2020.01.07 『リチャード・ジュエル』試写会@ニッショーホール
サム・ロックウェル好きなので見たいと思っていたのだけど、試写会はノーチェックだった。友達から誘われたので喜んで行ってきた~
ネタバレありです! 結末にも触れています!
「アトランタオリンピック中に開催された野外イベント、警備員のリチャード・ジュエルは不審なリュックを発見。中身が爆弾であることが分かり、必死に避難を誘導するも間に合わず爆発。2名の死者と100人を超える負傷者の出る惨事となったが、多くの人々を救ったとしてリチャード・ジュエルは英雄になる。しかし、地元紙がFBIが彼を容疑者としてマークしていることを報道すると、彼を取り巻く環境は一変する。」と、あらすじとしてはこんな感じかな。実話ベースなので調べれば彼に起きたことも結末も分かってしまう。個人的には権力やメディアの暴力についてだけでなく、外見やステータスによる差別についても描きたかったのかなと思った。そういう意味では考えさせられたけれども、時々ちょっと女性記者がステレオタイプ過ぎたり、古く感じる演出があったり、放りっぱなしに感じる出来事などもあったかな😅
クリント・イーストウッド監督作品。監督作品は40本目だそうだけれど、自分は『マディソン郡の橋』『スペースカウボーイ』『ミスティック・リバー』『グラン・トリノ』『ヒア アフター』『ジャージー・ボーイズ』(感想はコチラ)『ハドソン川の奇跡』『アメリカン・スナイパー』(感想はコチラ)『15時17分、パリ行き』(感想はコチラ)と今作を鑑賞。好きな作品もあるけど、そうでもない作品もあるかな。近年は実話ベースの作品を多く撮っている印象。
映画について毎度のWikipeidaから引用。『リチャード・ジュエル』(Richard Jewell)は2019年のアメリカ合衆国の伝記ドラマ映画。監督はクリント・イーストウッド、主演はポール・ウォルター・ハウザーとサム・ロックウェルが務めた。マリー・ブレナーが1997年に雑誌『ヴァニティ・フェア』に寄稿した記事「The Ballad of Richard Jewell」を原作とし、1996年のアトランタオリンピックで爆発物を発見して多くの人命を救った英雄であるにもかかわらず、FBIやメディアに容疑者と見なされた実在の警備員リチャード・ジュエルを描いている。 2019年11月に開催されたAFI映画祭においてワールドプレミアが行われた。
2014年2月4日、リチャード・ジュエルの伝記映画が製作されることになり、レオナルド・ディカプリオとジョナ・ヒルが主演と製作を兼任することになったと報じられた。9月10日、ポール・グリーングラスに監督のオファーが出ているとの報道があったが、交渉は不首尾に終わった。2015年4月1日、クリント・イーストウッドが本作の監督を務める意欲を見せていると報じられた。
2019年4月、ディカプリオとヒルが降板し、製作サイドがイーストウッドに本作の監督のオファーを出していると報じられた。5月24日、ワーナー・ブラザース映画が本作の配給権をディズニーから購入したとの報道があった。6月、ポール・ウォルター・ハウザー、サム・ロックウェル、キャシー・ベイツ、オリヴィア・ワイルド、ジョン・ハム、イアン・ゴメスの出演が決まった。同月24日、本作の主要撮影がジョージア州アトランタで始まった。
本作は2019年12月13日に全米公開される予定だが、これは第92回アカデミー賞をはじめとする賞レースへのノミネート資格を得るためでもある。 2019年11月20日、AFI映画祭で本作のプレミア上映が行われた。その際、ジュエルの母バーバラ(ボビー)・ジュエル本人が会場に姿を見せた。
本作は『ジュマンジ/ネクスト・レベル』及び『Black Christmas』と同じ週に封切られ、公開初週末に1100万ドル前後を稼ぎ出すと予想されていたが、実際の数字はそれを大きく下回るものとなった。2019年12月13日、本作は全米2502館で公開され、公開初週末に468万ドルを稼ぎ出し、週末興行収入ランキング初登場4位となった。この数字はクリント・イーストウッド監督作品としては異例の低さであった。
本作は批評家から好意的に評価されている。映画批評集積サイトのRotten Tomatoesには144件のレビューがあり、批評家支持率は73%、平均点は10点満点で6.71点となっている。また、Metacriticには38件のレビューがあり、加重平均値は69/100となっている。なお、本作のシネマスコアはAとなっている。
