『オールド・ボーイ』(試写会)@日テレホール
日テレ黄金週間のイベント企画5月3~6日の間に、9作品の試写会を実施。気になった今作と『グランド・プダペスト・ホテル』に応募。今作のみ当選。 ありがとうございます! ってことでGW後半初日に行ってきたー![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/dc/deco~otomedojo~2418.gif)
ネタバレありです!結末にも触れています!!
「広告代理店勤務でアル中のジョー・ドーセットは、ある日何者かに襲われる。目覚めると窓のない部屋に監禁されていた。自動的に流されるテレビのニュース以外、外部の情報は一切ない状態での監禁は20年間に及ぶ。そして、ある日突然解放される。誰が、何の目的で監禁したのか? そして解放したのは何故なのか?・・・」という話。これは2004年日本公開の韓国映画『オールド・ボーイ』(感想は
コチラ)のリメイク。リメイク版ってやっぱりオリジナル超えられないことが多いけど、これはどうかなぁ・・・ 韓国映画のバイオレンス過多な感じが苦手なので、個人的には今作の方が好きだし、オチも今作の方が好き。でも、全体的なインパクトは韓国版かもしれない。
そもそもは土屋ガロンの「ルーズ戦記 オールドボーイ」が原作。韓国版のレビューにも書いたけど、これは15年間監禁されていたという部分のみを使い、監禁理由やオチに関しては映画オリジナル。今作はさらに変更されている。監禁理由については近親相姦であることは同じだけど、より"家族"ということをテーマにしてきた感がある。
韓国版のレビューを書いた時には、記事の文字制限があったこともあり、原作のことまで調べていなかったけれど、今回はちょっと調べてみた。違いは①監禁期間:10年(韓国版:15年、リメイク版:20年)②監禁理由:主人公が小学生の頃に、犯人の独唱に感激し泣いてしまったから。(韓国版、リメイク版:近親相姦現場を目撃し噂を広めてしまったため)③決着:監禁理由を思い出せば主人公の勝ち→犯人自殺(韓国版、リメイク版:思い出す→犯人自殺は同じだけど勝ったわけじゃない) ②の監禁理由を補足すると、特に上手かったわけでもない独唱で主人公が泣いてしまったのは、その一生懸命さに打たれたから。犯人にはその"気持ち"が理解できなかったため、独唱で泣かれたことを屈辱と感じていたため。個人的にはこの監禁理由の方が犯人の心理をまだ理解できる気がするけれど、映画化するのであればインパクトに欠ける気もするし、日本人でないと理解しにくい気もする。
そうそう! 原作について検索している途中で、気になる記事を見つけてしまった(
株式会社双葉社|弊社が韓国において「オールド・ボーイ」制作会社を提訴した件についてのご説明) ザックリ言うと、韓国版『オールド・ボーイ』を制作したショーイースト社に原作に対する債務不履行および、報告義務違反があったため、ソウル中央地方裁判所に原作使用契約の不存在確認訴訟を起こしたということ。この記事がいつ書かれたものなのか日付が入っていないため不明。実は今作、もともとはスティーブン・スピルバーグ監督がウィル・スミス主演で映画化を企画しており、その際2人は原作の漫画バージョン作ろうと考えていたらしく、双葉社としてはこの企画を支持するとも書かれている。なので、2008年11月、ドリームワークスとユニバーサル・ピクチャーズがリメイク権を獲得した頃なのかもしれない。今、調べたら2009年6月だったらしい!Wikipedia(
オールド・ボーイ(2013年の映画)|Wikipedia) でもその後この訴訟がどうなったのか書かれていないし、2009年11月にドリームワークスとウィル・スミスが製作を降り、この企画は中止となったそうで、今作は2011年にマンデート・ピクチャーズが製作発表したそうだけれど、双葉社との問題がクリアになっているのかは不明。うーん・・・
