'12.06.08 『愛と誠』試写会@よみうりホール
まだ~むのお誘い♪ twitterなどでの評判も良かったし、楽しみに行ってきたー!
*ネタバレありです!
「幼い頃、自分を助けてくれた太賀誠と偶然再会した早乙女愛は、ケンカばかりしている彼に正しい道を歩ませようと、父親に頼んで名門青葉台学園に転校させる。アパートを用意したり生活費の面倒もみるなど、かいがいしく世話をするが、復讐を胸に秘めた誠には迷惑なだけだった・・・」という話。これはおもしろかった! 狙って作っていると思うのであざといけれど、そのあざとさを笑おうということで、ちょっといつもとは意味が違うけれど、これはやっぱりバカ映画だと思う。もしくは今読むと結果バカになってしまった原作や、旧シリーズの映画をパロっているのかも。上手く言えないけれど・・・ もちろん、ここで言う原作がバカというのは、毎回力説しているMJ定義の真剣に作った結果バカになってしまっている作品という意味で、ほめています! 今作も、もちろん真面目に作られたものだと思うけれど、当時のテイストそのままに撮ったら、浮いてしまうと思うし・・・ この感じは良かったと思う。
原作は梶原一騎とながやす巧によるマンガ。気になったので調べてみたところ、ストーリー的には本作とほぼ同じ。といってもあらすじなので、幼い愛を助けたことで、両親と人生が壊れた誠と書かれているけど、どうしてそうなったのか、どう壊れたのかは謎のまま(笑) ラストについても場所や設定は多少違っているけれど、結末としては今作と同じ。今作には登場しない人物が関わっているけど、ただでさえ2時間超なので、この人物を省いたのは良かったと思う。ずいぶん荒唐無稽な話だと思いながら見ていたけれど、あらすじを読んだだけでも原作はもっとすごかった(笑) だって、最終的には検事が出てくるとはいえ、高校生の誠が現職総理大臣も関わる汚職事件を、喧嘩殺法で解決するって言われても・・・(笑) 今作でも繰り返し登場する岩清水弘の「君のためなら死ねる!」や、早乙女愛の「白馬の騎士」発言は、もちろん原作にもあったらしい。
今作以前に映画は3作作られていて、ドラマ化もされている。詳細は不明だけど、映画は3本で完結するっぽい。初めから3部作構想だったのかは不明。一般公募されたヒロイン早乙女愛役は、3本とも早乙女愛が演じているけれど、太賀誠は3作とも別人が演じている。1974年公開の1作目の太賀誠は西城秀樹。なるほど( ̄― ̄)ニヤリ 1975年公開の2作目では影の大番長高原由紀役で多岐川裕美が! ドラマ版では早乙女愛を池上希実子が演じている。ちなみにドラマ版の太賀誠の夏夕介が一番劇画に近いと言われているのだそう。
と、何故原作や旧作映画についてつらつら書いているのかといえば、さすがにリアル世代ではないので、ミュージカル仕立てで、リメイクというよりはパロディっぽい今作を見て、いろいろツッコミたくなった部分を、普通にドラマや映画としてリアルタイムで見ていた人達はどう思っていたのだろうと思ったので・・・ まぁ、結局よく分らなかったのだけど(笑) でも、これ・・・ 誤解を恐れずに書くけど、バカだよね? あ、だから真面目に作った結果バカになっているっていうほめ言葉ではあるけれど、要するにバカになっているので・・・ 「君のためなら死ねる!」というセリフが話題になったらしいけど、それはどう話題になったの? (。・w・。) ププッっていうスタンスで? それとも素敵ねっていうスタンスで? イヤ、馬鹿にしてないです! つらつら何が言いたいかというと、1974年当時はカッコイイことだった価値観も、2012年ではそれは・・・(´Д` )というスタンスになるということ。だからこそ、このリメイクはパロディのような形で作られているのかなと思ったので・・・ 全く見当違いかもしれないけれど(笑)
