2017.12.20 『オリエント急行殺人事件』鑑賞@TOHOシネマズ日劇
リメイク作品が作られるというニュースを聞いた時(記事はコチラ)から楽しみにしてた。実は、TOHOシネマズ船橋で開催された無料上映会に当選していた。原作好きな母親を連れて行く予定だったのだけど、前日に伯父が亡くなったため映画を見る気にはなれないとのこと。それはそうだ。友達と忘年会(記事は
コチラ)で遅く帰って訃報を聞いたのと、ペアでの入場が必須であること、開催場所と時間を考えると来れる知人はなし。ということで断念 前置きが長くなったけれど、スケジュール的なことを考えると、2017年最後の1本になると考え、レディースデイに行ってきた!
ネタバレありです! 結末にも触れています!
「シリアでの事件を解決した名探偵エルキュール・ポワロは、休暇を楽しむ予定のイスタンブールで電報を受取り、急遽ロンドンに帰ることになる。この時期に珍しく一等は満室だったが、幸い知人の尽力でオリエント急行に乗車することができた。そんな中、乗客の1人で悪名高いラチェット氏が脅迫状を受取ったので調査して欲しいと依頼される。ポワロは断る。その夜ラチェットは殺害されてしまい、ポワロは調査に乗り出すが・・・」という、あらすじは今更必要のないくらい有名。大筋は変えていないけれど、登場人物やエピソードなどちょこちょこ変えてある。そもそも、ポワロのキャラ自体も斬新な解釈がなされている。正直、これがポワロかと聞かれると違うと思うけれど、超有名な原作で、何度も映像化されてきたことを考えれば、こういう解釈もアリなのかなと思う。シリーズ化する気満々なラストだったので、今後もこの路線で作られるのかと思うけれど、それはそれでアリだと思う。大好きというわけではないけれど、次回作もあれば見に行こうかなという程度には気に入った。
原作は言わずと知れたアガサ・クリスティーの同名小説。小説についての詳細はWikipeidaを読んで頂くとして、毎度の
Wikipediaからの引用は、映画のみとさせていただく。『オリエント急行殺人事件』(オリエントきゅうこうさつじんじけん、原題: Murder on the Orient Express)は、2017年にアメリカ合衆国で公開されたミステリー映画である。監督・主演はケネス・ブラナーが務めた。本作は1934年にアガサ・クリスティが発表した小説『オリエント急行の殺人』を原作としている。
2013年12月、20世紀フォックスが『オリエント急行の殺人』を映画化すると発表した。2015年6月16日、20世紀フォックスは監督にケネス・ブラナーを起用すると発表した。11月20日には、監督のブラナーが自らエルキュール・ポワロを演じると報じられた。29日、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、デイジー・リドリー、ジュディ・デンチ、マイケル・ペーニャ、デレク・ジャコビ、ルーシー・ボイントンが本作に出演すると発表された。11月11日にはペネロペ・クルスが本作に出演すると報じられた。12月5日、セルゲイ・ポルーニンの出演が決まった。2017年1月5日、ウィレム・デフォーがハードマン役に起用されたとの報道があった。9日、オリヴィア・コールマンの出演が決まった。2016年11月22日、本作の主要撮影がイギリスで始まった。
本作は『Daddy's Home 2』と同じ週に封切られ、公開初週末に2000万ドル前後を稼ぎ出すと予想されていたが、実際の数字はそれを上回るものとなった。2017年11月10日、本作は全米3341館で封切られ、公開初週末に2868万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場3位となった。本作は賛否両論となっている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには198件のレビューがあり、批評家支持率は59%、平均点は10点満点で6.1点となっている。サイト側による批評家の見解の要約は「映画史の古典となった1974年版に何一つ新しいものを付け足せていないとしても、スタイリッシュなセットとオールスターキャストのお陰で、『オリエント急行殺人事件』は脱線せずに済んでいる。」となっている。また、Metacriticには43件のレビューがあり、加重平均値は52/100となっている。なお、本作のシネマスコア(英語版)はBとなっている。
