁護士収入だけで生活するというのは、マットの考え方であって、別に間違っているわけではないと思うのだけど・・・ まぁ、ハッキリ描かれてはいないけれど、あまり家庭を顧みなかった部分はあるのだと思うので、その辺り不満に思っている部分もあるのだとは思うけれど・・・ あまりにマットを責め立てるので、シドが「そんな言い方はないだろう!」と怒鳴るシーンがある。ちょっと、いいぞと思っちゃったり(笑)
なぜ義父に対してシドが反論してくれたのがうれしかったかといえば、昏睡状態の妻に対してあまり同情できなかったから・・・ マットとの間のことはよく分らないし、放っておかれたことが寂しかったのだとしても、不倫の言い訳にはならないと思う。仮に、本当の恋に落ちたのだとしても、相手には妻子もいるのに、離婚を迫るというのも・・・ 妻でもあるけど、母親だからね! 趣味でボートに乗ったり、マリン・スポーツを楽しむことは、よいことだと思うけれど、同乗のチャラ男の言葉を信じるならば、彼の制止も聞かず自らムチャな操縦をして事故を起こしたというし・・・ 彼女自身は昏睡状態の姿のままだし、回想シーンがあるわけでもないから、それぞれが語る情報だけで判断しているので、何とも言えないけれど。ただ、彼女が妻として母としてダメだったかどうかは、家族が決めること。彼らにとってかけがえのない存在であったことは間違いない。裏切られたと知っても、マットは彼女とやり直そうと考えたわけだし。
浮気相手がバカンスに出かけたカウアイ島は、マットが信託管理している土地のある島。浮気相手の家のオーナーは彼のいとこだったりと、ちょっと偶然も重なるけれど、マットとアレクサンドラが彼の家に乗り込んでいくのは、コミカルでおもしろかった! この浮気相手は不動産業界ではやり手みたいだけど、残念な人だった。奥さんは美人でよくできた人なのに・・・ 何故こんな男と?と思うけれど、それは人それぞれ。その辺りも良かったかな。マットとしては複雑か・・・ マットは妻が本気で愛した相手ならば、最期にお別れをさせてあげようと、病室に見舞いに来て欲しいと告げるため彼を探していた。ちょっと優等生過ぎる気もするけれど、妻にとって良い夫ではなかったという反省も含めてのことなのかも・・・ まぁ、もちろん浮気相手は来れるはずもなく、意外な人物が現れる。浮気相手の妻。彼女の気持ちを考えると、ホントにやり切れないけれど、彼女の態度は立派だったと思う。この後、あの家族がどうなってしまうのかは謎だけれど・・・
先に書いてしまったけれど、妻は回復の見込みがないということで、生命維持装置をはずす選択をしてはどうかと医者に告げられる。マットは悩むけれど、この提案を受け入れることにする。彼女自身に意識はないわけだけど、この状態を長く続けさせるよりは、家族の納得がいく形で逝かせてあげようと考える。娘達も最初はショックを受けるけれど、父の決断を受け入れる。家族がそれぞれ、意識のない妻と別れを告げるシーンは泣ける。全員を映すわけではないので、泣きながら病室から出てくるシーンのみだったりするけれど、それでもやっぱり泣ける。家族が幸せだった時、どんな風に過ごして来たのかは分らないけれど、例え心が離れてしまっていても、母親であり妻だから・・・ マットが怒りをぶちまけるのもちょっと良かった。彼にも言い分はあるわけだから。もちろん妻にもあるでしょう。でも、永遠にお互いの思いを伝えることは出来なくなってしまった。それはやっぱり悲しいことだし、切ないこと・・・ 親子3人が妻の意思にしたがって、海に散骨するシーンは美しかった。ここもハワイの海ならでわ。
そして、もう一つの問題にも決断の時が・・・ カメハメハ大王の娘(だったかな?)が、マットの曾祖母だったかで、一族の代表としてマットが信託財産となっている土地の管理をしてきた。その土地を開発業者に売却しようというのが、親族会議の一応の決定であって、マットもそのつもりでいた。あとはどの業者に売るのか・・・ でも、この土地が素晴らしく美しい。右奥が低い崖になっている入り江。特に何があるわけではないけれど、手つかずの自然が残っている。開発業者の手に渡れば、おそらくリゾート地として開発されることになる。確かにそれは、お互いにとって金銭的な利益を生むかもしれないけれど、この土地は先祖代々受け継がれたものであり、この自然を後の世代に残すことが自分達のすべきことなのではないかと考える。ベタな展開だとは思いつつ、あの自然を守りたいと思う。リゾート開発も自然と上手く共存できる方法もあるかもしれない。でも、人間の手が入らない自然を残していくことは、これからの重要課題な気がする。ハワイに行っても、グァムに行っても同じようなリゾート風景だったら、つまらないと思うのだけど・・・ マットが残したいと思ったのは、やっぱり彼がこの風景に癒されて、心打たれたからだと思う。