作中で、実在の記者キャシー・スクラッグスがFBIの捜査官を前にセックスと引き換えに情報を引き出そうとする描写があり、問題となった。故人であるため反論できない状況にある人間に対するこのような描写への反発は強く、批評家や記者の一部は激しく作品を批判し、SNS上では「BoycottRichardJewell」というハッシュタグも作られてボイコット運動が起こった。キャシーの所属していたアトランタ・ジャーナル=コンスティチューション(以降AJCと略)は「記者の描写は衝撃的であり、真実ではない」と主張し、クリント・イーストウッド監督とワーナー・ブラザースに書簡を送り、中傷的な方法で誤って描かれているために、場面の一部が脚色されたものであることを正式発表するよう要求した。これに対してワーナー・ブラザースは、映画は情報源に基づいていると主張し、ジュエル氏が疑われていると真っ先に報じたメディアの一つであるAJCが映画を非難するのは残念で皮肉だと述べた。
とのことで、自身も見ていて女性記者のステレオタイプな感じと、その後の処理について違和感があった。それについてはおいおい書いていくとして、このキャシー・スクラッグスについて調べてみたのだけど、知りたかったことがあまり見つからず💦 これが一番詳しいかな? (⇨"実話"のクリント・イーストウッド新作、女性記者の「まくら営業」シーンは『嘘』ボイコット広がる ) キャシー・スクラッグスさんは2001年に亡くなっているのね。
映画は、事件の10年ほど前から始まる。法律事務所の備品係りをしているリチャード・ジュエル(ポール・ウォルター・ハウザー)が、声を荒げて電話をしているワトソン・ブライアント(サム・ロックウェル)の横を通り過ぎようとしているところから始まる。八つ当たりのような形で声を掛けられたジュエルは、モゴモゴとした口調ながらワトソンが必要としているであろう備品を揃えておいたことを告げる。太っていて覇気がなく愚鈍な印象のジュエルの意外な鋭さに興味を持った様子。予備知識を入れていなかったので、2人の関係が良く分かっていなかったのだけど、ここで2人の関係だけでなく、ジュエルの観察眼や分析力を見せて行く感じは良かったと思う。
その後も、ジュエルとワトソンはゲームで競ったりするシーンがあるものの、社会的ヒエラルキーの上下関係をお互いがハッキリと意識している感じも描かれていて興味深い。今作で取り上げたかった問題の1つであることは間違いないと思われる。ある日突然ジュエルがワトソンに転職することになったと言いに来る。この時、話したことが後にジュエルがワトソンに連絡を取るきっかけとなったと思うのだけど、具体的に何を話していたか忘れてしまった💦
ジュエルは自分の仕事を度々ある言い方をしていたのだけど忘れてしまった💦💦 法を守る者という意味のこと。要するに警察官など法を守る人に強い憧れを持っていたようで、次に就いた学生寮の警備の仕事でも、学生の部屋に踏み込んで飲酒を摘発したりしてやり過ぎだとクビになってしまう。ジュエルがしていることは間違ってはいないのだけど、警備員の仕事の範疇を超えていると言われれば確かにそうで、彼にはちょっとそういう部分があるという描写とともに、この学長が後に彼の運命を変える存在でもあってビックリ。こういう視野でしか人を見ない人が学長って問題あるような😅
さて、1996年アトランタオリンピック開催中のアトランタ。リチャード・ジュエルは母親のボビことバーバラ・ジュエル(キャシー・ベイツ)と2人暮らし。オリンピック会場近くの公園では、連日コンサートなどのオリンピック関連イベントが開催されており、ジュエルはその警備員の仕事を得た。
運命の日、ジュエルは機材スタッフなどがいる建物の脇で物を投げたりしてふざけている若者数人に注意をする。こういう若者たちにありがちな感じでジュエルに絡んでくる。その際、ベンチの下に置かれていたリュックが倒れる。不審に思ったジュエルは警官の応援を呼ぶ。皆取り合わないがジュエルは調査を強く主張。警官の1人がリュックを調べると筒状の爆弾が仕掛けられていることが分かる。同時に911には公園に爆弾を仕掛けたという電話が入っている。これは後に重要な要素になってくる。