ケネス・ブラナー監督作品は『愛と死の間で』『シンデレラ』そして本作を見た。出演作品の方が多く見てるかな? 演技上手いので俳優としては好きな方だけれど、監督としても俳優としても特別ファンというわけではないかな。まぁ、別にいいけど。原作は既読で、1974年版の映画も鑑賞済み、ポワロといえばのデヴィッド・スーシェ版も鑑賞済み。ちなみにスーシェ版はメアリー・デベナム役で大好きなジェシカ・チャステインが出演している。ということで、寸分たがわず原作に忠実でなくてはイヤ!ということはないけど、それなりに思い入れがある。映像化は3作品見たわけだけど、個人的にはスーシェ版が一番好きかも。セットや衣装、そして映像的にもテレビドラマとは思えない豪華さだった。なによりポワロがイメージピッタリ。まぁ、これを言ってしまうと身も蓋もないのだけど。
冒頭から、こんなだったっけ?という展開。シリアで仕事の依頼を受けたポワロ。これかなり偉い人物からの依頼で、たしかキリスト教の宝的な物が盗まれたんだっけ? 犯人は3人に絞られる。大群衆の目の前でポワロのもったいぶった推理が始まる。なんと犯人はポワロを呼びに来た警官だった。警官はその場で自殺。お宝も無事戻り、事件解決。この事件の内容についてあまり覚えていないのは、記憶力の低下はもちろん、本筋とは直接関係ないこともあるけど、その他にものすごく展開が早いこともある。ちょっとコミカルというか、アニメ的というか、そういう感じで場面が展開し、事件の顛末も語られる。なによりケネス・ブラナーがポワロをそういう風に演じている。
原作にもこういう場面があったか確認してみたところ、いくつかの事件を解決したという短い記述があるだけだったので、その辺りを膨らませた映画版オリジナルと思われる。何故あえてこれを入れたのだろうと考えると、今作はこういう感じで行きますという意思表示なのかなと。スピード感があって、少しコミカルで、やや誇張している感じ。そしてそれは、アガサ・クリスティーの特徴である中流、もしくは上流家庭の優雅な雰囲気の中で描きたいとは思っていないとうことなのかなと。もちろん、オリエント急行の一等車という豪華な舞台なのだから、優雅で豪華ではあるのだけど、新たなアプローチで作ろうということなのだろうなと感じる。
どうやら船でイスタンブールに向かう計画らしいけれど、その船が故障中。船員たちが復旧作業をしているけれど、あまりはかどってはいない。見かねた乗客が手伝いを申し出る。この人物はアーバスノット医師(レスリー・オドム.Jr)。あれ?医者はコンスタンチンで、アーバスノット氏は大佐だったハズ。しかも、アフリカ系のレスリー・オドム.Jrが演じている。組合の問題などいろいろあるのでしょうけれど、この時代にアフリカ系の乗客が一等に乗るというのはどうなのかしらと、ちょっと気がかり。今回、このような設定変更が多々あった。ある重要な人物との関係などは変わらないのだけど、乗客たちの中で設定が入り組んでいたり、それに伴い年齢設定が変更になったりしている。これは何故なんだろう? 特に効果的だったとも思わないのだけど(´ェ`)ン-・・ 例えば前述した理由で、レスリー・オドム.Jrの役はラチェットの秘書役とかの方がしっくりくる気がする。もちろん人種差別的なことを言うつもりはなくて、時代背景を考えると、ある女性との関係もなかなか難しいのかなと思うので。これはちょっと謎だったし、原作既読者としては違和感があった。ただ、アーバスノット大佐を医師にしたのは、事件とは関係ないコンスタンチン医師を出さないためもあるのかな。
この船の修理をベンチに座って待つ間、隣に来た女性が話しかけてくる。メアリー・デベナム(デイジー・リドリー)という女性。原作ではオリエント急行に乗り込む前に、別の列車でイスタンブールに向かっており、その電車がアクシデントで止まってしまい、乗り継ぎが間に合わないと焦るデベナムをポワロがいぶかしく思うシーンがあるのだけど、今作では列車の変わりが船ということになるのかな。ここでの2人のやり取りをあまり覚えていないので、デベナムは特別焦ったりしていたわけでもなかったのかな? 忘れてしまった💦
さて、イスタンブールに到着。ポワロはここで休暇を楽しむ予定だったのだけど、事件発生で急遽ロンドンに戻らなければならず、至急オリエント急行の一等寝台を予約するよう依頼するのも、何故か通常空いている時期なのに、一等寝台が満室であるのも原作同様。そこに現れたオリエント急行の社長ブーク氏が便宜を図ろうと動いてくれるのも原作のままだけど、この人物が初老の男性から青年(トム・ベイトン)になっている。これも何故だろう? 探偵と助手的な配置にしたかったのかな? このホテルのロビーには主要な人物たちがチラホラ写り込んでいる。全員映っていたかは不明だけど、ここでの最大の見せ場は、アンドレニイ伯爵役のセルゲイ・ポルーニンによる華麗なる回し蹴り。これはホントに美しくて速い!一瞬なので見逃し注意!