「愛と誠」というタイトルと、子供の頃スキーで暴走した愛を助けた時、誠の額には稲妻のような傷が残ったということは知ってた。多分、懐かしのテレビドラマみたいな番組で見たんだと思う。会場で配られたチラシでこども店長こと加藤清史郎くんが子供時代を演じることを知ったので、どんな感じになるのかと楽しみにしていたらアニメだった(笑) まぁ、ここのエピソードは愛が誠を一途に愛する理由なので、重要ではあるのだけど、描きたいのは高校生となった2人の部分なので、この処理はアッサリしていて良かったかも。何度も書いているけど、もちろん真面目に作っていると思うけれど、全体的にリメイクというよりはパロディのような感じなので、ここを実写で撮ってしまうと違ってしまうかも。ここをアニメにしたことで、2人の宿命という部分すらパロディにしたというか・・・ もちろんいい意味で・・・
そして、場面が変わって新宿。いきなり新宿の目の前に立つ学ラン姿の誠! 彼に向かって臨戦態勢の不良たち。やれやれという感じで迎え撃つ誠。唐突に西城秀樹の「激しい恋」を歌い出す。そして、歌いながら踊るようにケンカ(笑) 歌のシーンではほとんどのキャストが踊る・・・ 正直微妙だけど、一応踊っている(笑) 振り付けはパパイヤ鈴木だそう。ここも踊っているようでもあり、ケンカしているようでもあり・・・ でも、例えばミュージカル映画の傑作『ウエスト・サイド・ストーリー』のように、完全にダンス化してしまっているのとも違う。太賀誠を演じるのは妻夫木聡。ぶっきー不良のイメージないけど・・・ とか思っていたけど、なるほどこういう感じならありかも。ぶっきー歌は特別上手いと思わなかったけど、ケンカシーンに「激しい恋」って笑える。♪激しい恋の風に巻き込まれたら最後さ♪って言われても・・・ とか思っていたら、これは1974年公開映画の誠役が西城秀樹だからなんだね! そして、これはやっぱり激しい恋の風に巻き込まれた話なんだと思う。ホントに!
このケンカ場面に偶然居合わせた早乙女愛。要するに彼女の激しい恋の風に巻き込まれるわけです! 多分、セリフとか原作のままなんだと思うけど、この早乙女愛がスゴイ! 「ケンカはお止めなさい!」とか言っちゃう(笑) 当時のお嬢様はこういう風に話していたのかな? 仮に当時、お嬢様と呼ばれる人達が「お止めなさい」とか「よろしくてよ」などと話していたのだとして、庶民の少女達がそれに憧れて原作を読んでいたのだとしても、2012年では浮世離れし過ぎ(笑) ということで、彼女は初めのうち不思議ちゃんとして描かれる。「私の屍を越えてお行きなさい!」と誠の前に立ちはだかっても、平手打ちされて行かれてしまう。すると彼女は誠の足にすがりつく! もう、これはコメディ(笑) でも、彼女の一途過ぎる誠への思いは、どんどん度を越して行く。父親に頼んで自らが通う名門青葉台学園に転校させ、アパートの世話や生活費も出してもらう。正しい道を歩いてもらいたいからという理由も、誠自身に何度も言われているとおり、余計なお世話。まぁ、正しい道を歩んだ方がいいとは思うけれど(笑) 迷惑だと言われれば、まだ愛情が足りないのかと、あやしげな喫茶店でバイトを始める始末。そんな早乙女愛が歌うのは「あの素晴らしい愛をもう一度」もう一度って・・・(笑) でも、そんなどうかしている行動も、だんだんこれこそが一点の曇りも無い"純愛"なんだと思えてしまう。まぁ、純愛じゃなかったら、どうかしているだけだし(笑)