キャストは、主演のジョージ・クルーニーと、久々見たボー・ブリッジス以外は、あんまり知らなかったけど、みんな良かったと思う。次女のスコッティのアマラ・ミラーは演技自体が初めてだそう。特別上手いとも思わなかったけど、カメラの前で自然に振舞えること自体スゴイと思う。お姉ちゃんのアレクサンドラとは全く似てないけど(笑) アレクサンドラのシャイリーン・ウッドリーは少年のようにキリッとした美少女。思春期独特の潔癖さが感じられて良かった。ちょっと生意気だけど、それがマットの支えにもなっているからOK。その感じをイヤな子になることなく演じていたと思う。この少女期の美しさを映像で残せたのは、彼女にとっても良かったのではないかと思う。美人になると思うけれど、ちょっと険が出ちゃうタイプの気もする・・・ 余計なお世話だけど(笑) 浮気相手の妻役のジュディ・グリアも良かった。出演シーンはわずかだけど、頭の良い女性であることを感じさせる。美しくて明るい、そして賢いこの妻と別れるはずがないと思わせる。この妻がいるのに浮気するかね?と思ったし(笑)
実はジョージ・クルーニーってあんまり好きじゃなかった。カッコイイといわれるのは分るけれど、濃い顔が好みじゃないのに、映画の役でも私生活でも、恋多き男って感じがどうも好きになれない。まぁ、私生活のことは、余計なお世話なのだけど(笑) 出演作もジョージ・クルーニーだからという理由で、あまり見る気がしなかったり・・・ ちょっと失礼か(笑) ようするに食わず嫌いだったわけだけど、この役は良かった。こういう、ちょっとダメな普通の男の役、意外に合っている気がする。まぁ、このマットは家庭を顧みなかったかもしれないけれど、ダメ男だったわけじゃないし、映画の中では情けない部分もありつつも、普通の男の人として頑張っていたし。その辺りを上手く演じていたと思う。娘達にも、妻の浮気の件も、そして彼女の死にも、真剣に向き合おうとしている。それが、きちんと伝わってきたし。頑張っているからこそ、クスッと笑える感じも自然だった。この演技は素晴らしい!
マットが心打たれた入り江の景色もそうだけれど、普通の住宅街である彼らの家ですら、ハワイ・マジックがかかって、ゆったりした空間に思える。映し出されるのは観光地としてのハワイばかりじゃないけれど、のんびりした空気感が画面から伝わってくる。テーマとしてはかなり重いのに、ズッシリ感じなかったのは、サラリとコミカルに見せつつ、感動させた脚本や演出、そしてキャストの演技の上手さもあるけど、ハワイのおかげという部分は絶対ある! ハワイアンを中心とした音楽もイイ! ハワイ行きたくなった
デート映画、家族連れ、お友達どうし、もちろん1人でも、じんわり感動できてオススメ! ジョージ・クルーニーファンの方、ハワイ好きの方是非!
『ファミリー・ツリー』Official site
rose_chocolatさんからのお誘い。気になっていたので、よろこんで行ってきたー♪
*ネタバレありです!

カウイー・ハート・ヘミングスの同名小説が原作。ちなみに小説原題は「THE DESCENDANTS」で子孫達という意味。映画の原題も同じになっている。原作は未読なので、どの程度忠実に映画化されているのか不明だけど、どうやらハワイが舞台になっているのはそのままらしい。脚本も手がけたアレキサンダー・ペイン監督は、ハワイが舞台であることが重要であると感じたそうだけど、それは本当に正しいと思う! この映画が、よくある家族再生の話にならなかったのは、さまざまな要素があると思うけれど、ハワイが舞台であるということがとっても大きいと思う!