この後、レストランの厨房でポワロとブークが立ち回りを演じたと思ったけど、これは何だったんだっけ? ポワロが襲われたんだっけ? 立ち回り自体はちょっとコミカルで楽しかったように思うけれど、物語自体とは全く関係なく、何故これを入れたのかも不明だし、詳細は忘れてしまった。前述したようにアクションもこなす新しいポワロ象を作りたいのだとは思うのだけど、ちょっとこれは必要なのかな?というシーンがいくつかあったことは確か。
さて、ブークが寝台車問題はチェックイン時間を過ぎても現れない乗客の代わりに、ポワロをねじ込んで解決。ヘクター・マックイーン(ジョシュ・ギャッド)と相部屋となる。ポワロが現れ驚いていたものの、本来は下段ベッドなのにポワロを気遣って代わってくれたりと感じは悪くない。そして、夢の超特急オリエント急行はイスタンブールを発車する。子供から大人まで、この列車を追いかける姿が微笑ましく、アニメ的な映像が美しく楽しい。後に殺人が起きるとはいえ、このシーンはやっぱりワクワクした。単純に映像のスピード感や美しさもあるし、いよいよ始まるというワクワク感もある。
出発した晩だったか、ポワロはデッキのようなところで、デベナムがアーバスノット医師にすべてが終わってからと言うのを聞く。すべてが終わるとは何のことか? 食堂車には一等寝台の乗客たちが集まっている。醜いけれど気品のあるナタリア・ドラゴミロフ公爵夫人(ジュディ・ディンチ)の食事を、メイドのヒルデガルド・シュミット(オリビア・コールマン)が的確に注文。これにはポワロも感嘆。たしか同じものをオーダーしたんじゃなかったかな? 他にご婦人がたはアメリカ人のキャロライン・ハバード夫人(ミシェル・ファイファー)、メアリー・デベナム、宣教師のピラール・エストラバロス(ペネロペ・クルス)。男性はアーバスノット医師、ビニアノ・マルケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)、ゲアハルド・ハードマン(ウィレム・デフォー)。アンドレニイ伯爵(セルゲイ・ポルーニン)と伯爵夫人(ルーシー・ボイトン)は食堂車にはいなかったかと思う。ポルーニンいなくてちょっと残念だった覚えがある。そして、不穏な雰囲気を漂わせているのがエドワード・ラチェット(ジョニー・デップ)と執事エドワード・ヘンリー・マスターマン(デレク・ジャコビ)。この時マスターマンいたかな?