そんな愛を一途に想う浮世離れした人物がもう一人。「君のためなら死ねる!」の岩清水弘。学年トップの秀才。メガネをかけているから誠からはメガネと呼ばれる。愛は別に岩清水くんの想いを迷惑とは思っていないので、特に問題ないと思うけれど、彼の行動は立派なストーカー。でも、彼もコミカル要素として描かれているので、気持ち悪い男にはなっていない。よく考えると気持ち悪いけど(笑) そんな彼が歌い踊る「空に太陽があるかぎり」は必見! ものすごいことになってます! 彼のよいところは「君のためなら死ねる!」とまで思っているから、誠に彼女の想いに応えてやれと言ってしまえること。お前は愛とつき合いたくないのかと問われると、しどろもどろになってしまうけれど、結論としては早乙女愛の幸せが僕の幸せなのだそう。素敵
とは描かないのが今作のおもしろさ。
当然のように青葉台学園になじめない(なじまない)誠は、勝手に不良の溜まり場である花園実業に転校してしまう。よく考えたら勉強する気など一切ないし、不良グループを形成しようとも思っていない、当然友達もいない誠は、どうして転校してまで学校に通うんだろう? 義務教育でもないのに・・・ しかも、意外にちゃんと登校するし・・・ というツッコミはしちゃダメなのでしょう(笑) だって、誠に一目ボレするガムコや、見た目が老けていく病を患っている蔵王権太、そして影の番長高原由紀に登場してもらわないといけないからね! ガムコはいつもガムを噛んでるからガムコ。これはオリジナル・キャラ? 安藤サクラが体を張って熱演! やっぱり上手いわ・・・ 蔵王権太は多分原作ではそんな病は患ってないと思うけど、これは伊原剛志を出したかったから? 高原由紀についてはネタバレしない方がいいのかもしれないけど、誠と絡んだ瞬間から彼女が影の番長なんだなと気づくと思う。で、ここからの展開はもう・・・ 青葉台学園の浮世離れとは正反対のケンカばかりの世界。天国と地獄。誠にとっては青葉台学園が地獄なのかもしれないけれど(笑) この対比は良かったけれど、バトルシーン多すぎでちょっと辛い
三池崇史監督といえば『クローズZERO』などバトルシーンが魅力なのだと思うけど、個人的にはそんなに見たいわけではないので・・・ 好きな方は楽しめると思う!
あんまり書いてしまうとつまらないと思うし、正直書きようがないというか・・・ イヤ、ダメというわけではなくて! 例えば、高原由紀の生い立ちの見せ方とか、面白いのでネタバレせずに見た方がいいと思う。舞台劇のように描かれるそれは、確かに辛い人生ではあるけど、だから?という誠と同じスタンスに、見ている側も自然となれようになっている。これは上手い。そうそう! 忘れてたけど、誠が転校してしまったので、早乙女愛も花園実業に転校してしまう。そして、彼女のためなら死ねる岩清水弘も同じく転校して来る。ビックリ! 親は反対しないのか? というツッコミはなし! 原作どおりなのだから(笑) で、彼らが見事に絡み、さらにもう一つのエピソードも絡んで、結末へ・・・
もう一つのエピソードとは、誠が東京に出てきた本当の理由。ある人物に復讐するため。誰か書かないと書きたいことが書けないので、ネタバレするけど母親。誠を捨てたこの母親はアルコール依存症になっている。小さな飲み屋を開いているけど、客の酒で酔っては暴力をふるい警察のお世話になっているらしい。誠たちに彼女のことを話してくれた、向かいの店の店主も大迷惑だという態度・・・ この母親役の余貴美子が素晴らしい! 「酒と泪と男と女」を歌う。この歌に乗って、ダンナに捨てられたと思われる彼女が、幼い誠の目の前で昼間から路上で酔いつぶれている姿を見せる。上手いなぁ・・・ 演技も見せ方も・・・ このシーンはイイ。ダメな人のシーンだけどイイ! 哀しい人生。