ジュエルたちは必死に観客たちを誘導し避難させようとするけれど、なかなか上手くはかどらない。そうこうしているうちに爆弾が爆発してしまう。結果、2名が死亡し100人を超えるケガ人を出す大惨事となった。この事件のことは全く知らなかったのでビックリしたけど、アメリカ人にとっては有名な事件なのかな? かなり大きな事件だし、オリンピック開催中に起きるなんて衝撃的。このシーンは緊迫感があったし、爆発すると分かっているのに驚いてしまった。
爆発物の第一発見者として事件を最小限に防いだということで、リチャード・ジュエルは新聞やテレビなどメディアに取り上げられ、一躍ヒーローとなる。道行く人にも声を掛けられるなど、今までにないことに喜ぶジュエル。とはいえ、決して天狗になってしまうようなことはなく、インタビューにも警備員としてあたりまえの仕事をしたことだと謙虚な受け答え。ただ、その中に後々不利になってしまうような発言もあったりするけれど、そこも含めて策略を巡らせられる人としては描いていないように思う。見ている側に白か黒か分からない人物と思わせる演出ではなく、ジュエルは無実の罪を着せられた人という描き方だった。
このジュエルをヒーローとする流れの中で、彼の体験を本にしないかという話が出る。そこで、ジュエルは権利関係などについて詳しく知りたいと考えて、ワトソンに連絡を取る。ワトソンの事務所にはナディア(ニナ・アリアンダ)という秘書がおり、この秘書がなかなかやり手でワトソンに対する愚痴をこぼしながらもハッパをかけ、ワトソンが渋々仕事を引き受けるやり取りがコミカルで楽しい。しかし、このナディア役のニナ・アリアンダは実年齢が35歳らしいのだけど、役作りの髪型やメイクのせいかワトソンの母親くらいの年齢に見えて、事件解決後にワトソンとキスしたり、エンドロールでワトソンと結婚したと書かれていて驚いた😲 ニナ・アリアンダの演技は良かったのだけど、この老けっぷりはミスキャストでは? イヤ、20代の若い美女をキャスティングしろということではなく、ホントに老けて見えたから😅
いい画像が見つからなかったけど、左の女性がナディア(ニナ・アリアンダ) 老けてる😅
話が反れたので元に戻す! ワトソンはジュエルの依頼を受け、これ以降は自分への相談なしにどんな書類にもサインしないようにといい電話を切る。この10年間ワトソンがどんな人生を歩んできたのかは不明なのだけど、法律事務所に勤めていたころはスーツを着こなしていたのに、今はシャツとジーンズだったりとラフないでたち。前述のナディアと2人ではやらない法律事務所を開業しているらしい。この時点ではワトソンは楽でお金になる仕事が来たと考えている感じ。
さて、早い段階でジュエルにとって悪夢のきっかけとなる人物が2人が登場している。地元紙の女性記者キャシー・スクラッグス(オリビア・ワイルド)とFBI捜査官トム・ショー(ジョン・ハム)で、実際はどんな人物なのか不明だけど、今作ではこの2人が悪役の位置づけ。で、この2人に美形の役者がキャスティングされているのは狙いなのかなと思う。エリートで美形だから特別な人間だという階級意識で、見た目も経歴もイケていないジュエルのことなど、人としてまともに扱う気などないという感じ。本人がどう思っているかということではなくて、潜在意識にそういう差別があるだろうということ。その部分も描きたいテーマの一つなのだと思う。
前述のWikipediaからの抜粋に、キャシー・スクラッグスがスクープを取るためにまくら営業した描写が物議をかもしたとあったけれど、とにかく個人的にこの女性記者の描き方には大いに疑問があった。あまりにもステレオタイプ過ぎるというか。登場時からそっくり返ってズンズン自分のデスクまで歩いてくる感じがもうイタいし、男性上司と話す時に豊胸手術しちゃおうかしらと自分の胸を掴む感じとか、こんな人います?!と聞きたくなる感じ。事件現場を取材する際もバッグの中をガサゴソとタバコを探す感じとか、ベンチの上に靴のまましゃがんじゃう感じとか、正確なセリフは覚えてないけど男性の同僚に「どうか犯人が強烈なキャラで読者の興味を引くような人物でありますように」と祈っちゃう感じとか。もう不快感通り越して、こんな人いますかね😅という感じ。あまりに古くないですか? 男性が描いたガツガツした女の典型的なパターンって感じで現実離れし過ぎ💦 オリビア・ワイルド的にはこんな感じでいいんですかね? ご本人は亡くなっているそうだけれど、そういう意味でもこの人物像はどうなのだろうか?