翌日、ポワロはラチェットから身辺警護を依頼される。殺人を予告するような脅迫状を複数受け取ったというのだった。原作ではわりとアッサリとでも辛辣に顔が気に入らないからと断るポワロだけど、何故かラチェットが食べているケーキを少しくれなどと言い出す。そういえば冒頭、2つのゆで卵の大きさがそろわないからと、卵を取りに少年を何度も走らせている描写があったけど、このケーキのやりとりも、いわゆるポワロの美意識と完璧主義を表しているのだと思うし、あとはジョニデの出演シーンを増やしたい意図があったのかもと勝手に憶測。もちろんポワロはこの依頼を断る。まぁ、ラチェットが殺されないと話にならないからね。
さて、その夜事件が起きる。ポワロはラチェットの隣の個室に移るけど、これについて説明があったかな? ちょっと忘れてしまった💦 その夜、物音で目覚めたポワロが廊下に出ると、背中に龍の刺繍がある赤いガウンを着た女性が歩いていくのを見かける。隣のラチェットの部屋で呼び鈴が鳴り、車掌がドアをノックするとフランス語で、特に問題はないと返答がある。この辺りは原作通りかな? 夜中に駅に止まって、男性2人が外に出ていたけれど、誰だったか覚えていない 一人はマックイーンだったと思う。
え~っと、見てから時間が経ってしまったこともあり、正直あまりよく覚えていない。前述したとおり、人物設定や名前も原作から変えてあったりするので、映画独自のエピソードだったりすると、いつ誰がどこで行ったことなのかハッキリしない。個々のエピソードなども時系列順に憶えていない。導入部の例えばポワロが茹で卵2個の大きさが一致しないことにこだわりを見せる部分とか、事件を解決するとか、ホテルでの立ち回りとか、直接オリエント急行内での事件に関係ない部分に時間をかけたわりに、事件そのものが駆け足になっている気がした。なので、事件が起きてからの謎解きがあまり丁寧に描かれず、さらに原作にないアクションシーンなども盛り込んだため、散漫になった印象。なので、一つ一つのエピソードが記憶に残っていないのかもしれない。そして、なにより自身の記憶力の衰えが著しい 昔は一度見たら忘れなかったんだけどな~💦
と、断り書きを入れたのは、今後は憶えている場面のみしか書けないし、それも曖昧な記憶ですという言い訳。では、本筋に戻ります!
夜中、列車が大きく揺れ止まってしまう。雪崩に巻き込まれ脱線してしまったのだった。車掌によれば、次の駅に到着しなかったので、既に救助に向かっているだろうとのこと。そんな中、ラチェットが遺体となって発見される。時計が壊されており夜中の1時頃(正確な時間は失念💦)で止まっていた。アーバスノット医師による死亡推定時刻も同じ頃。驚いたことにラチェットは12カ所も刺されて殺されていたのだった。深い傷、浅い傷、右利きによる傷、左利きによる傷。窓が開いておりそこから犯人が逃げたとも思われるが足跡がなかったことから、これは偽装だと考えられる。Hと刺繍された高級ハンカチなどいくつか遺留品も見つかる。ポワロの興味を引いたのは枕元に燃え残っていたメモ。この辺り、設定変更によるコンスタンチン医師からアーバスノットに変わっている以外は原作どおりかな? このシーンはスピード感があっておもしろかったのだけど、ラチェットの個室を俯瞰で見せるので、ちょっと分かりにくかった。これ必要だったかな?
ポワロの捜査で一番好きなのが燃え残りメモのあぶり出しシーン。これ原作では婦人の帽子ケースの型崩れを防ぐための針金の型を使う。確かスーシェ版では再現してくれていたと思うけれど、今作では別の物を使用していた。まぁ、この帽子ケース自体原作の時点でもあまり使われなくなっていたそうだし、今出されてもピンとこないかも。網状になった金属の上に焼けたメモを置き、下から火であぶると書かれた文字が浮かび上がって来るという仕組み。現れたのは「幼いデイジー・アームストロングを忘れるな」(だったかな?)という文言。このシーンやっぱり好き。