冒頭、マット自身のナレーションで、「楽園に住んでいるから悩みなどないだろうと言われるけれど、ハワイに住んでいたって悩みはある。サーフィンしまくっているだろうと言われるけれど、自分はサーフィンなんて15年もしていない。」というようなことが語られる。まぁ、よく考えればそうなんだろうけど、やっぱりハワイといえばそういうイメージ。日本からハワイに移住する方の多くは、自然に魅せられてサーフィンや、独特のハワイ文化や、自然を求めて行かれる方が多いと思うし・・・ マットのようにハワイで生まれ育った人にとっては、ハワイの魅力は普通のことであって、生きていく上での悩みは同じなのかもしれない。でも、見る側にとっては、やっぱりハワイといえば楽園というイメージ。だから、彼らの普通の悩みもどこかのんびりとしたものに思えてしまう。見ている側にゆったりと、心の余裕を持たせる作用があったことは間違いないと思う。マットには悪いけれど・・・(笑)
冒頭からマットの奥さんが昏睡状態であることが分る。どうやら、ボートのレースか何かに出場している時の事故だったらしい。サーフィンなどもする活発な女性だったようだけれど、事故が起きたとき同乗していた男性はチャラい・・・ 母親の病状により情緒不安定になった次女スコッティは、学校で問題行動を起こす。病室の母親の写真を撮り、コラージュを作ってしまったり・・・ この辺り『幸せへのキセキ』でも、息子ディランが不気味な絵を描いたり、問題行動で退学になっていた。小学校にカウンセラーを置くなど、アメリカって子供のメンタル・サポートに関して進んでいる印象があったけど、意外に厳しくてビックリ・・・ まぁ、スコティは退学にはなっていないし、ご家庭でも注意してあげて下さいということだけど・・・
別の島の寄宿学校にいる長女アレクサンドラは、地元の高校を退学になった経緯がある。彼女が反抗的なのは思春期独特のものでもあるけど、母親の浮気を目撃してしまったから。この母親の浮気相手探しが物語を引っ張って行くことになる。幼いスコッティには理解できないことだし、あまり詳しく聞かせたくないとの配慮もあり、浮気相手探しはアレクサンドラと彼女の幼馴染シドを中心に行うことになる。この3人の組み合わせもおかしい。シドのイマドキ男のキャラに最初はムカつくけど、だんだん彼の存在がよい中和剤になったりする。義父と話す時には特に・・・
妻の父親は、マットが妻に対して冷たかったと散々イヤミを言う。どうやら、彼が広大な土地を持っていて、それなりの財産があるのに、弁護士収入だけで生活していることが、娘に苦労させていたと思っているらしい。実際そう言ってたし(笑) 娘を思う気持ちは分るけど、弁護士収入だけで生活するというのは、マットの考え方であって、別に間違っているわけではないと思うのだけど・・・ まぁ、ハッキリ描かれてはいないけれど、あまり家庭を顧みなかった部分はあるのだと思うので、その辺り不満に思っている部分もあるのだとは思うけれど・・・ あまりにマットを責め立てるので、シドが「そんな言い方はないだろう!」と怒鳴るシーンがある。ちょっと、いいぞと思っちゃったり(笑)
なぜ義父に対してシドが反論してくれたのがうれしかったかといえば、昏睡状態の妻に対してあまり同情できなかったから・・・ マットとの間のことはよく分らないし、放っておかれたことが寂しかったのだとしても、不倫の言い訳にはならないと思う。仮に、本当の恋に落ちたのだとしても、相手には妻子もいるのに、離婚を迫るというのも・・・ 妻でもあるけど、母親だからね! 趣味でボートに乗ったり、マリン・スポーツを楽しむことは、よいことだと思うけれど、同乗のチャラ男の言葉を信じるならば、彼の制止も聞かず自らムチャな操縦をして事故を起こしたというし・・・ 彼女自身は昏睡状態の姿のままだし、回想シーンがあるわけでもないから、それぞれが語る情報だけで判断しているので、何とも言えないけれど。ただ、彼女が妻として母としてダメだったかどうかは、家族が決めること。彼らにとってかけがえのない存在であったことは間違いない。裏切られたと知っても、マットは彼女とやり直そうと考えたわけだし。
浮気相手がバカンスに出かけたカウアイ島は、マットが信託管理している土地のある島。浮気相手の家のオーナーは彼のいとこだったりと、ちょっと偶然も重なるけれど、マットとアレクサンドラが彼の家に乗り込んでいくのは、コミカルでおもしろかった! この浮気相手は不動産業界ではやり手みたいだけど、残念な人だった。奥さんは美人でよくできた人なのに・・・ 何故こんな男と?と思うけれど、それは人それぞれ。その辺りも良かったかな。マットとしては複雑か・・・ マットは妻が本気で愛した相手ならば、最期にお別れをさせてあげようと、病室に見舞いに来て欲しいと告げるため彼を探していた。ちょっと優等生過ぎる気もするけれど、妻にとって良い夫ではなかったという反省も含めてのことなのかも・・・ まぁ、もちろん浮気相手は来れるはずもなく、意外な人物が現れる。浮気相手の妻。彼女の気持ちを考えると、ホントにやり切れないけれど、彼女の態度は立派だったと思う。この後、あの家族がどうなってしまうのかは謎だけれど・・・