と、つらつら書いているのは、今作は完全に韓国映画版のリメイクだから。どうやら双葉社が訴えたのは、許可なく映画化権を売却してしまったためらしいけれど、その辺りがどうクリアになったのか気になったので。結局、どうなったのか不明だけど、調べるの面倒だからもういいか(o´ェ`o)ゞ イヤ、チラシだったか、何かの記事だったか忘れたけれど、主演のジョシュ・ブローリンが、韓国版のパク・チャヌク監督を訪ねた時、監督から韓国版をリメイクすると考えるのではなく、自分の作品を作ってと言われたというのを読んだから。なので、スパイク・リー監督や製作者はリメイクではなく新たな解釈をした作品を製作しようと考えたとのことだった。お互いをリスペクトしたいい話だと思っていたのだけど、もしかしたら違う面もあったり?と少し残念だったので・・・
まぁ、この会話自体は、言葉通りだと思うけれど。
と、前置きが長過ぎるわけだけど、正直に言うと韓国版は映画として面白かったものの、バイオレンス過ぎるというか、やり過ぎな部分が苦手で、好きになり切れなかった。見てみたいと思ったのは、スパイク・リー監督とジョシュ・ブローリンだったから。まぁ、スパイク・リー監督作品あまり見てないけど(o´ェ`o)ゞ ハリウッド・リメイクなので暴力シーンはあるだろうけれど、韓国版よりは控えめになっているかなと思ったので・・・ そういう意味では、今作の方が全体的に好み。ただ、アクの強さやインパクトはやっぱり韓国版だとは思う。10年も前に見たので、細かい部分は忘れてしまったけれど、犯人と対面した主人公が取る行動が衝撃的過ぎて再度見る気になれなかったので、曖昧な記憶のまま見てみた。
冒頭、主人公のジョー・ドーセットの最悪ぶりが映される。娘の誕生日は仕事があるからと断るわりに、その仕事も詐欺まがいのいい加減さ。クライアントの連れの女性を口説き始めて、女性からもクライアントからも非難され店を追い出される。挙句酔っぱらって泥酔。常にウィスキーのボトルを取り出しては飲んでいるので、おそらくアル中。もう、ホント嫌なヤツ! 韓国版も主人公が嫌なヤツという描写があったと思うけど、ここまで長かったかな? 主人公がいいかげんで、人の気持ちを思いやれない、嫌な人物であるということは、彼の罪の伏線でもあるので、その描写は必要だと思うんだけど、ちょっと長い気がした。まぁ、それはこの後監禁されるのを知っているからもしれないけれど・・・
やっぱり個人的に一番面白かったのは、韓国版でもそうだけれど監禁されている間。餃子ばかりだけど食事も出るし、シャワーも使える、着替えもあるし、定期的に髪を切ったり、髭を剃ったりもしてくれる。でも、基本は窓のない部屋に1人きり。朝なのか夜なのかも分からない。唐突に流されるニュース映像から、彼の妻が殺害され、その容疑者が自分であることを知らされる。その犯人に仕立て上げられる過程も、不謹慎だけどおももしろい! 一時期は幻覚が見えるなど気がおかしくなりそうになるけれど、またも唐突に流されたテレビ番組で、娘のミアが自分に対して複雑な思いを語る姿を見て、彼女に真実を知って欲しい、娘に会いたいという気持ちが、生きてここを出たいという思いとなる。酒を断ち、餃子を食べ続け、体を鍛え、娘に手紙を書き、密かに抜け穴を掘る。そして、20年後のある日、ついに決行する! 監視カメラの資格に掘った穴に潜り込む。すると睡眠ガス(?)が噴霧され、意識を失ってしまう。アレ?どうやって脱出するんだっけ?とか思っていると・・・
目覚めると広いグラウンドの真ん中に置かれたルイ・ヴィトンのトランクの中。髪は短く刈られ、高級そうな黒のスーツを着せられ、財布には大金。そして、iPhone。そうか! 解放されたんだった!と、意外に記憶が曖昧で、新鮮な気持ちで見ることができた。っていいのか?(o´ェ`o)ゞ 不思議な服装の女性に導かれるように、ソーシャルワーカーのマリーと出会う。この出会いでいろいろ思い出し、細かい部分はボンヤリしたままではあるけれど、筋道がハッキリしたので、忘れていたとはいえ、自分もうっかり騙されそうになったことに気づき、ここからは( ̄ー ̄)ニヤリとなりながら見ていた。