浮かび上がった名前に心当たりのあるポワロ。デイジー・アームストロング事件。幼いデイジーが誘拐され身代金を支払ったにもかかわらず無残に殺された事件。これだけでも十分悲惨な事件だけれど、悲劇はこれだけでは済まなかった。事件当時第2子を妊娠中だったアームストロング夫人は流産し、母子ともに命を失ってしまう。事件の容疑者として逮捕されたメイドは自殺。彼女を執拗に攻め立てた検事も自殺している。デイジーの父親アームストロング大佐はポワロに事件解決を依頼するも、度重なる悲劇に自ら命を絶ってしまう。この事件で6人の命が奪われたのだった。実はこの事件の真犯人はカセッティという人物。ラチェットこそカセッティだった。この流れは知っててもゾクゾクする。再現シーンも良かったと思う。ちなみに、アガサ・クリスティは大西洋横断飛行のチャールズ・リンドバーグ(Wikipedia)の事件(
Wikipedia)から着想を得ている。
えーと。殺害現場に残されていた遺留品のうち、車掌のボタンについては、ハバード夫人の部屋からボタンのとれた車掌の制服が発見されたんだっけ? 発見場所はおぼろげになってしまったけれど、とにかく発見される。これにより、犯人は途中駅から車掌の制服を着て乗り込み、ラチェットことカセッティを殺害し、窓から逃走したという仮説が成り立つけど、もちろんポワロは納得していない。そして、たしか犯行に使われたと思われるナイフでハバード夫人が刺されたよね? これは予告編でも見た気がするので間違いないと思う。これは原作にはないエピソード。原作では化粧バッグの中から凶器が発見されただけだと思う。これなんで変更したんだろう? 犯人が犯行直後窓から逃走するのは不可能だとポワロに指摘されたため、車内にとどまっていることにしたかったんだっけ? あれ? ちょっと順番などが怪しい💦
さて、ここから一等車両の乗客全員に一人一人証言を聞くわけなんだけど、これ一応全員やったっけ? 原作では結構なページ数を割いているのだけど、映画ではそこまでではなかったような印象。この証言で印象に残るのはやっぱりハバード夫人。原作ではうちの娘が~を連発するおしゃべりキャラだけど、映画ではそこまでじゃなかったような? 犯行直後自室に男がいたっていうの言ってたよね? 原作も含め主役はもちろんポワロだけれど、ヒロインはメアリー・デベナムなのかしら? 何故か彼女だけ列車の外の質問で、これについてポワロが理由を話していた気がしたけど失念💦 これが終わったらという彼女の言葉について詰問していたよね? アクションシーンはこの時だったと思ったけど違ったかな?
今作のオリエント急行はかなり高い橋のような所で止まってしまっている設定。その橋の梁の部分を何者かが走り降りて行き、ポワロがそれを追いかけるというもの。逃走者はマックイーンで、ラチェットのお金を横領していた証拠書類を隠すためだった。アクションシーン自体が映画オリジナルなので、マックイーンが横領していた事実も追加されている。公開前のインタビュー記事かなにかで、ポワロは元警官なのだから、当然捕り物のようなこともしただろうということで、アクションシーンを入れたとケネス・ブラナーが語っていたように思う。まぁ、それはそうだと思うのだけど、やっぱりイメージの中のポワロとは違う。静か動かと言われれば、やっぱり静だと思うので。ただ、新しいポワロ像をしているのだと思うので、そういう意味ではアリだと思う。
もう一つアクションシーンがあって、列車内(貨物室のような車両だったような?)でポワロたちがメアリー・デベナムにアームストロング家との関係を質問していた時かな? もしかするとマックイーンのアクションシーンはもう少し前だったかな? あいまいな記憶。アーバスノットがポワロに向けて発砲するも命中せず。アーバスノットは自分はアームストロング大佐の部下であり、大佐の援助で医師になれたことを告白。そして、ラチェットの殺害は自分の犯行だと言うけどポワロは信じない。アーバスノットは軍人なのだから殺す気があれば外すはずがないと言う。これも映画オリジナルだけど、これ必要だったかな? まぁ確かに会話劇ばかりでは退屈になってしまう部分もあるとは思うけど、アガサ・クリスティー原作と知って見に来ている人は会話劇こそ見たいと思っている気もする。とはいえ、見に来る人すべてが原作既読者というわけでもないし、新しいポワロ像を構築しようとしているからOKなのか。うーん(゜-゜)