ガムコを初めとした影の番長の手下達、彼女を愛する蔵王権太との死闘についても、詳細は避けるけど、これまたスゴイ。高原由紀は忍者ですか?(笑) この死闘を制した誠は、母の後を追う。踏み切りシーンは泣けた・・・ 前半部分を見ていた時には、まさかこの映画で泣くことになるとは思いもしなかった(笑) 月をバックに母親に別れの言葉を言う誠が、この映画の中で一番カッコよかった! 全てを終えて愛の元に向かう誠。意外な人物が現れる。そして・・・ ラスト愛を抱きしめ誠は・・・というのは、原作と同じ。原作は海らしいけど、今作は狭い病室。このラストも良かった。
キャストは良かったと思う。主要キャストは全員歌うけど、歌の上手さは関係なくキャスティングしたらしい。武井咲ちゃんは天然キャラの愛にピッタリ。特別演技も歌も上手いと思わないけど一生懸命やっていた。その頑張りが今作限定の早乙女愛というキャラにリンクしてて、とっても良かったと思う。紹介し忘れていたけど、早乙女愛の両親役で一青窈と市村正親が出演。歌い踊っている。2人ともさすがの歌唱力。市村正親の踊りはキレがある。ガムコの安藤サクラ良かった! 大げさ演技の中、時々見せる素のガムコの表情がイイ。「また逢う日まで」を歌うけど、歌上手くてビックリ! 声もキレイ! 高原由紀の大野いとの抑揚の無い歌と演技は、わざとなのかなと思うけど、悲しい女で発動しちゃう影の番長としては良かったと思う。安藤サクラに『座敷女』演じて欲しいと思ったけど、大野いとの「夢は夜ひらく」を思い出してみると、彼女もいいかも・・・ 関係ないけど(笑) 蔵王権太の伊原剛志は、老けて見える病を患っている設定にしてまで彼にしたい理由は分る。上手く言えないけど、見れば分る。ちなみに「オオカミ少年ケン」を歌っている(笑) 岩清水弘の斎藤工もよかったと思う。大真面目に言うから笑えるってことを、きちんと理解して演じていた。母親役の余貴美子が素晴らしい! 短いシーンながら彼女の哀しさ、弱さ、それゆえの罪が、きちんと伝わってきた。この演技はさすが! 踏み切りシーンはベタになりがちなセリフを、自然に感動させてさすが! 誠役の妻夫木聡は、ケンカが強い設定なのに、最後まで強そうに見えなかったけど、よく考えると彼のみ現代の私達目線なのだと思うので、このキャスティングは絶妙なのだと思う。上手く言えないけど・・・ 見れば分る(笑)
誠登場シーンの新宿の赤、青葉台学園の緑など、こだわりの画も印象的。花園実業の荒廃ぶりも、汚いけどちょっとだけポップ。ちょっとだけだけど(笑) 看板とか1970年代っぽく作っていたけど、釣堀シーンで背景の市ヶ谷駅を通る総武線が・・・ 当時は全面黄色だったはず・・・ それとも狙い? とか、裏の裏まで見ようとしちゃうくらい、狙って作られたと思うパロディ調リメイク。楽しかった!
原作に思い入れのある方はどうなのかな・・・ 試写会場内けっこう年齢層高めだったけど、笑い声起きてたから大丈夫かな(笑) 武井咲ちゃん、ぶっきーファンの方是非!
『愛と誠』Official site
まだ~むのお誘い♪ twitterなどでの評判も良かったし、楽しみに行ってきたー!
*ネタバレありです!

原作は梶原一騎とながやす巧によるマンガ。気になったので調べてみたところ、ストーリー的には本作とほぼ同じ。といってもあらすじなので、幼い愛を助けたことで、両親と人生が壊れた誠と書かれているけど、どうしてそうなったのか、どう壊れたのかは謎のまま(笑) ラストについても場所や設定は多少違っているけれど、結末としては今作と同じ。今作には登場しない人物が関わっているけど、ただでさえ2時間超なので、この人物を省いたのは良かったと思う。ずいぶん荒唐無稽な話だと思いながら見ていたけれど、あらすじを読んだだけでも原作はもっとすごかった(笑) だって、最終的には検事が出てくるとはいえ、高校生の誠が現職総理大臣も関わる汚職事件を、喧嘩殺法で解決するって言われても・・・(笑) 今作でも繰り返し登場する岩清水弘の「君のためなら死ねる!」や、早乙女愛の「白馬の騎士」発言は、もちろん原作にもあったらしい。