オリジナル作品を見ていて、リメイク版を見る場合、リメイク版がどこまでオリジナルに忠実か、どのくらい時が経ってリメイクされたかによって違ってくるけれど、基本は主人公が何をして、どういう方向に向かって話が進むのか知っている。特に犯人捜しのサスペンスものの場合は、犯人を知った上で見ることになる。オチまで分かっていても見ている人もいるわけだから、どれだけ飽きさせないかという部分が重要だと思うけれど、そういう意味では良く出来ていたのではないかと思う。まぁ、前述したとおり、細かい調査や、犯人からの誘導などについては忘れしまっているところもあるし、ハンマーシーンは脱出時だと思っていたりと、記憶が曖昧になっているので、オリジナルと全く同じ展開だったかどうかはよく分からない・・・ オリジナルから10年も経っているので、携帯がiPhoneになったりと、アイテムが変わっているのは当然としても、例えば監禁期間が15年から20年になったのは、ミアが成人している設定にしたかったのかなぁと思うと、アメリカが舞台であることによる変更という部分もあったかもしれないけど、それもあんまりハッキリしない・・・ ごめんね![](https://blogimg.goo.ne.jp/img_emoji/yl/dc/deco~otomedojo~1303.gif)
マリーと知り合って、彼女の協力を得て一緒に謎を追うようになる流れは自然で、餃子の味から店を割り出し、そこから監禁ビジネスのことを知る。社長(?)であるサミュエル・L・ジャクソンを尋問するシーンの、適度に痛くて適度に怖いシーンは、ぎりぎり女子でもOKかと。ここでの見せ場であるハンマーシーン。ここは断然オリジナル版の方が好き! 相手の武器とかが文字で説明される見せ方は好きだった。あと、狭い空間の閉塞感みたいなものもオリジナルの方がいい! まぁ、これはアメリカ版の感じには合っていないので、今回の工場みたいな雰囲気は良かったとは思う。その後、サミュエル・L・ジャクソンがマリーを人質に取って、シャールト・コプリーに止められるシーンってオリジナルにあったっけ? ここはちょっと余分な気もしたけど・・・ さり気なくマリーは大きなショックを受けると死んでしまうというようなセリフが差し込まれるけど、こんなショックなことがあっても大丈夫だったけどね。別にいいけど(笑)
少しずつ与えられるヒントを元に、マリーと学生時代からの友人の助けを得て、自身の監禁理由がハイスクール時代にあったことが分かる。なんとなく駆け足の印象もあるけど気にならない。オリジナル版でも監禁前の主人公はいい加減で嫌な人物だったけど、原因となった出来事のあった学生時代は普通の少年だった印象。監禁理由に正当性を持たせるためか、今作では学生時代から魅力的ではあったけど、人の痛みが分からない青年だったという描写が入る。元校長先生にもそう語らせている。主人公の姉をからかう場面も入っている。うーん・・・ この変更は別にいらなかったような気もするけどなぁ・・・ 学生時代の主人公が"悪意はなく"やってしまったことが監禁理由であり、さらに主人公を罰するために犯人がしたことが常軌を逸していることが、見ている側を驚かせ、やるせない気持ちにさせる部分でもあるので・・・ やり過ぎがイヤだと言っていることと矛盾しているようだけれど、ここは重要かなと。
以下、ネタバレありです!
さて、マリーとかつて通っていたハイスクールを訪ねたジョー。チェックインしたモーテルで2人は自然と男女の仲に。この映像を見ている犯人。これも仕組まれたことだということ。ハイスクールの部屋で、当時の記憶がよみがえってくる。当時の自分と一緒にいるかのような映像表現は、こういう場合にありがちではあるけれど、記憶の追体験をしていく上では分かりやすいかも。そして、友人からの電話で全てを思い出す。ある夜、ジョーは温室内で絡み合う男女の姿を目撃してしまう。軽い好奇心だったけれど、2人は犯人の姉とその父親だった! どうやら、ジョーはこの話をおもしろおかしく友人たちに吹聴したらしく、姉は好奇の目で見られいじめの対象に。父は地元の名士であったけれど、その土地にはいられなくなり移住。でも、精神のバランスを崩した父親は、ある朝ライフルを持って家族を襲い始める。犯人を撃った後、自らも頭を撃ち抜いて死亡。ただ、犯人は重傷を負ったものの、一命をとりとめていたのだった。父親と姉の関係は一家にとって儀式のようなもので、父親を中心とした完全な調和を保つために必要なことであるという認識だったらしい。なので、当然犯人も知っていた。これは勝手な憶測だけれど、おそらく犯人自身も父親と関係があったかもしれない・・・ もしくは姉、それか母親かも?