新しいポワロ像といえば、今回のポワロは人間臭いというか悩んだり迷ったりする。そして、そのたび写真立ての中の元恋人にその胸中を打ち明けたりしている。これもあえてそういう設定にしたそうだし、しつこいけれど新しいポワロ像としてはありだと思うけれど、個人的には余分な気がした。そしてやっぱりポワロとは思えなかったかな~💦
Hのハンカチが見つかったことにより、ヘレナ・アンドレニイ伯爵夫人のパスポートのHの文字を油で消したエピソードは入っていたっけ? アンドレニイ伯爵夫妻は夫人の体調不良でほぼ部屋から出てこず。お目当てのポルーニンがあまり映らなくて寂しいけど、正直セリフでの演技はあまり上手くはないので、別にいいか(o´ェ`o)ゞ Hは結局、ロシア語のNにあたるってことで、ナタリア・ドラゴミロフ公爵夫人のものであることがポワロの推理で判明するけど、その件をヒルデガルド・シュミットに確認した際に、彼女が本来は料理人であるとカマかけるのはやったっけ? ホントに覚えてないや💦 上映時間的なことを考えると、アクションシーンを入れたことにより、謎解きのいくつかのエピソードを省いたと思われる。そのため、謎解きが急だった印象。これだとポワロだけが分かっちゃってて、見る側の謎解きの楽しさはないなと思った覚えが・・・
いわゆるポワロの結論が語られる前に、食堂車で集まった乗客たちに対して、アームストロング家との関連を解き明かすシーンがあったと思う。ウィレム・デフォーがドイツ人を演じているけど、実は違うって言われていたのが食堂車だったと思うので。同じシーンでそれぞれの関連を言っていき、切り替わって場所が変わって結論を言っていたように思うったのだけど違ったかな? ただハバード夫人については結論部分で語っていたと思う。まぁ彼女が最重要人物だからね。ということで、順番は違ってしまうけど、それぞれの関係を書いて、その後結論を書こうと思う。
ヘクター・マックイーン:
アームストロング事件を担当した検事の息子。父の検事は、容疑者のメイドを執拗に責め立て自殺に追い込んだことを苦に、自らも自殺している。この父親が自殺っていうのは原作にあったかな?
ピラール・エストラバロス:
元デイジーの乳母。お酒を飲み居眠りをしている隙にデイジーを誘拐されてしまった。その罪の意識から信仰に目覚める。原作ではスウェーデン人だけどペネロペ・クルス出演のためかスペイン人に変更。
ゲルハルド・ハードマン:
ドイツ人というのは嘘で現在は探偵。元警官で容疑者とされたメイドの恋人だった。原作では特にドイツ人に偽装している設定はなし。
エドワード・ヘンリー・マスターマン:
元アームストロング大佐の部下で、アームストロング家の執事。大佐に忠誠を誓っていた。
ビニアノ・マルケス:
アームストロング大佐に出資してもらいビジネスを始めた。原作では元アームストロング家の運転手だったけど、映画でもそうだったかな?
ヒルデガルド・シュミット:
元アームストロング家の料理人。設定は原作通り。
ナタリア・ドラゴミロフ公爵夫人:
ソニア・アームストロング夫人の母で女優のリンダ・アーデンの親友で、ソニアの名付け親。設定は原作通り。
アーバスノット:
元アームストロング大佐の部下で、大佐の援助で医者となった。原作では自身も大佐のイギリス人で、アームストロング大佐の親友。
メアリー・デベナム:
元アームストロング家の家庭教師。アーバスノット医師と恋人という設定は原作通り。
ポール・ミシェル(車掌):
自殺したメイドの兄。原作ではメイドの父親。これは何故兄に設定変更したんだろう? 兄より父親の方がより切なくないかな?