ちょっと話が反れてしまったけど、この映画でとっても違和感があったのがキャシー・スクラッグス絡みのことだったので、まとめて書かせていただく。このキャシー・スクラッグスが以前からの知り合いのFBI捜査官トム・ショーにまくら営業を仕掛けて、FBIはジュエルが犯人であると考えているという情報を得て、それを記事にしたことによりジュエルの悲劇が始まる。実際にまくら営業をしたかは不明だし、そもそもショーが情報源だったのかも不明だけど、彼女の記事がきっかけだったのは事実らしい。映画では裏付けも取らずに記事にしているけどそのあたりはどうだったのだろう🤔
ただ、今作の中でジュエルとワトソンが事務所内に乗り込み、キャシーに記事の撤回と謝罪を求めると、自分である調査をしてジュエルが犯人ではないことを確信する。その後、ショーに否定された描写はあったものの、その路線を追求する取材をした様子もないし、後述する予定の母親の演説を聞いて涙を流している描写が入っただけで、このキャシー・スクラッグスについて一切触れないのだけど、ジュエルに対して謝罪したのだろうか?
実際のキャシー・スクラッグスも独自に調査をしてジュエルの無罪を確信したのか不明だし、ジュエルに対して謝罪したのかどうかも分からないけど、これだけこの人物のキャラをふくらましておきながら、母親の演説に涙したくらいじゃ見ている側の彼女に対する怒りはおさまらないんですけど😠 キャシー・スクラッグスの描き方について長々書いてしまったけど、ちょっと自分としてはステレオタイプ的な描写も、この雑な納め方も納得できなかったので、これは書いておきたかった。
FBIがジュエル犯人説を取ったのは、第一発見者を疑えというセオリーがあったことと、前述した学生寮警備員をしていた時の学長が、FBIに連絡をしてきてジュエルが今回の犯行を起こしそうな人物であると証言したから。法の番人であることについて強い憧れとこだわりがあり、自分が手柄を立てたいばかりに自作自演したのではないかということ。たしかにそういう事例はたくさんあるし、この時点ではジュエルは容疑者ではあるので、学長が彼が犯人ならば証言しないわけにはいかないと考えるのも分からなくはないけど、結局この学長にもインテリ層による差別があるってことなのかと。確かにジュエルには越権行為があったし、苦情も多くて迷惑していたのは事実で、その時のジュエルに抱いた印象を語っただけではあるのでしょうけれど。
FBIとしてはこの証言もあり、ジュエル犯人説に固執して行った印象。多分、実際には他の線も捜査していたとは思うけれど、今作ではそれは描かれていない。ジュエルに対する捜査については、本人やワトソン、ジュエルの母親ボビなどから証言があっただろうから、多少の脚色はあるにせよ実際も映画同様のことが行われたのかなとは思う。
ジュエルのもとにトム・ショーとダン・ベネット捜査官(イアン・ゴメス)らが訪ねて来る。いくつか事件について尋ねた後、教則ビデオ的なものを撮影したいから協力して欲しいと要請する。この時点でおかしいわけだけど、自らも法を守る者だと考えているジュエルは快く協力する。この時点で既にキャシーの記事が出ているので、ジュエル宅には報道陣が押し寄せている。自分に好意的だったメディアが自分を犯人扱いしていることに驚愕するジュエル。
それでもジュエルはFBIに協力。狭く薄暗い部屋でトム・ショーやベネットなど数人の捜査官に囲まれてビデオ撮影が行われる。最初はノリノリで撮影に応じていたジュエルだけれど、供述書にサインするように言われワトソンとの約束を思い出しこれを拒否。するとショーたちはあの手この手でサインさせようとする。これを不審に思ったジュエルがワトソンと連絡を取りたいと申し出るも、これも許さない。とはいえ、ジュエルも負けてはいず、ワトソンに電話することを許される。これはヒドイ💦
さて、ワトソンが登場してジュエルは家に帰ることが出来るのだけど、ここから戦いが始まる。ワトソンはジュエルの目を見て話し、彼が嘘をついていないと確信し弁護を引き受ける。とはいえ、一応調査をする。あの日、爆破予告電話が掛けられたとされる公衆電話まで、ジュエルのいた事件現場まで歩いてみると、ジュエルには爆破予告電話があった時間に電話はかけられないことが分かる。この調査は前述したとおり、キャシー・スクラッグスも行っており、これにより彼女はジュエルが無実であることを確信するのだけど、ショーに共犯者がいると否定されてそれっきり😒