オリジナル版でも犯人の動機は近親相姦場面を主人公に見られ、吹聴されたために姉が自殺したことに対する復讐だった。ただ、決定的に違うのは姉の相手は犯人であって、2人の間には恋愛感情があったということ。うーん・・・ どうにもこの近親相姦という理由がねぇ・・・ 自分も弟がいるけど、弟とそんな関係になるなんて考えられないし
確かに真剣に愛し合った相手が姉であったというのは不幸ではあるけれど、完全に逆恨みだし。まぁ主人公も言いふらすなよと思うけど、確かオリジナル版は「あれは確か姉弟じゃないかな?」っていう感じで言っちゃったじゃなかったっけ? その後、触れ回ったのは話を聞いた友達だったような・・・ で、それって普通の感覚じゃないかな? だって、放課後の教室でそんなことしてたら誰かに見られるに決まってるじゃん! 今作にしたっていくら夜でも何で温室なんかでしてるの? 自業自得。まぁでも、逆恨みだからこそ映画としては面白いのだとは思うんだけど、どうにもそこが納得いかないわけです。
ただ、納得いかないながらも映画としてって考えると、監禁理由としてはオリジナル版の方が良かったかな。あくまで姉にも犯人にもその行為に対して自覚があり、お互いに愛し合っていたという方がいい気がする。今回の場合、家族の中での犯人の位置が分かりにくい。おそらく犯人にもそういう関係があったのではないかと考えることはできるけれど、父親と姉がそういう関係であって、それで調和がとれていたと言われてもねぇ┐(´-д-`)┌ 姉も望んでそういう関係になっていたのだとしても、それは洗脳だよね? そこに切なさがあるのかもしれないけれど、犯人の逆恨みっぷりはオリジナルの方が強烈。2人がいくら愛し合っていたとしても、個人的にそれを美しいものと考えることはできないけれど、犯人にとっては美しかったわけで、その美しい愛を汚されてしまったという部分で逆恨みしているのであって、 だからこそ主人公にも同じことをさせるわけで、それが犯人の中では復讐になりうるわけだよね? 見ている側には異常者にしか見えなくても、犯人にとっては筋が通っている。もちろん、今作の理由でもそれは成り立つけど、犯人の異常性としては断然オリジナルだと思う。この変更は単純に"家族"ってことにしたかったのか、未成年が近親相姦するということが問題だったのか?
監禁理由を知った主人公が犯人に対峙し、監禁中と解放後に主人公が取った行動全てが計画どおりであったこと、ミアもその一部であり、3歳で主人公に罪を着せるために母親を惨殺されてから、現在に至るまで彼女の人生を握っていたのも犯人であること、他人に同情しやすい性格になるよう育てられたこと、そしてミアが誰であるかを知らされる。主人公はこの事実に打ちのめされる。これは本当に酷い。犯人が主人公にした仕打ちについては、例え逆恨みであっても本人に原因があったのだから、百歩いや千歩くらい譲って納得できるけど、ミアには一切罪はないじゃない! ここが本当に納得できなくて好きになれない部分。オリジナル版ではミアと結ばれてしまったことを隠すために、主人公は犯人の犬になるからと犬の真似をしたり、絶対に誰にも話さないと自分の舌を切り落とす。もう、ここが本当にやり過ぎでムリだったんだけど、今作はそこまではしない。物足りなく感じる人もいると思うけれど、個人的にはなくて良かった。あった方が強烈で映画としては面白いとは思うけれど、クド過ぎて・・・
犯人が主人公を赦さないまま自殺するのは同じだけど、ラストが大きく違う。オリジナル版ではお互い記憶を消された主人公とミドが雪の中抱き合って終わる。ミドの表情は彼を男性として見ているようで、深い部分での洗脳が解けていないようだったし、主人公の謎の微笑みは記憶が残っているのではないかと思わせるものだった。このラストは確かに美しかったけれど、これじゃあまりにミドがかわいそうだと思い絶望的な気持ちになった。今作では、スッキリとした表情のミアが車を走らせ、新たな人生を歩みだしているような印象で、主人公は犯人から支払われた賞金を使い、自らを監禁する。この終わりは好きだった。オリジナル版だと2人はまた近親相姦の関係になってしまいそうだったけれど、こちらはたった1度の過ちを一生隠すために、自らを監禁する父親の愛情に共感できたので。映画としてどちらが強烈かと言えばオリジナル版だけど、今作の終わり方の方が受け入れやすい。
キャストは良かったと思う。今作の企画が立ち上がった段階でジョシュ・ブローリンが主演ということは決定していたそうだけれど、犯人役につていは難航したらしく、クリスチャン・ベイル、コリン・ファレル、クライヴ・オーウェンにオファーされたそうだけれど、最終的にはシャールト・コプリーに決定。クリスチャン・ベイルも見てみたかったけれど、役柄から考えるとシャールト・コプリーで良かったんじゃないかな! この役やっぱり変質者だと思うので、そういう意味での狂気がシャールトにはある気がする。スパイク・リー監督は『第9地区』(感想は
コチラ)を見て、一緒に仕事したくなったと語っているそうで、今回シャールトがいろいろアイディアを出したというエピソードも披露している。ジョシュ・ブローリンは冒頭の嫌なヤツぶりが良かった。もうホント大嫌いだものあんな人(笑) 監禁中も最初のうちはダメ男だったけれど、ミアのことを思い心を入れ替えてからはカッコよかった! 密かに鍛え上げるという設定なので、監禁が解けるころにはかなりマッチョでゴリラのようになってます(笑) エリザベス・オルセンは『マーサ、あるいはマーシー・メイ』に続き、洗脳されてしまう女性の役。こちらはもう本当にかわいそうな役だったけれど、人として正しいことをしていることも洗脳の一部であるという、切なさをよく表していたと思うし、かわいいけれどどこか寂しそうな雰囲気が役に合っている。サミュエル・L・ジャクソンは通常運転な感じで面白かった!