ヘレナ・アンドレニイ伯爵夫人:
ソニア・アームストロングの妹で、デイジー・アームストロングの叔母。
アンドレニイ伯爵:
アームストロング家とは直接のつながりはなし。原作では妻の手を汚すことを嫌い、自らが代理となった設定だったけど、映画では病気の妻の代役。
キャロライン・ハバード夫人:
ソニア・アームストロングの母親で、デイジー・アームストロングの祖母。元世界的な女優のリンダ・アーデン。
ということで、アームストロング事件の関係者が13人。カセッティの傷は12。12人の刺客がカセッティを殺したということ。でも、人数と傷の数が合わない。原作では特にそういう設定にはなってなかったけれど、今作ではアンドレニイ伯爵夫人は病気で、アンドレニイ伯爵が献身的に介護している。なので、夫人の代わりを伯爵がつとめたというわけ。夫人の代わりにというのは原作も同じだけど、妻を愛するが故手を汚したくないという理由だった。
12というのは間違いなく意味があって、陪審員の数が12名。原作ではこちらにこだわっていたように思う。カセッティは逮捕されたけど、裏の手を使って無罪になった設定だったと思う。あれ?これはスーシェ版かな? 今作ではカセッティは逮捕される前にアメリカから逃げている。そういう意味で12人の陪審員という部分もあると思うけれど、この謎解きのシーンがトンネル内にテーブルを並べ、12人を横一列に座らせた構図は間違いなくレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」。
ポワロは2つの推理を披露する。1つは単純で途中の駅から車掌の制服を着たマフィアが乗り込み、カセッティを殺した後車外へ逃走したという説。そして2つ目が前述したとおり、12人のアームストロング事件の被害者たちによる制裁。ポワロは嘘をつくのであれば自分を殺せと銃を取り出す。これハバード夫人に手渡したんだっけ? この時点でハバード夫人はヅラを外したんだよね? タイミングは忘れてしまったけれど、とにかくヅラを外し、今回の事件の責任は全て自分にあると告白し、頭に銃を当て引き金を引く! が、弾は入っていなかった。これ、ポワロはこの展開を見越していたってこと? 自分が撃たれても空砲でした~ってなるからOKってこと? まぁ前者なのでしょうけれど、大仰な割に逃げ道用意してたのかと思わなくもなかったり(゜-゜)
1つ目の解決案では納得していなったブークも、リンダ・アーデンの告白を聞き1つ目を採用することに決定。動き出した列車は駅に到着。ポワロは駆け付けた警官たちに1つ目の解決案を報告する。そこにポワロ宛にメッセージが届く。ナイルで殺人事件が起きたので至急来て欲しいというもの。なるほど、続編は「ナイル殺人事件」なのねと、クリスティファンは( ̄ー ̄)ニヤリで映画は終了。
キャストは豪華で、みな良い演技をしていたと思うけれど、とにかくポワロの比重が大きくあまり印象に残らない💦 ウィレム・デフォーとか無駄遣いな気もするし、設定変更してまで出演させたペネロペ・クルスも生かせてない印象。その辺りは個人的には不満が残った。ということで、特に印象に残った3人のみ紹介しておく。ラチェットのジョニー・デップが良かった。本来は演技派なのに白塗りばかりするから、すっかりイロモノの印象だけど、さすがの演技。ただ者ではない雰囲気を醸し出していた。この作品の成功の一端はハバード夫人にかかっていると思うけれど、ミシェル・ファイファーは素晴らしかったと思う。
さて、監督も務めた新ポワロのケネス・ブラナー。今回はアクションもこなす部分も含めてかなりデフォルメした演技だけど、良かったと思う。何度も言うけど、自分はこのポワロをポワロとは思わないけれど、新たなポワロ像としてはアリだと思う。シリーズ化も決定しているようなので、今後このポワロが変化していくのか、このままなのかは不明だけど、新たなシリーズの主役登場としてはインパクトがあったと思う。
見てから1か月以上経ってしまったので、その間に原作を読み直し、1974年版映画も見直し、スーシェ版も見直した。スーシェ版はテレビ録画なので吹き替え版だけど、自分はこのポワロがやっぱり一番好き。原作に一番近いのは1974年版だと思う。キャストも衣装もセットも豪華。でも、衣装やセットの豪華さでは今作も負けていない。雪深い山岳地帯を走る映像など、風景も圧巻だけど、どこまで実写でどこからCGなのかな? スーシェ版と今作の正義と人情の狭間で苦悩するポワロの印象が強かったので、原作では意外にアッサリしていてビックリ😲 それぞれよくアレンジしていると思うけど、自分はやっぱりスーシェ版が一番好み。
公開してから2か月近く経つけど、TOHOシネマズ日本橋ではまだ上映しているっぽい。人気なのかな? 原作未読だとオチにビックリできると思う。やっぱりこのオチはスゴイ。物議をかもした「アクロイド殺人事件」や「そして誰もいなくなった」と並んでクリスティ作品の中ではかなりのビックリなオチだと思う。
やや駆け足で深みに欠ける気がしなくもないけど、テンポよくまとまっていて原作既読でも楽しめると思う。未読の方はアガサ・クリスティに触れるよい機会かも。俳優ジョニー・デップ堪能したい方オススメ。ケネス・ブラナー好きな方是非!