【tv】ぶらぶら美術博物館「フェルメール展」
先月見に行った「フェルメール展」(感想はコチラ)がBS日テレのぶらぶら美術博物館で取り上げられていたので、メモ取りながら見てみた! 展示替えで1月に未見の1点が来るからまた見に行こうと思っているので、復習と予習を兼ねて。
まずはフェルメール以外の作品から・・・
「手紙を書く男」ハブリエル・メツー
「手紙を書く男」と「手紙を読む女」は対になっている作品。「手紙を書く男」はペンを持つ手が紙の左上にあることから、書き出したばかりであることが分かる。窓の向こう側に天球儀もしくは地球儀があることから、素人か玄人か不明だが天文学的なことに携わっている人物であることが分かる。画中画の題材は牧歌だが額縁に鳩があしらわれいる。鳩はヴィーナスの象徴、また絵の中に描かれている山羊も性的なことを表している。故に、これは恋文である。
「手紙を読む女」ハブリエル・メツー
「手紙を書く男」が書いた手紙を読んでいるのが「手紙を読む女」である。メイドが絵に掛かったカーテンをめくっている。オランダ人は清潔好きで埃を嫌うので、絵にカーテンを掛けることはよくあった。絵には荒れた海が描かれており、将来の危うさを表している? 足元の犬も性的な示唆がある。女性の後ろには鏡が掛けられているが、鏡は高級品なので裕福なイメージ。女性が着ている黄色い毛皮付きの上着はフェルメールを意識か?
先日行った時はとにかく混んでいいて、同行の母親は膝が悪いのであまり歩けないってことで、実は1F展示はほとんど見ていない。一応入口付近にあった作品はちゃんと見たけど、他は流してしまったのでこの2点は全く覚えていない💦 窓辺の構図といい、女性の上着や表情、画中画を含めてかなりフェルメールを意識していると思われる。
所蔵しているのはアイルランド・ナショナル・ギャラリーだけど、テレビの画面には"オランダの国宝"と出てた気が。他国のギャラリー所蔵品なのに国宝って指定できるの? 国宝級の作品っていう意味かな?🤔 2点とも美しく好きなタッチの作品なので、1月に再訪する際にはちゃんと見てこようと思う。
さて、ここからはフェルメール作品について・・・
🎨「マルタとマリアの家のキリスト」ヨハネス・フェルメール
フェルメール23歳の時の作品。数少ない歴史画。絵画の中では宗教画の方が格式が高く、教会に飾るため大きい作品の方が金額が高い。フェルメールとしても宗教画を教会に収める画家としてやって行けるのであれば、この方向で行きたかったと思われるが、おそらくまあり評価されなかったのだろう。下手ではない。引き算の画家。色彩少ない。
これは姉のマルタがキリストに自分ばかりが家事をしているとキリストに訴えたところ、イエスが妹のマリアは私の言葉に耳を傾けているのだと答えているところなのだそう。確かに下手ではないんだけど、グッとくる作品かというと違うかな。自分はキリスト教徒ではないから宗教画の内容のことは分からないし、あまり好きなジャンルでもないこともあるのだけど。それにしてもキリストの肩幅が狭すぎないか?
🎨「取り持ち女」ヨハネス・フェルメール
黄色い服の女性は娼婦。取り持ち女というのは赤い服の男性の後ろにいる初老の女性。左の男性がこちらを向いているのでフェルメール自身なのではないかと言われているが、フェルメールは自画像を残していないし、他の画家が描いた肖像画も無いので断定できない。歴史画から風俗画への過渡期の作品。
今作は2019年1月9日からの展示となるので、番組用に置いたパネルでの解説となった。なので、山田五郎氏ら出演者たちも実物は見ていない。矢作だったかな?娼婦が描かれた絵を普通に飾るのかと質問があった。宗教画で「放蕩息子の帰還」というのがあるが、放蕩息子が放蕩中の場面を描いた作品だとの解釈なのではと言っていたけど、これは出演者たちの憶測。
🎨「ワイングラス」ヨハネス・フェルメール
画中画などフェルメールの特徴あらわれている。手前に椅子がありリュートが置かれている。男性は実はこの椅子に座っていた? それともこの後座る? 女性の飲んでいるワイングラスはほとんど空で、お酒が進んでいることが分かる。ラブゲーム? 画中画に教訓が含まれているかもしれないけれど、何が描かれているかほとんど見えない。ステンドグラスに金髪の女性が描かれており、馬の手綱を握っている。これは抑制を表す。飲酒と恋愛はほどほどにというメッセージと思われる。オランダの画家は教訓を込めることが多い、ピーテル・デ・ホーホの作品に似ているので、この影響ではないか。室内のドラマを描く。