オリジナル版よりいろいろスタイリッシュになっている。監禁中の時間経過を見せるアメリカの近代史の映像もなかなか興味深かった。自分もよく知っている出来事も歴史の一部なんだと実感。暴力描写はあるけれど、あまりハッキリとは見せない。父親の自殺シーンでもモザイクかかってたけど、あれは本国ではモザイクなしなのかな? だとしたら結構すごいかも?
オリジナル版を見ている人は動機も計画も知った上で見ることになるわけだから、それをどう見せるのかという答え合わせ的な見方になってしまうと思うけれど、そういう意味では違いを含めて楽しめた。自身はオリジナルがちょっと苦手なので、オリジナル好きな方はどう感じるのかは分からないけど・・・ 今作を初めて見る人は普通に楽しめる作品になっていると思う。
『オールド・ボーイ』Official site
日テレ黄金週間のイベント企画5月3~6日の間に、9作品の試写会を実施。気になった今作と『グランド・プダペスト・ホテル』に応募。今作のみ当選。 ありがとうございます! ってことでGW後半初日に行ってきたー
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そもそもは土屋ガロンの「ルーズ戦記 オールドボーイ」が原作。韓国版のレビューにも書いたけど、これは15年間監禁されていたという部分のみを使い、監禁理由やオチに関しては映画オリジナル。今作はさらに変更されている。監禁理由については近親相姦であることは同じだけど、より"家族"ということをテーマにしてきた感がある。
韓国版のレビューを書いた時には、記事の文字制限があったこともあり、原作のことまで調べていなかったけれど、今回はちょっと調べてみた。違いは①監禁期間:10年(韓国版:15年、リメイク版:20年)②監禁理由:主人公が小学生の頃に、犯人の独唱に感激し泣いてしまったから。(韓国版、リメイク版:近親相姦現場を目撃し噂を広めてしまったため)③決着:監禁理由を思い出せば主人公の勝ち→犯人自殺(韓国版、リメイク版:思い出す→犯人自殺は同じだけど勝ったわけじゃない) ②の監禁理由を補足すると、特に上手かったわけでもない独唱で主人公が泣いてしまったのは、その一生懸命さに打たれたから。犯人にはその"気持ち"が理解できなかったため、独唱で泣かれたことを屈辱と感じていたため。個人的にはこの監禁理由の方が犯人の心理をまだ理解できる気がするけれど、映画化するのであればインパクトに欠ける気もするし、日本人でないと理解しにくい気もする。
そうそう! 原作について検索している途中で、気になる記事を見つけてしまった(
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と、つらつら書いているのは、今作は完全に韓国映画版のリメイクだから。どうやら双葉社が訴えたのは、許可なく映画化権を売却してしまったためらしいけれど、その辺りがどうクリアになったのか気になったので。結局、どうなったのか不明だけど、調べるの面倒だからもういいか(o´ェ`o)ゞ イヤ、チラシだったか、何かの記事だったか忘れたけれど、主演のジョシュ・ブローリンが、韓国版のパク・チャヌク監督を訪ねた時、監督から韓国版をリメイクすると考えるのではなく、自分の作品を作ってと言われたというのを読んだから。なので、スパイク・リー監督や製作者はリメイクではなく新たな解釈をした作品を製作しようと考えたとのことだった。お互いをリスペクトしたいい話だと思っていたのだけど、もしかしたら違う面もあったり?と少し残念だったので・・・