こういう弁護モノ?にありがちな、不利となる可能性のある事実を弁護士であるワトソンに告げていなかったり、銃マニアのジュエルは合法とはいえ大量の拳銃やライフルを所持していたりして、ワトソンをイライラさせるけれど、この辺りはジュエルのおとぼけ感もありコミカル要素として描かれている。でも、ジュエルは基本FBIについて協力的で、家宅捜査と称して証拠になりそうなものを次々運び出して行く捜査官たちに手伝おうかと声をかけてしまう始末😅
お人よしが過ぎると見ている側もイライラしてきた頃、自分が一緒に居る時以外はショーたちとしゃべるなと言われているのに、タッパーウェアや自分の下着まで持ち出されたと泣き叫ぶボビをなだめている間に、ショーたちがジュエルに犯人が電話で話したセリフを言わせて録音してしまう。これにはさすがのジュエルも不信感を持ったようだけれど断れない。ワトソンが気づき慌てて止めさせるけれど、時すでに遅しで録音されてしまった。でも、これが証拠として提出された様子もないし、一体何だったんだろう? ただ、FBIのやり方の汚さを描いたということなのかな?🤔
このお人よしぶりにイライラしたワトソンは声を荒げてジュエルにもっと怒れと言うと、ジュエルも感情をあらわにして自分だって怒りを感じているけれど、法を守る側でいたいから、出来ることは協力したいと涙ながらに言う。ジュエルの気持ちは分かるし、最終的には正しいことをした人が勝つと思いたいけれど、彼が耐えてしまうことはいじめを助長させてしまう構図にも似ているのかなとも思った。
この時、声を荒げたことがきっかけで、これからはもっと自分の権利を守ろうということになり、前述したキャシー・スクラッグスに抗議しに行ったのだったと思う。一方、ショーたちFBIのなりふり構ない感じは度を越して行き、ジュエルの友人を連行し、ジュエルのゲイの恋人で事件の共犯者なのではないかと尋問したり、ジュエルの自宅やワトソンの事務所に盗聴器をしかける始末。ジュエル宅には連日マスコミが押し寄せ、飼い犬の散歩もままならない。この頃からジュエルは胸の痛みを感じている描写が入る。もしかしたら、心労により命を落としてしまうのかと思ったけど違った😅 でも、後の伏線ではあった。
加熱する報道を抑止するためと思われるが、ワトソンはボビに記者会見を開かせる。彼女は涙ながらに息子の無実を訴え、同時にメディアによる暴力も訴えた。泣いてしまっていたけれど、しっかりとした言葉で語られ、最後には大統領に助けを求めて終わった会見は、見ている者の心を打った。少なくともキャシー・スクラッグスには響いたようで涙を流していたけれど、正直この描写は陳腐に感じた。これまでの彼女の描写からすると、この会見ですら利用しそうな勢いに感じたし、そもそもアナタの記事きっかけなんだから、泣いてる場合じゃないのでは?と思ったり。それはさておき、このシーンのキャシー・ベイツの演技が素晴らしく、もらい泣きしてしまった😭
ワトソンはジュエルをウソ発見器にかけてもらい、専門家から完全に潔白であるとの結果を得る。これも実際にあったのとなのかな🤔 この結果がFBIに提出されたという描写はなかったのだけど、これは何故行ったのかな? ジュエルに自信をつけさせるため? とにかく、この後ジュエルはFBIと直接対決となる。
FBIの会議室のようなところでショーをはじめとした複数の捜査官と対峙する。ジュエルにはワトソンが付き添うが、完全にジュエルをバカにしたような態度のショーに毅然とした態度で向き合うジュエルには、ワトソンの手助けはほとんど必要なかった。しっかりと自分の言葉で、自分を犯人だと疑う証拠は何なのか? 第一発見者を容疑者だと決めつけていたら、今後不審物を見かけても警告するのを躊躇してしまうのではないか、こうして誤って自分を責め立てているうちに、真犯人は野放しだ。FBIは間違っている。もう一度聞く、自分を犯人だと疑う証拠は何なのか? 今までずっと柔和だった彼の表情はキリリと引き締まっていた。このシーンのポール・ウォルター・ハウザーの演技が素晴らしかった
数か月後、ジュエルとワトソンがダイナーで食事をしていると、ショーがやって来てワトソンに書類を手渡す。そして、ジュエルの方は一切見ず、ワトソンに対して「お前の依頼人は絶対クロだ」と言い残して去って行く。ヾ(゚Д゚ )ォィォィ 謝罪はなしかよ😠 どういうことかと問うジュエルに、自分たちが勝ったのだと書類を見せる。FBIとしてはジュエルが犯人ではないという結論に達したというような内容。イヤ、犯人である証拠が見つからなかったというような、自分たちは悪くない的な言い回しだった気もする。
