こないだ久々に、カラオケに行きました。
秋のせいでしょうか。みんな、湿っぽい失恋ソングとか、悲しい歌ばっか!おめーら若いくせに、辛気くせーんだよ!マイク、貸せ!わしの絶唱を、とくと聞くがいい!
もう逢えないかもしれない~♪
別れましょう私から 消えましょうあなたから~♪
あふれた涙は It's only love~♪
もっと酔うほどに飲んで あの人を忘れたいから~♪
って、いちばん辛気臭い歌を歌うのは、私なのでした…
「MY FATHER 死の天使 アウシュヴィッツ収容所人体実験医師」
何だか長くてオドロオドロしいサブタイトル。残酷な猟奇的映画?と勘違いされそうですが…中身は、とてもシリアスで悲しいドラマです。
“死の天使”と恐れられた、悪名高きナチスの医師ヨゼフ・メンゲレ。戦後、南米に逃亡し各地を転々としながら、逮捕されることなく生きながらえたとか。突然の事故死も、実は偽装では?どこかで生きてるのでは?と噂されたり。とにかく、常人には計り知れぬ、重い暗い闇を抱えた死神博士って感じです。
メンゲレの息子ヘルマンは、潜伏生活をしている父に会うため、灼熱のブラジルにやって来るが…
とにかく、ヘルマンが可哀想!子供の時から、悪魔の息子!と人々に忌み嫌われ蔑まれ苛められ、大人になってからも、収容所の生存者たちから責められ、攻撃される。ヘルマンには、何の罪もないのに。父親の罪が、息子にまで一生背負わなければならない十字架になるなんて、理不尽で残酷です。
凶悪犯罪って。時に、被害者の遺族以上に、加害者の家族のほうが哀れに思える場合もある。酒鬼薔薇少年の幼い兄弟とか、宮崎勤の妹とか。本当に可哀想です。兄のせいで、生き地獄に堕とされてしまったことでしょう。
父へ恨みつらみを抱えながら、でも理解したい、改心させて罪を贖わせたい、と願い行動するヘルマンの姿が、涙ぐましく切ない。でも悲劇は、思っていた以上に根深かった…この映画のメンゲレは、自分が悪いことをしたとは、ぜんぜん思ってないし!むしろ、誇らしく正しいことをしたと信じているし!
ヘルマンとメンゲレの間にある、思想や世代の価値観の、絶望的なまでな隔たりに、暗澹とさせられます。
ヘルマンが、どんなに激しく責めても、常に淡々と冷静に、でも絶対自分の信念を曲げず押し通すメンゲレ。壮絶な修羅場をくぐってきた怪人だけあって、若いヘルマンでは到底、太刀打ちできない。逆に、自信と確信に満ちた、悪魔な自説を父親に聞かされ、え?そうかもしれない?と、あやうく洗脳されそうになるヘルマンに、ハラハラさせされます。
ヘルマン役は、我が愛しのトーマス・クレッチマン。父の重すぎる存在に苦しむ息子を、熱っぽく演じていました。トーマスが出ずっぱり&バリバリの主役映画は、なかなか観られないので、彼のファンは絶対に必見です。
相変わらず、クールだけど優しそうな男前トーマス。ナチスものだけど、今回はナチスじゃないし軍服も着てない彼です。せっかくの肉体美も封印してましたが、Tシャツ姿でもマッチョぶりが顕著で、セクシイです。
メンゲレ役には、かつての大スター、チャールトン・ヘストン。齢80を越えての出演。お爺さんだけど、カクシャクとしていて、威厳があって、ヘルマンでなくても圧倒されてしまう魁偉さ。トーマスって、こんなに小さかったっけ!?と驚くほど、ヘストン老の堂々とした立派な体躯。でも、悪魔の医師とは思えないほど、情味のあるキャラ。そこに、ヘルマンと観客は惑わされます。
ヘルマンに婚約者の写真を見せてもらい、心から祝福する優しいメンゲレの口から出てくる、とんでもない台詞!喜びも一瞬で冷まされ、思わず父親の首を絞めてしまうヘルマン。恐ろしい信念を滔々と話す父親に、も、もうやめてくれ~!!と耳を塞ぎ、のたうち回るヘルマン。哀れすぎ...
人間と人間の間には、例え同じ血を分け合っていても、決して埋められない深い暗い隔たりがある…そんな悲しい感慨を与えてくれる映画です。
ちょっと斬新なカメラワークとか、ミステリータッチなメンゲレの生死など、エンターテイメントな映画でもあると思います。
秋のせいでしょうか。みんな、湿っぽい失恋ソングとか、悲しい歌ばっか!おめーら若いくせに、辛気くせーんだよ!マイク、貸せ!わしの絶唱を、とくと聞くがいい!