今作以前に映画は3作作られていて、ドラマ化もされている。詳細は不明だけど、映画は3本で完結するっぽい。初めから3部作構想だったのかは不明。一般公募されたヒロイン早乙女愛役は、3本とも早乙女愛が演じているけれど、太賀誠は3作とも別人が演じている。1974年公開の1作目の太賀誠は西城秀樹。なるほど( ̄― ̄)ニヤリ 1975年公開の2作目では影の大番長高原由紀役で多岐川裕美が! ドラマ版では早乙女愛を池上希実子が演じている。ちなみにドラマ版の太賀誠の夏夕介が一番劇画に近いと言われているのだそう。
と、何故原作や旧作映画についてつらつら書いているのかといえば、さすがにリアル世代ではないので、ミュージカル仕立てで、リメイクというよりはパロディっぽい今作を見て、いろいろツッコミたくなった部分を、普通にドラマや映画としてリアルタイムで見ていた人達はどう思っていたのだろうと思ったので・・・ まぁ、結局よく分らなかったのだけど(笑) でも、これ・・・ 誤解を恐れずに書くけど、バカだよね? あ、だから真面目に作った結果バカになっているっていうほめ言葉ではあるけれど、要するにバカになっているので・・・ 「君のためなら死ねる!」というセリフが話題になったらしいけど、それはどう話題になったの? (。・w・。) ププッっていうスタンスで? それとも素敵ねっていうスタンスで? イヤ、馬鹿にしてないです! つらつら何が言いたいかというと、1974年当時はカッコイイことだった価値観も、2012年ではそれは・・・(´Д` )というスタンスになるということ。だからこそ、このリメイクはパロディのような形で作られているのかなと思ったので・・・ 全く見当違いかもしれないけれど(笑)
「愛と誠」というタイトルと、子供の頃スキーで暴走した愛を助けた時、誠の額には稲妻のような傷が残ったということは知ってた。多分、懐かしのテレビドラマみたいな番組で見たんだと思う。会場で配られたチラシでこども店長こと加藤清史郎くんが子供時代を演じることを知ったので、どんな感じになるのかと楽しみにしていたらアニメだった(笑) まぁ、ここのエピソードは愛が誠を一途に愛する理由なので、重要ではあるのだけど、描きたいのは高校生となった2人の部分なので、この処理はアッサリしていて良かったかも。何度も書いているけど、もちろん真面目に作っていると思うけれど、全体的にリメイクというよりはパロディのような感じなので、ここを実写で撮ってしまうと違ってしまうかも。ここをアニメにしたことで、2人の宿命という部分すらパロディにしたというか・・・ もちろんいい意味で・・・
そして、場面が変わって新宿。いきなり新宿の目の前に立つ学ラン姿の誠! 彼に向かって臨戦態勢の不良たち。やれやれという感じで迎え撃つ誠。唐突に西城秀樹の「激しい恋」を歌い出す。そして、歌いながら踊るようにケンカ(笑) 歌のシーンではほとんどのキャストが踊る・・・ 正直微妙だけど、一応踊っている(笑) 振り付けはパパイヤ鈴木だそう。ここも踊っているようでもあり、ケンカしているようでもあり・・・ でも、例えばミュージカル映画の傑作『ウエスト・サイド・ストーリー』のように、完全にダンス化してしまっているのとも違う。太賀誠を演じるのは妻夫木聡。ぶっきー不良のイメージないけど・・・ とか思っていたけど、なるほどこういう感じならありかも。ぶっきー歌は特別上手いと思わなかったけど、ケンカシーンに「激しい恋」って笑える。♪激しい恋の風に巻き込まれたら最後さ♪って言われても・・・ とか思っていたら、これは1974年公開映画の誠役が西城秀樹だからなんだね! そして、これはやっぱり激しい恋の風に巻き込まれた話なんだと思う。ホントに!