先に書いてしまったけれど、妻は回復の見込みがないということで、生命維持装置をはずす選択をしてはどうかと医者に告げられる。マットは悩むけれど、この提案を受け入れることにする。彼女自身に意識はないわけだけど、この状態を長く続けさせるよりは、家族の納得がいく形で逝かせてあげようと考える。娘達も最初はショックを受けるけれど、父の決断を受け入れる。家族がそれぞれ、意識のない妻と別れを告げるシーンは泣ける。全員を映すわけではないので、泣きながら病室から出てくるシーンのみだったりするけれど、それでもやっぱり泣ける。家族が幸せだった時、どんな風に過ごして来たのかは分らないけれど、例え心が離れてしまっていても、母親であり妻だから・・・ マットが怒りをぶちまけるのもちょっと良かった。彼にも言い分はあるわけだから。もちろん妻にもあるでしょう。でも、永遠にお互いの思いを伝えることは出来なくなってしまった。それはやっぱり悲しいことだし、切ないこと・・・ 親子3人が妻の意思にしたがって、海に散骨するシーンは美しかった。ここもハワイの海ならでわ。
そして、もう一つの問題にも決断の時が・・・ カメハメハ大王の娘(だったかな?)が、マットの曾祖母だったかで、一族の代表としてマットが信託財産となっている土地の管理をしてきた。その土地を開発業者に売却しようというのが、親族会議の一応の決定であって、マットもそのつもりでいた。あとはどの業者に売るのか・・・ でも、この土地が素晴らしく美しい。右奥が低い崖になっている入り江。特に何があるわけではないけれど、手つかずの自然が残っている。開発業者の手に渡れば、おそらくリゾート地として開発されることになる。確かにそれは、お互いにとって金銭的な利益を生むかもしれないけれど、この土地は先祖代々受け継がれたものであり、この自然を後の世代に残すことが自分達のすべきことなのではないかと考える。ベタな展開だとは思いつつ、あの自然を守りたいと思う。リゾート開発も自然と上手く共存できる方法もあるかもしれない。でも、人間の手が入らない自然を残していくことは、これからの重要課題な気がする。ハワイに行っても、グァムに行っても同じようなリゾート風景だったら、つまらないと思うのだけど・・・ マットが残したいと思ったのは、やっぱり彼がこの風景に癒されて、心打たれたからだと思う。
キャストは、主演のジョージ・クルーニーと、久々見たボー・ブリッジス以外は、あんまり知らなかったけど、みんな良かったと思う。次女のスコッティのアマラ・ミラーは演技自体が初めてだそう。特別上手いとも思わなかったけど、カメラの前で自然に振舞えること自体スゴイと思う。お姉ちゃんのアレクサンドラとは全く似てないけど(笑) アレクサンドラのシャイリーン・ウッドリーは少年のようにキリッとした美少女。思春期独特の潔癖さが感じられて良かった。ちょっと生意気だけど、それがマットの支えにもなっているからOK。その感じをイヤな子になることなく演じていたと思う。この少女期の美しさを映像で残せたのは、彼女にとっても良かったのではないかと思う。美人になると思うけれど、ちょっと険が出ちゃうタイプの気もする・・・ 余計なお世話だけど(笑) 浮気相手の妻役のジュディ・グリアも良かった。出演シーンはわずかだけど、頭の良い女性であることを感じさせる。美しくて明るい、そして賢いこの妻と別れるはずがないと思わせる。この妻がいるのに浮気するかね?と思ったし(笑)
実はジョージ・クルーニーってあんまり好きじゃなかった。カッコイイといわれるのは分るけれど、濃い顔が好みじゃないのに、映画の役でも私生活でも、恋多き男って感じがどうも好きになれない。まぁ、私生活のことは、余計なお世話なのだけど(笑) 出演作もジョージ・クルーニーだからという理由で、あまり見る気がしなかったり・・・ ちょっと失礼か(笑) ようするに食わず嫌いだったわけだけど、この役は良かった。こういう、ちょっとダメな普通の男の役、意外に合っている気がする。まぁ、このマットは家庭を顧みなかったかもしれないけれど、ダメ男だったわけじゃないし、映画の中では情けない部分もありつつも、普通の男の人として頑張っていたし。その辺りを上手く演じていたと思う。娘達にも、妻の浮気の件も、そして彼女の死にも、真剣に向き合おうとしている。それが、きちんと伝わってきたし。頑張っているからこそ、クスッと笑える感じも自然だった。この演技は素晴らしい!
マットが心打たれた入り江の景色もそうだけれど、普通の住宅街である彼らの家ですら、ハワイ・マジックがかかって、ゆったりした空間に思える。映し出されるのは観光地としてのハワイばかりじゃないけれど、のんびりした空気感が画面から伝わってくる。テーマとしてはかなり重いのに、ズッシリ感じなかったのは、サラリとコミカルに見せつつ、感動させた脚本や演出、そしてキャストの演技の上手さもあるけど、ハワイのおかげという部分は絶対ある! ハワイアンを中心とした音楽もイイ! ハワイ行きたくなった

デート映画、家族連れ、お友達どうし、もちろん1人でも、じんわり感動できてオススメ! ジョージ・クルーニーファンの方、ハワイ好きの方是非!