もう逢えないかもしれない~♪
別れましょう私から 消えましょうあなたから~♪
あふれた涙は It's only love~♪
もっと酔うほどに飲んで あの人を忘れたいから~♪
って、いちばん辛気臭い歌を歌うのは、私なのでした…
「MY FATHER 死の天使 アウシュヴィッツ収容所人体実験医師」
何だか長くてオドロオドロしいサブタイトル。残酷な猟奇的映画?と勘違いされそうですが…中身は、とてもシリアスで悲しいドラマです。
“死の天使”と恐れられた、悪名高きナチスの医師ヨゼフ・メンゲレ。戦後、南米に逃亡し各地を転々としながら、逮捕されることなく生きながらえたとか。突然の事故死も、実は偽装では?どこかで生きてるのでは?と噂されたり。とにかく、常人には計り知れぬ、重い暗い闇を抱えた死神博士って感じです。
メンゲレの息子ヘルマンは、潜伏生活をしている父に会うため、灼熱のブラジルにやって来るが…
とにかく、ヘルマンが可哀想!子供の時から、悪魔の息子!と人々に忌み嫌われ蔑まれ苛められ、大人になってからも、収容所の生存者たちから責められ、攻撃される。ヘルマンには、何の罪もないのに。父親の罪が、息子にまで一生背負わなければならない十字架になるなんて、理不尽で残酷です。
凶悪犯罪って。時に、被害者の遺族以上に、加害者の家族のほうが哀れに思える場合もある。酒鬼薔薇少年の幼い兄弟とか、宮崎勤の妹とか。本当に可哀想です。兄のせいで、生き地獄に堕とされてしまったことでしょう。
父へ恨みつらみを抱えながら、でも理解したい、改心させて罪を贖わせたい、と願い行動するヘルマンの姿が、涙ぐましく切ない。でも悲劇は、思っていた以上に根深かった…この映画のメンゲレは、自分が悪いことをしたとは、ぜんぜん思ってないし!むしろ、誇らしく正しいことをしたと信じているし!
ヘルマンとメンゲレの間にある、思想や世代の価値観の、絶望的なまでな隔たりに、暗澹とさせられます。
ヘルマンが、どんなに激しく責めても、常に淡々と冷静に、でも絶対自分の信念を曲げず押し通すメンゲレ。壮絶な修羅場をくぐってきた怪人だけあって、若いヘルマンでは到底、太刀打ちできない。逆に、自信と確信に満ちた、悪魔な自説を父親に聞かされ、え?そうかもしれない?と、あやうく洗脳されそうになるヘルマンに、ハラハラさせされます。
ヘルマン役は、我が愛しのトーマス・クレッチマン。父の重すぎる存在に苦しむ息子を、熱っぽく演じていました。トーマスが出ずっぱり&バリバリの主役映画は、なかなか観られないので、彼のファンは絶対に必見です。
相変わらず、クールだけど優しそうな男前トーマス。ナチスものだけど、今回はナチスじゃないし軍服も着てない彼です。せっかくの肉体美も封印してましたが、Tシャツ姿でもマッチョぶりが顕著で、セクシイです。
メンゲレ役には、かつての大スター、チャールトン・ヘストン。齢80を越えての出演。お爺さんだけど、カクシャクとしていて、威厳があって、ヘルマンでなくても圧倒されてしまう魁偉さ。トーマスって、こんなに小さかったっけ!?と驚くほど、ヘストン老の堂々とした立派な体躯。でも、悪魔の医師とは思えないほど、情味のあるキャラ。そこに、ヘルマンと観客は惑わされます。
ヘルマンに婚約者の写真を見せてもらい、心から祝福する優しいメンゲレの口から出てくる、とんでもない台詞!喜びも一瞬で冷まされ、思わず父親の首を絞めてしまうヘルマン。恐ろしい信念を滔々と話す父親に、も、もうやめてくれ~!!と耳を塞ぎ、のたうち回るヘルマン。哀れすぎ...
人間と人間の間には、例え同じ血を分け合っていても、決して埋められない深い暗い隔たりがある…そんな悲しい感慨を与えてくれる映画です。
ちょっと斬新なカメラワークとか、ミステリータッチなメンゲレの生死など、エンターテイメントな映画でもあると思います。