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と、前置きが長過ぎるわけだけど、正直に言うと韓国版は映画として面白かったものの、バイオレンス過ぎるというか、やり過ぎな部分が苦手で、好きになり切れなかった。見てみたいと思ったのは、スパイク・リー監督とジョシュ・ブローリンだったから。まぁ、スパイク・リー監督作品あまり見てないけど(o´ェ`o)ゞ ハリウッド・リメイクなので暴力シーンはあるだろうけれど、韓国版よりは控えめになっているかなと思ったので・・・ そういう意味では、今作の方が全体的に好み。ただ、アクの強さやインパクトはやっぱり韓国版だとは思う。10年も前に見たので、細かい部分は忘れてしまったけれど、犯人と対面した主人公が取る行動が衝撃的過ぎて再度見る気になれなかったので、曖昧な記憶のまま見てみた。
冒頭、主人公のジョー・ドーセットの最悪ぶりが映される。娘の誕生日は仕事があるからと断るわりに、その仕事も詐欺まがいのいい加減さ。クライアントの連れの女性を口説き始めて、女性からもクライアントからも非難され店を追い出される。挙句酔っぱらって泥酔。常にウィスキーのボトルを取り出しては飲んでいるので、おそらくアル中。もう、ホント嫌なヤツ! 韓国版も主人公が嫌なヤツという描写があったと思うけど、ここまで長かったかな? 主人公がいいかげんで、人の気持ちを思いやれない、嫌な人物であるということは、彼の罪の伏線でもあるので、その描写は必要だと思うんだけど、ちょっと長い気がした。まぁ、それはこの後監禁されるのを知っているからもしれないけれど・・・
やっぱり個人的に一番面白かったのは、韓国版でもそうだけれど監禁されている間。餃子ばかりだけど食事も出るし、シャワーも使える、着替えもあるし、定期的に髪を切ったり、髭を剃ったりもしてくれる。でも、基本は窓のない部屋に1人きり。朝なのか夜なのかも分からない。唐突に流されるニュース映像から、彼の妻が殺害され、その容疑者が自分であることを知らされる。その犯人に仕立て上げられる過程も、不謹慎だけどおももしろい! 一時期は幻覚が見えるなど気がおかしくなりそうになるけれど、またも唐突に流されたテレビ番組で、娘のミアが自分に対して複雑な思いを語る姿を見て、彼女に真実を知って欲しい、娘に会いたいという気持ちが、生きてここを出たいという思いとなる。酒を断ち、餃子を食べ続け、体を鍛え、娘に手紙を書き、密かに抜け穴を掘る。そして、20年後のある日、ついに決行する! 監視カメラの資格に掘った穴に潜り込む。すると睡眠ガス(?)が噴霧され、意識を失ってしまう。アレ?どうやって脱出するんだっけ?とか思っていると・・・
目覚めると広いグラウンドの真ん中に置かれたルイ・ヴィトンのトランクの中。髪は短く刈られ、高級そうな黒のスーツを着せられ、財布には大金。そして、iPhone。そうか! 解放されたんだった!と、意外に記憶が曖昧で、新鮮な気持ちで見ることができた。っていいのか?(o´ェ`o)ゞ 不思議な服装の女性に導かれるように、ソーシャルワーカーのマリーと出会う。この出会いでいろいろ思い出し、細かい部分はボンヤリしたままではあるけれど、筋道がハッキリしたので、忘れていたとはいえ、自分もうっかり騙されそうになったことに気づき、ここからは( ̄ー ̄)ニヤリとなりながら見ていた。
オリジナル作品を見ていて、リメイク版を見る場合、リメイク版がどこまでオリジナルに忠実か、どのくらい時が経ってリメイクされたかによって違ってくるけれど、基本は主人公が何をして、どういう方向に向かって話が進むのか知っている。特に犯人捜しのサスペンスものの場合は、犯人を知った上で見ることになる。オチまで分かっていても見ている人もいるわけだから、どれだけ飽きさせないかという部分が重要だと思うけれど、そういう意味では良く出来ていたのではないかと思う。まぁ、前述したとおり、細かい調査や、犯人からの誘導などについては忘れしまっているところもあるし、ハンマーシーンは脱出時だと思っていたりと、記憶が曖昧になっているので、オリジナルと全く同じ展開だったかどうかはよく分からない・・・ オリジナルから10年も経っているので、携帯がiPhoneになったりと、アイテムが変わっているのは当然としても、例えば監禁期間が15年から20年になったのは、ミアが成人している設定にしたかったのかなぁと思うと、アメリカが舞台であることによる変更という部分もあったかもしれないけど、それもあんまりハッキリしない・・・ ごめんね