前半部分は音声ガイドや作品展示のメモなどにも書かれていたところではあるのだけ、ピーテル・デ・ホーホの作品も紹介しつつ類似点を解説していたので、これはおさえておきたかったのにメモが間に合わなかった💦 たしか今回展示されている作品だったように思う。
🎨「リュートを調弦する女」ヨハネス・フェルメール
「ワイングラス」と同時期の作品。構図、光、椅子など共通要素が見える。ただし、他の作品に対して光が薄い。北の光? 窓もくもりガラス。この女性も窓の外を見ているわけではなく、何気なく視線を向けただけ。画中画はヨーロッパの地図。家族もしくは恋人が旅に出ている? テーブルの下にヴィオラ・ダ・ガンバが置いてあるらしいがほとんど見えない。
実は後に修復士の方がこの画のくすみ具合に関して解説されるのだけど、確かに言われて見れば他の作品に比べてく光の加減が薄い。矢作が黒い椅子のビスの質感のすごさを指摘しており、さらに高橋マリコがテーブルの上の楽譜のめくれ具合で弾き込んでいる感じがリアルだと指摘。確かに! 音声ガイドでも楽器が置いてある的なことを言っていたけど、それがヴィオラ・ダ・ガンバ(Wikipedia) のことだったのね。ホントに全く見えない💦 あと、女性の鼻がいわゆるギリシャ鼻だけど、それがかなりデフォルメされており、すでにプチ整形だとも言っていた😀
🎨「真珠の首飾りの女」ヨハネス・フェルメール
毛皮のついた黄色い上着は高級品で財産目録にも記載されている。窓の横に掛けられた鏡を見ているが、かなり位置が高いので男性用ではないか。モデルは妻だと言われているが、肖像画が残っていないので断定できず。この髪型はフェルメール作品によく登場するが、当時の流行りではなくフェルメールの好みだったのではないか。画中画と右下の楽器を消した跡がある。
鏡の位置そんな高いかな? 女性と水平になってるように思うのだけど🤔
🎨「手紙を書く女」ヨハネス・フェルメール
このライオンの彫刻のついた椅子は何点かで出て来る。画中画の中身は分からないが、位置がちょうど女性の頭の辺りに来るように計算されている。テーブルの上のテーブルクロスの盛り上がりと、女性の腕が平行になっており、その辺りも計算されている。
画中画が見えないのは黒くなってしまったのか、初めからこう描いているのか分からないのだそう。どうやら楽器が描かれてるらしく、ヴィオラ・デ・ガンバなのではないかとのこと。矢作が女性の目線の先にはベッドがあって、恋人が寝ているのではないかと大胆予想。これは好きな人を見る目だとも言っていた。ベッドに寝てるかどうかは分からないけど、確かにこの表情は好きな人を見る目かも。モデルは妻かな? カワイイ顔😳
🎨「手紙を書く婦人と召使い」ヨハネス・フェルメール
これは修復し過ぎなのではないか。画中画はモーセの発見。川に流されたモーセを発見した場面で、旧約聖書の出エジプトに出て来る。和解の象徴。床に丸めた手紙があるが、来た手紙が気に入らないのか、書き損じなのか? ただ、モーセの発見が描かれていることにより、ハッピーエンドを示唆している。
修復に関しては後に修復士の方が語っていいたけど、なんだかクッキリとした質感になっているとのこと。画中画のことまで分かって見ると、この手紙の内容まで分かって来るんだね! でもこの画中画を見ただけで、これは旧約聖書の出エジプト記(Wikipedia)に出て来るモーセの発見(モーセ:Wikipedia)だな! ということは和解を示唆しているんだな! と分かるのはやっぱりそれなりに勉強しなきゃだな~😣
🎨「赤い帽子の娘」ヨハネス・フェルメール
右から光が差している作品は珍しい。板に描いている。とても実験的な作品。X線では元は男性が描かれていて使いまわしであることが分かる。あまりしない。首のあたりのハレーションがスゴイ。椅子のライオンの彫刻でフェルメール作品の決め手になった。次のステップへの実験だったのではないか。
首の辺りがハレーション起こしちゃってて光の画家にもほどがあると話してて笑った🤣 ここで「手紙を書く女」で登場したライオンの彫刻のある椅子が再登場。どうやらこれがフェルメール作品だという決め手になったのだそう。確かに異色の作品ではあるけど、やっぱりこのタッチはフェルメールかなと思う。解説の方によると、おそらく次のステップに進もうと実験したけれど、それが実を結ぶ前に亡くなってしまったのではないかとのことだった。