このケンカ場面に偶然居合わせた早乙女愛。要するに彼女の激しい恋の風に巻き込まれるわけです! 多分、セリフとか原作のままなんだと思うけど、この早乙女愛がスゴイ! 「ケンカはお止めなさい!」とか言っちゃう(笑) 当時のお嬢様はこういう風に話していたのかな? 仮に当時、お嬢様と呼ばれる人達が「お止めなさい」とか「よろしくてよ」などと話していたのだとして、庶民の少女達がそれに憧れて原作を読んでいたのだとしても、2012年では浮世離れし過ぎ(笑) ということで、彼女は初めのうち不思議ちゃんとして描かれる。「私の屍を越えてお行きなさい!」と誠の前に立ちはだかっても、平手打ちされて行かれてしまう。すると彼女は誠の足にすがりつく! もう、これはコメディ(笑) でも、彼女の一途過ぎる誠への思いは、どんどん度を越して行く。父親に頼んで自らが通う名門青葉台学園に転校させ、アパートの世話や生活費も出してもらう。正しい道を歩いてもらいたいからという理由も、誠自身に何度も言われているとおり、余計なお世話。まぁ、正しい道を歩んだ方がいいとは思うけれど(笑) 迷惑だと言われれば、まだ愛情が足りないのかと、あやしげな喫茶店でバイトを始める始末。そんな早乙女愛が歌うのは「あの素晴らしい愛をもう一度」もう一度って・・・(笑) でも、そんなどうかしている行動も、だんだんこれこそが一点の曇りも無い"純愛"なんだと思えてしまう。まぁ、純愛じゃなかったら、どうかしているだけだし(笑)
そんな愛を一途に想う浮世離れした人物がもう一人。「君のためなら死ねる!」の岩清水弘。学年トップの秀才。メガネをかけているから誠からはメガネと呼ばれる。愛は別に岩清水くんの想いを迷惑とは思っていないので、特に問題ないと思うけれど、彼の行動は立派なストーカー。でも、彼もコミカル要素として描かれているので、気持ち悪い男にはなっていない。よく考えると気持ち悪いけど(笑) そんな彼が歌い踊る「空に太陽があるかぎり」は必見! ものすごいことになってます! 彼のよいところは「君のためなら死ねる!」とまで思っているから、誠に彼女の想いに応えてやれと言ってしまえること。お前は愛とつき合いたくないのかと問われると、しどろもどろになってしまうけれど、結論としては早乙女愛の幸せが僕の幸せなのだそう。素敵

当然のように青葉台学園になじめない(なじまない)誠は、勝手に不良の溜まり場である花園実業に転校してしまう。よく考えたら勉強する気など一切ないし、不良グループを形成しようとも思っていない、当然友達もいない誠は、どうして転校してまで学校に通うんだろう? 義務教育でもないのに・・・ しかも、意外にちゃんと登校するし・・・ というツッコミはしちゃダメなのでしょう(笑) だって、誠に一目ボレするガムコや、見た目が老けていく病を患っている蔵王権太、そして影の番長高原由紀に登場してもらわないといけないからね! ガムコはいつもガムを噛んでるからガムコ。これはオリジナル・キャラ? 安藤サクラが体を張って熱演! やっぱり上手いわ・・・ 蔵王権太は多分原作ではそんな病は患ってないと思うけど、これは伊原剛志を出したかったから? 高原由紀についてはネタバレしない方がいいのかもしれないけど、誠と絡んだ瞬間から彼女が影の番長なんだなと気づくと思う。で、ここからの展開はもう・・・ 青葉台学園の浮世離れとは正反対のケンカばかりの世界。天国と地獄。誠にとっては青葉台学園が地獄なのかもしれないけれど(笑) この対比は良かったけれど、バトルシーン多すぎでちょっと辛い

あんまり書いてしまうとつまらないと思うし、正直書きようがないというか・・・ イヤ、ダメというわけではなくて! 例えば、高原由紀の生い立ちの見せ方とか、面白いのでネタバレせずに見た方がいいと思う。舞台劇のように描かれるそれは、確かに辛い人生ではあるけど、だから?という誠と同じスタンスに、見ている側も自然となれようになっている。これは上手い。そうそう! 忘れてたけど、誠が転校してしまったので、早乙女愛も花園実業に転校してしまう。そして、彼女のためなら死ねる岩清水弘も同じく転校して来る。ビックリ! 親は反対しないのか? というツッコミはなし! 原作どおりなのだから(笑) で、彼らが見事に絡み、さらにもう一つのエピソードも絡んで、結末へ・・・