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マリーと知り合って、彼女の協力を得て一緒に謎を追うようになる流れは自然で、餃子の味から店を割り出し、そこから監禁ビジネスのことを知る。社長(?)であるサミュエル・L・ジャクソンを尋問するシーンの、適度に痛くて適度に怖いシーンは、ぎりぎり女子でもOKかと。ここでの見せ場であるハンマーシーン。ここは断然オリジナル版の方が好き! 相手の武器とかが文字で説明される見せ方は好きだった。あと、狭い空間の閉塞感みたいなものもオリジナルの方がいい! まぁ、これはアメリカ版の感じには合っていないので、今回の工場みたいな雰囲気は良かったとは思う。その後、サミュエル・L・ジャクソンがマリーを人質に取って、シャールト・コプリーに止められるシーンってオリジナルにあったっけ? ここはちょっと余分な気もしたけど・・・ さり気なくマリーは大きなショックを受けると死んでしまうというようなセリフが差し込まれるけど、こんなショックなことがあっても大丈夫だったけどね。別にいいけど(笑)
少しずつ与えられるヒントを元に、マリーと学生時代からの友人の助けを得て、自身の監禁理由がハイスクール時代にあったことが分かる。なんとなく駆け足の印象もあるけど気にならない。オリジナル版でも監禁前の主人公はいい加減で嫌な人物だったけど、原因となった出来事のあった学生時代は普通の少年だった印象。監禁理由に正当性を持たせるためか、今作では学生時代から魅力的ではあったけど、人の痛みが分からない青年だったという描写が入る。元校長先生にもそう語らせている。主人公の姉をからかう場面も入っている。うーん・・・ この変更は別にいらなかったような気もするけどなぁ・・・ 学生時代の主人公が"悪意はなく"やってしまったことが監禁理由であり、さらに主人公を罰するために犯人がしたことが常軌を逸していることが、見ている側を驚かせ、やるせない気持ちにさせる部分でもあるので・・・ やり過ぎがイヤだと言っていることと矛盾しているようだけれど、ここは重要かなと。
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さて、マリーとかつて通っていたハイスクールを訪ねたジョー。チェックインしたモーテルで2人は自然と男女の仲に。この映像を見ている犯人。これも仕組まれたことだということ。ハイスクールの部屋で、当時の記憶がよみがえってくる。当時の自分と一緒にいるかのような映像表現は、こういう場合にありがちではあるけれど、記憶の追体験をしていく上では分かりやすいかも。そして、友人からの電話で全てを思い出す。ある夜、ジョーは温室内で絡み合う男女の姿を目撃してしまう。軽い好奇心だったけれど、2人は犯人の姉とその父親だった! どうやら、ジョーはこの話をおもしろおかしく友人たちに吹聴したらしく、姉は好奇の目で見られいじめの対象に。父は地元の名士であったけれど、その土地にはいられなくなり移住。でも、精神のバランスを崩した父親は、ある朝ライフルを持って家族を襲い始める。犯人を撃った後、自らも頭を撃ち抜いて死亡。ただ、犯人は重傷を負ったものの、一命をとりとめていたのだった。父親と姉の関係は一家にとって儀式のようなもので、父親を中心とした完全な調和を保つために必要なことであるという認識だったらしい。なので、当然犯人も知っていた。これは勝手な憶測だけれど、おそらく犯人自身も父親と関係があったかもしれない・・・ もしくは姉、それか母親かも?
