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【cinema】シネマ歌舞伎『廓文章 吉田屋』

2020-01-13 02:10:45 | cinema

2020.01.12 シネマ歌舞伎『廓文章 吉田屋』鑑賞@東劇

 

 

お正月新聞見てたら広告が出ていて、母親と見たいねって話になり、通常2,100円だけどe+で前売券購入。しかし、ムビチケではないのでオンラインチケット利用できないのね😢 上映30分前に行ったらなかなかいい席が取れた😌 

 

97分の上映時間中30分くらい片岡仁左衛門と坂東玉三郎のインタビュー映像なので、賞味1時間くらいの作品なのかな? とても面白かったので感想記事書きたいのだけど、書けてない記事もたまってるし、作品としても短いので感想Tweetに追記する形で感想記事として残しておく😌 ちなみにTweetは3個ほどありますが、全てタイトルを間違えております😅

 

 

廓文庫吉田屋』とつぶやいちゃってるけど『廓文章吉田屋』が正解です🙇 前述したとおり30分くらいインタビュー映像が流れる。メインは片岡仁左衛門(Wikipedia)で、その内容を補足する形で坂東玉三郎(Wikipedia)が答えているという感じ。内容的には今作のことよりも、お父様である第十四代片岡仁左衛門とのエピソードが中心だった。

 

印象的だったのは子供の頃、舞台の上で寝る芝居中に本当に寝てしまい、自分では大したことと思わず、楽屋で「寝てしもうた~」と明るく言ってしまったところ、先代思いっきり平手打ちされたこと。当代は周りの役者さん達に迷惑をかけたことを怒られたのだろうと語っていらした。子供だからと容赦しないのではなく、子供でもプロとして扱ったという事なんだと思う。プロなのだから寝てしまってはダメだし、ましてやそれを反省していないのはあり得ないことだと。

 

当代が舞台に立ち始めた頃は大盛況だったけれど、時代の流れとともに庶民の楽しみも多様化し客が減って行った。そこで先代は新たな歌舞伎を立ち上げてこれが大成功だったのだそう。この頃までは関東歌舞伎と関西歌舞伎はキッチリ分かれていたけれど、次第に歌舞伎が東京に集約されるようになり、当代も東京に出て来るようになった。関西の軽妙さと関東の粋を持った稀有な存在。この辺りは興味深く聞いた。

 

三男だった当代は片岡仁左衛門を襲名することはないと思っていたけれど、ちょうど大病をした頃に仁左衛門襲名の話があり、生還できたら神様が襲名しろと言っているのだろうと考え、無事に生還したので襲名を決意したとのこと。このエピソードも印象的だった。

 

今作について初主演の時にはとても無理だと言ったそうだけれど、当然断れるはずもなく、坂東玉三郎との共演ということになった。これについて坂東玉三郎も当時は22歳で無我夢中だったと語っている。こうやって鍛えられていくんだなと思った。

 

 

「廓文章」について毎度のWikipediaによりますと、廓文章(くるわぶんしょう)は、歌舞伎の演目。吉田屋の通称で呼ばれる。近松門左衛門の人形浄瑠璃『夕霧阿波鳴渡』(ゆうぎりあわのなると)の「吉田屋の段」を書き替え、歌舞伎の世話物とした。『廓文章』の題では1808年(文化5年)が初演と言われる夕霧大坂新町遊廓の瓢箪町にあった置屋「扇屋」お抱えの太夫で、寛永三名妓のひとり。吉田屋は新町遊廓の九軒町にあった揚屋とのことで、近松門左衛門が原作なのね😲


ザックリしたあらすじとしては、吉田屋の夕霧太夫と恋仲になり廓通いを重ねて勘当されてしまった大店の若旦那伊左衛門が、久しぶりに吉田屋に顔を出す。吉田屋の主人喜左衛門夫妻は伊左衛門を夕霧太夫に会わせようとするが、太夫は別の座敷に出ており待つことに。待っている間に嫉妬が募り、夕霧と再会してもつれない態度を取ってしまい痴話げんかに。そんな中、実家からは勘当を解くという知らせとともに、夕霧太夫の身請け代が届けられる。めでたしめでたし。という感じ。


ザックリとしたというか、本当にこのまま。この伊左衛門という人物はホントにお金持ちのボンボンという感じ。この役演じる人によっていろいろな人物像に出来るのかなと思う。全くのダメ男にも出来ると思うけど、仁左衛門の伊左衛門はとにかくカワイイ。仁左衛門は背が高くて姿が良く品があるので、立ち姿がとにかく美しく、特に後ろ姿が本当に若旦那に見える。この映像は平成21年のものだそうなので、65歳だったわけなのだけど、20代の若者に見える。


そして、この素直になれない若旦那がとにかくカワイイ。襖越しにのぞき見してちょこちょこ動いてる時とかホントカワイイ。

  

 

とにかく所作が美しく、ちょっと指を刺す指先まで神経が行き届いている。あの足をちょこちょこ動かして歩く動作を何というのか不明なのだけど、それがコミカルで楽しい。ああいう部分にこそ技が必要なんだと思う。ㇲッと流れるようにこたつで寝るシーンにしても、枕を添えてもらうまではかなり苦しい姿勢。

 

これは坂東玉三郎にも言えることなのだけど、とにかく見ていて美しいということは、やっている人は苦しいことが多く、それを感じさせずにやるというのは本当にスゴイ。サラリとやっているそれは芸であり技。それは日々の稽古の賜物。だからこそ、舞台で寝たことを軽く話してしまう姿勢に先代は激怒されたということなのね😢

 

そうそう、最初あまり分かってなかったのだけど、途中で涙で袖が濡れてしまったといってロウソクで乾かすシーンがあり、そこで袖の部分は紙なのかなと思ったら、Wikipediaのあらすじにちゃんと書いてあった。文字の書かれている部分が紙でつぎ当てた部分で、その紙は夕霧からの手紙なのね😲

 

夕霧に会いに来て待ってる間に嫉妬してしまうって部分が今作の軸なので、夕霧はラスボス的な感じでなかなか出てこない。しかし現れた時の豪華絢爛さといったら✨ 着物も鬘もスゴイ。最初は黒系の打掛なのだけど、身請けが決まってから赤地に金糸に変わる。この赤地の打掛の豪華さと言ったら。そしてそれに負けない玉三郎の美しさと存在感。若い女性の恥じらいと、頼りない伊左衛門への苛立ちと。若い女性特有のその感じがかわいらしい。

 

黒と赤の打掛はそれぞれポーズを取って見せてくれるシーンがあるけれど、黒の方の時は斜めから全体の映像で、このカメラワークはちょっと残念だったかな🤔

 

ストーリーは単純で、よく考えると1人のダメ男が勝手にイジイジしてるだけの話なのだけど、それをコミカルでなんともかわいく見せてるのスゴイ! 役者たちの演技がスゴイのはもちろん、例えば黒子とかがㇲッと寄って来るタイミングとか全てが見どころ! ハッピーエンドなのも新春にふさわしい。

 

これはホント見て良かった! オススメです! 4月に坂東玉三郎と尾上菊之助の「京鹿子娘二人道成寺」があるので見たい🤩


廓文章 吉田屋|作品一覧|シネマ歌舞伎|松竹


シネマ歌舞伎『廓文章 吉田屋』予告




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