もう一つのエピソードとは、誠が東京に出てきた本当の理由。ある人物に復讐するため。誰か書かないと書きたいことが書けないので、ネタバレするけど母親。誠を捨てたこの母親はアルコール依存症になっている。小さな飲み屋を開いているけど、客の酒で酔っては暴力をふるい警察のお世話になっているらしい。誠たちに彼女のことを話してくれた、向かいの店の店主も大迷惑だという態度・・・ この母親役の余貴美子が素晴らしい! 「酒と泪と男と女」を歌う。この歌に乗って、ダンナに捨てられたと思われる彼女が、幼い誠の目の前で昼間から路上で酔いつぶれている姿を見せる。上手いなぁ・・・ 演技も見せ方も・・・ このシーンはイイ。ダメな人のシーンだけどイイ! 哀しい人生。
ガムコを初めとした影の番長の手下達、彼女を愛する蔵王権太との死闘についても、詳細は避けるけど、これまたスゴイ。高原由紀は忍者ですか?(笑) この死闘を制した誠は、母の後を追う。踏み切りシーンは泣けた・・・ 前半部分を見ていた時には、まさかこの映画で泣くことになるとは思いもしなかった(笑) 月をバックに母親に別れの言葉を言う誠が、この映画の中で一番カッコよかった! 全てを終えて愛の元に向かう誠。意外な人物が現れる。そして・・・ ラスト愛を抱きしめ誠は・・・というのは、原作と同じ。原作は海らしいけど、今作は狭い病室。このラストも良かった。
キャストは良かったと思う。主要キャストは全員歌うけど、歌の上手さは関係なくキャスティングしたらしい。武井咲ちゃんは天然キャラの愛にピッタリ。特別演技も歌も上手いと思わないけど一生懸命やっていた。その頑張りが今作限定の早乙女愛というキャラにリンクしてて、とっても良かったと思う。紹介し忘れていたけど、早乙女愛の両親役で一青窈と市村正親が出演。歌い踊っている。2人ともさすがの歌唱力。市村正親の踊りはキレがある。ガムコの安藤サクラ良かった! 大げさ演技の中、時々見せる素のガムコの表情がイイ。「また逢う日まで」を歌うけど、歌上手くてビックリ! 声もキレイ! 高原由紀の大野いとの抑揚の無い歌と演技は、わざとなのかなと思うけど、悲しい女で発動しちゃう影の番長としては良かったと思う。安藤サクラに『座敷女』演じて欲しいと思ったけど、大野いとの「夢は夜ひらく」を思い出してみると、彼女もいいかも・・・ 関係ないけど(笑) 蔵王権太の伊原剛志は、老けて見える病を患っている設定にしてまで彼にしたい理由は分る。上手く言えないけど、見れば分る。ちなみに「オオカミ少年ケン」を歌っている(笑) 岩清水弘の斎藤工もよかったと思う。大真面目に言うから笑えるってことを、きちんと理解して演じていた。母親役の余貴美子が素晴らしい! 短いシーンながら彼女の哀しさ、弱さ、それゆえの罪が、きちんと伝わってきた。この演技はさすが! 踏み切りシーンはベタになりがちなセリフを、自然に感動させてさすが! 誠役の妻夫木聡は、ケンカが強い設定なのに、最後まで強そうに見えなかったけど、よく考えると彼のみ現代の私達目線なのだと思うので、このキャスティングは絶妙なのだと思う。上手く言えないけど・・・ 見れば分る(笑)
誠登場シーンの新宿の赤、青葉台学園の緑など、こだわりの画も印象的。花園実業の荒廃ぶりも、汚いけどちょっとだけポップ。ちょっとだけだけど(笑) 看板とか1970年代っぽく作っていたけど、釣堀シーンで背景の市ヶ谷駅を通る総武線が・・・ 当時は全面黄色だったはず・・・ それとも狙い? とか、裏の裏まで見ようとしちゃうくらい、狙って作られたと思うパロディ調リメイク。楽しかった!
原作に思い入れのある方はどうなのかな・・・ 試写会場内けっこう年齢層高めだったけど、笑い声起きてたから大丈夫かな(笑) 武井咲ちゃん、ぶっきーファンの方是非!