オリジナル版でも犯人の動機は近親相姦場面を主人公に見られ、吹聴されたために姉が自殺したことに対する復讐だった。ただ、決定的に違うのは姉の相手は犯人であって、2人の間には恋愛感情があったということ。うーん・・・ どうにもこの近親相姦という理由がねぇ・・・ 自分も弟がいるけど、弟とそんな関係になるなんて考えられないし
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ただ、納得いかないながらも映画としてって考えると、監禁理由としてはオリジナル版の方が良かったかな。あくまで姉にも犯人にもその行為に対して自覚があり、お互いに愛し合っていたという方がいい気がする。今回の場合、家族の中での犯人の位置が分かりにくい。おそらく犯人にもそういう関係があったのではないかと考えることはできるけれど、父親と姉がそういう関係であって、それで調和がとれていたと言われてもねぇ┐(´-д-`)┌ 姉も望んでそういう関係になっていたのだとしても、それは洗脳だよね? そこに切なさがあるのかもしれないけれど、犯人の逆恨みっぷりはオリジナルの方が強烈。2人がいくら愛し合っていたとしても、個人的にそれを美しいものと考えることはできないけれど、犯人にとっては美しかったわけで、その美しい愛を汚されてしまったという部分で逆恨みしているのであって、 だからこそ主人公にも同じことをさせるわけで、それが犯人の中では復讐になりうるわけだよね? 見ている側には異常者にしか見えなくても、犯人にとっては筋が通っている。もちろん、今作の理由でもそれは成り立つけど、犯人の異常性としては断然オリジナルだと思う。この変更は単純に"家族"ってことにしたかったのか、未成年が近親相姦するということが問題だったのか?
監禁理由を知った主人公が犯人に対峙し、監禁中と解放後に主人公が取った行動全てが計画どおりであったこと、ミアもその一部であり、3歳で主人公に罪を着せるために母親を惨殺されてから、現在に至るまで彼女の人生を握っていたのも犯人であること、他人に同情しやすい性格になるよう育てられたこと、そしてミアが誰であるかを知らされる。主人公はこの事実に打ちのめされる。これは本当に酷い。犯人が主人公にした仕打ちについては、例え逆恨みであっても本人に原因があったのだから、百歩いや千歩くらい譲って納得できるけど、ミアには一切罪はないじゃない! ここが本当に納得できなくて好きになれない部分。オリジナル版ではミアと結ばれてしまったことを隠すために、主人公は犯人の犬になるからと犬の真似をしたり、絶対に誰にも話さないと自分の舌を切り落とす。もう、ここが本当にやり過ぎでムリだったんだけど、今作はそこまではしない。物足りなく感じる人もいると思うけれど、個人的にはなくて良かった。あった方が強烈で映画としては面白いとは思うけれど、クド過ぎて・・・
犯人が主人公を赦さないまま自殺するのは同じだけど、ラストが大きく違う。オリジナル版ではお互い記憶を消された主人公とミドが雪の中抱き合って終わる。ミドの表情は彼を男性として見ているようで、深い部分での洗脳が解けていないようだったし、主人公の謎の微笑みは記憶が残っているのではないかと思わせるものだった。このラストは確かに美しかったけれど、これじゃあまりにミドがかわいそうだと思い絶望的な気持ちになった。今作では、スッキリとした表情のミアが車を走らせ、新たな人生を歩みだしているような印象で、主人公は犯人から支払われた賞金を使い、自らを監禁する。この終わりは好きだった。オリジナル版だと2人はまた近親相姦の関係になってしまいそうだったけれど、こちらはたった1度の過ちを一生隠すために、自らを監禁する父親の愛情に共感できたので。映画としてどちらが強烈かと言えばオリジナル版だけど、今作の終わり方の方が受け入れやすい。
キャストは良かったと思う。今作の企画が立ち上がった段階でジョシュ・ブローリンが主演ということは決定していたそうだけれど、犯人役につていは難航したらしく、クリスチャン・ベイル、コリン・ファレル、クライヴ・オーウェンにオファーされたそうだけれど、最終的にはシャールト・コプリーに決定。クリスチャン・ベイルも見てみたかったけれど、役柄から考えるとシャールト・コプリーで良かったんじゃないかな! この役やっぱり変質者だと思うので、そういう意味での狂気がシャールトにはある気がする。スパイク・リー監督は『第9地区』(感想は
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オリジナル版よりいろいろスタイリッシュになっている。監禁中の時間経過を見せるアメリカの近代史の映像もなかなか興味深かった。自分もよく知っている出来事も歴史の一部なんだと実感。暴力描写はあるけれど、あまりハッキリとは見せない。父親の自殺シーンでもモザイクかかってたけど、あれは本国ではモザイクなしなのかな? だとしたら結構すごいかも?
オリジナル版を見ている人は動機も計画も知った上で見ることになるわけだから、それをどう見せるのかという答え合わせ的な見方になってしまうと思うけれど、そういう意味では違いを含めて楽しめた。自身はオリジナルがちょっと苦手なので、オリジナル好きな方はどう感じるのかは分からないけど・・・ 今作を初めて見る人は普通に楽しめる作品になっていると思う。
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