🎨「牛乳を注ぐ女」ヨハネス・フェルメール
窓が2カ所割れている。壁際に足温器行灯が置かれている。これは女性が愛用していた。メイドなので日焼けしている。フェルメールといえばの黄色い服を着ているが、質感が粗末である。画中画を消した跡がある。女性の立ち位置が中央よりやや右よりで、配置のバランスが完璧。
フェルメールがこの女性に黄色い服を着せたのは、おそらくフェルメールブルーと呼ばれるラピスラズリの青を使いたかったからかなと思うのだけど、確かに多用してきた毛皮のついた上着とは質感が違う。ゴワゴワしたイメージ。出演者たちはパンの質感もホメていた。パンに点描が使われている。画中画を消したのはおそらくバランスが悪かったからだろうと言っていた。確かに、行灯があるなしでも全然違うし、このバランスじゃないとダメだね。テーブルもよく見ると変な形なんだけど、この形じゃないとバランスが悪い。
現在フェルメール作品と言われているのは35点。あっても50点くらいだろうと言われているのだそう。活動期間20年で50点とすると少なすぎる。売れなかったのではないか? 売れたとしても1ヶ月の生活費を稼ぐのがやっとという状態? パン屋にも借金している。何故売れなかったのか。時代によって絵画を見る目が違う。現在は見る目が変わりレンブラントと並び、オランダ2大画家となった。どちらもバロック時代の画家だが、その中で異色を貫いた。特にフェルメールは異色の画家だった。
というのがまとめ。なるほど構図や光などにこだわって遅筆だったのもあるでしょうけれど、注文がなかったというのもあるのかもしれない。とはいえ、フランドル派の画家たちは同じような構図で描いているのにね。でも、他の画家の作品はどこか軽い感じなんだよね。なのであまり好きではなかったりする。風刺が込められているというのも分かると楽しいのだけど、そこに性的なことや快楽的なことが示唆してあるのはなんとなくゲンナリしてしまう。そういう意味でやっぱり自分はフェルメール作品が好きだな😌
ここからは修復士の岩井希久子さんの解説・・・
修復の仕方についても時代や国によってさまざま。修復してしまったことにより絵が変わってしまった例もある。「真珠の耳飾の少女」の修復を担当した修復士によると、考察した結果唇にハイライトを入れたとのこと。かなり大胆にハイライトが入っている。ハイライトを入れる、入れないはどれが一番近いかを模索。
「手紙を書く女と召使」
召使のスカートのひだの修復は筆1本分くらい太く入ってしまっている。なので全体的にパッキリした印象の絵になってしまった。汚れや黄変したニスを除去すると色がよみがえるが、そこに修復士が色を加えてしまったのではないか。
「赤い帽子の娘」
唇のハイライトは修復士が入れたのではないか? 襟元がハレーションを起こしているとの指摘だが、「手紙を書く女と召使」の女主人が被っているレースの帽子と質感が似ているので、修復士が描いてしまったものではないと思う。
「リュートを調弦する女」
全体的にくすんでいるのはニスを除去していないため。所蔵しているメトロポリタン美術館では、過去の修復でもうどうにもならないので、何も手を加えない方針。洗い過ぎ、手を加えすぎで取り返しのつかない作品もある。
「牛乳を注ぐ女」
とても良い修復がされている。修復を感じさせない修復。修復することにより未来につながる。いざとなったら除去できるため全く違う材料を使う。
修復の仕方は国によって違う
修復が分かるように修復:イタリア、スペイン、どちらかというと日本もここに含まれる
修復が分からないように修復:イギリス、ドイツ、アメリカ
前述したとおり「手紙を書く男」と「手紙を読む女」は興味深かったけど、フェルメール作品については音声ガイドで説明されていたことと重複している部分が多かったかな。でも、修復の部分についてはとても面白かった! 今ではX線とかいろいろな機材を用いて、絵の具の成分なども分析できるけど、昔はそういうのもなかったわけだから手探りだっただろうし、修復士の正確によっては雑だったりもあると思う。なかなか興味深い。
ということで、これらを踏まえてまた1月に見に行ってこよう😌
🎨フェルメール展:2018年10月5日~2019年2月3日 @上野の森美術館
ぶらぶら美術博物館:毎週火曜日 21:00~22:00 @BS日テレ