確かに犯罪の捜査だから、疑わしい人物に捜査の目を向けるのは当然だし、その際にマスコミに容疑者がマークされてしまうこともあるだろうけれど、ジュエルの件がマスコミに洩れたのが今作の通り(まくら営業は別として)だとしたら、リークしてしまった部分も含めて不手際があったわけなのに、こんな紙切れ一枚で謝罪なしとは😒 ましてや彼は第一発見者で多くの人命を救ったヒーローだったのに。ただ、このトム・ショーという人物が本当にこんな嫌な人なのかは不明なので、あくまで映画で描かれていたことに対しての怒りだけれども。
自分的にさらに頭に来た描写は、ジュエルの自宅に押収された品々が戻って来るのだけど、捜査員たちが淡々と段ボールを運んで来て、呆然としているボビに謝罪どころか目もくれず去って行く描写。もちろん狙って入れてるとは思うのだけど、本当に頭に来た😠 元 に 戻 せ よ!(*`д´) ボビが番号書かれてしまったタッパーウェアを悲し気に見ていたのは、一度つけられた傷は元には戻らないという描写なのでしょう。この感じは良かったと思う。
6年後、警察署をワトソンが訪ねて来る。カウンターの中にいたのはジュエル。なんと警官になっていたのだった。ワトソンはジュエルに、あの事件の真犯人が見つかったと告げる。特に驚いた様子もなく受け止めたジュエルだったけど、帰ろうとするワトソンに裁判を傍聴できないかと尋ねる。出来ると思うと答えると、調べて欲しいと言う。分かったと言い残しワトソンが去る。見守るジュエルのアップで終了だったと思う。
エンドロールでジュエルが心臓疾患で44歳で亡くなったこと、ワトソンはナディアと結婚し子供が生まれたことがクレジットされる。リチャード・ジュエルについて詳しくはWikipediaを見て頂くとして、たびたび入っていた心臓を抑える描写はこのことを示唆していたのね。ジュエルの死因が今作で描かれた一連のことと直接の関係はないかもしれないけれど、この時の心労が彼にダメージを与えたことは間違いないと思う。酷い話だ😣
俳優たちの演技が素晴らしかった! オリビア・ワイルドはちょっとオーバーアクション過ぎる気がしたけれど😅 同じく悪役トム・ショーのジョン・ハウの厭らしさは本当に憎たらしくて素晴らしい お目当てのワトソン役サム・ロックウェルが良かった。実際のワトソンがどんな人なのか不明だけど、ちょっと素直じゃないけど正義感に熱い人物を好演。母親以外に友達もほとんどいないジュエルの兄のような存在になっていく感じも良かったと思う。いつ見ても最初は間違いなくサム・ロックウェルだと思うのに、気づくとその人物になってて驚く。
キャシー・ベイツには泣かされた。前述の演説シーンはもちろんだけど、ジュエルに八つ当たりされてトイレにこもって泣くシーンも泣かされた😭 ホントに普通のおばさんにしか見えないのスゴイ! もちろんホメてます! どこにでもいる息子を愛する普通のオバさん。特別強くはないけど、息子を信じ抜く強さ。感動した。
ポール・ウォルター・ハウザーが素晴らしい。実際のジュエルがどんな人だったのかは不明だけど、疑われてしまったのはFBIが設定した人物に一致してまったからで、その辺りの立ち回りの下手さというか、愚直な感じというか。単純にお人よしなだけではなく、彼には彼の信念があっての協力的な態度であったり、警官やFBIに対する憧れのようなものなどが、見ている側をイライラさせたりする部分も含めて良かったと思う。あの直接対決のシーンは、見ている側をスカッとさせるのが狙いなわけだから、その辺りも素晴らしかったと思う。
1980年代や1990年代の雰囲気や、オリンピック開催時の浮かれた感じなどの描写も良かったと思う。ジュエルに起きたことはめったにあることではないかもしれないけれど、SNSでどんどん情報が拡散されていく時代、いつ自分が被害者や加害者になってしまうか分からない。充分に注意が必要だと思った。気になる点や演出的に古さを感じる部分もあったし、放りっぱなしのエピソードもあったりしたけれど、その辺りの注意喚起としては良かったと思う。
楽しい内容ではないのでオススメしにくいけれど、実話モノ好きな方は好きかも? サム・ロックウェル好きな方、キャシー・ベイツ好きな方はオススメ。