まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

蒼いギムナジウム

2006-10-17 | ドイツ、オーストリア映画
 男子中学生が、いじめを苦に自殺というニュースには、とても胸が痛みます。同時に、憤りも覚えずにはいられません。
 同級生からだけではなく、あろうことか、担任の教師まで、いじめに加担してたとは!
 ワイドショーの映像で、自殺した少年の父親から問いただされ、からかいやすかったから...などと答えていた教師。耳を疑いました。こんな下劣、こんな下等人間が、教育者を名乗ってるとは!私、オーバーな話、日本の滅亡を確信しました。
 今までも、同様の事件が発生するたびに明らかにされる、いじめを阻止できなかったばかりか、黙認、あるいは促進していた最低教師の存在。何年か前の、“葬式ごっこ”。いじめられてる生徒の机上に、生きてるのに花瓶が置かれてるのを黙認してただけでなく、お別れの色紙に自分も弔辞など書いてたり。教師の前に、人間失格だと、私も怒りに震えたものです。
 実は私も小学生の頃、いじめのような扱いを担任教師から受けた思い出があります。
 私のひどい点数のテスト答案用紙を、“悪い答え方の例”と教室の壁に貼ったり。私の作文が、クラス投票でコンクール出品に選ばれたのに、先生は良いと思わないという理由で、却下されたり。私は大人になる前に自殺するだろうとか、ロクな人間になれないとか、みんなの前で言われたりして、ショックでした。
 いちばん悲しかったのは、図工道具を失くしてしまい、その教師に相談すると、失くす奴が悪い、と一言で済まされ、私は図工の授業中、何もできず途方に暮れるだけ。さすがに見かねたクラス委員長の女の子(良い子だったなあ。元気かな)が、彼女の母親に訴えて、新しい道具を取り寄せてもらったのだけど...
 そんな扱いを受けてたのは、私の他にも数人いました。あとで聞いた話によると...その先生は、保護者からのお歳暮やお中元、その他ワイロじみた贈り物が大好きで、金持ちの生徒をエコ贔屓することで有名だったとか。貧乏な生徒や、そういうことに無頓着な親を持つ生徒(私みたいな)を疎んじていたのです。そんな浅ましい教師って、ドラマや漫画の中だけでなく、現実世界にも実在するんですよねえ。
 生徒をいじめる教師。その残酷さを、私は知ってるだけあって、悲憤を禁じえません。私が極端に、自分に自信を持てない、卑屈な人間になったのは、おそらく小学校時代のトラウマが原因だと思います。僕は私は、いじめられても仕方のない人間なんだ...と、子供を自己否定、絶望させる教師なんて、万死に値します。今回の問題教師も、社会的に制裁できないのなら、今度は逆に生徒たちからいじめられたらいい。おそらく、そうなるでしょう。最近の子供って、大人以上に残酷だから...

 「青い棘」
 大好きなダニエル・ブリュール、「ラヴェンダーの咲く庭で」以来、久々の再会です。
 1920年代ドイツ。名門私立高校の生徒たちが起こした、殺人事件の真相と顛末...
 ヨーロッパのギムナジウム&少年たちの愛憎。舞台設定や人間関係は、まるで竹宮恵子のYAOI名作漫画「風と木の詩」。ですが、漫画のように絶世の美少年は出てこないし、激しい禁断の濡れ場(むろん、男同士の)などもありません。
 何だかコムズカシい精神的&文学的な少年たちの悩みですが、それを映画がいくら美しく装飾しても、やっちまったことは、単なる痴情のもつれ。三面記事を、文学的に描いたみたいな内容です。
 少年たちの言動や思考が、高尚すぎる。高校生なんだからさあ、もっと気軽に楽しく生きようよ!と、低俗で凡庸な私などは、主人公たちの苦悩が理解できない。いちばん幸福な瞬間に死ぬって言ってたけど、それはキレイごとに過ぎなかったのでは。辛くなって&カッとなって無理心中にしか見えなかったから。でもまあ、いい年をした男女だと醜悪な茶番劇だけど、若者だから詩的な悲劇になれます。まさに、若さに酔ってるって感じでしたが、悪酔いはいけません。

 ダニエル・ブリュールは、イケメンではないけど、小熊ちゃん、もしくはムク犬みたいで可愛いです。ムチムチしたガタイのよさも好き。湖畔の小屋での、女の子とのエッチシーンでは、すっぽんぽんも披露。ケツもムチムチしてます。
 同性愛者である親友役の男の子が、金髪になったソノマンマ東に見えて...彼も、その愛人の男も、もっと美青年だったら、YAOI好みの耽美映画になっただろうに。
 親友の妹が、なかなかチャーミングなキャラです。兄と男を共有したり、ダニブリュを誘惑・翻弄したり、可憐で淫奔な小悪魔って感じ。美人ではないけど、男がフラっとなるのも解かる、エロ可愛さ。彼女のファッションも可愛かった。ワンピースとか、現代で着ても、十分おしゃれかも。
 この世は愛する者と愛される者に分かれる、という台詞がイタい。三島由紀夫の小説にも、『愛する者はいつも寛大で、愛される者はいつも残酷。人間をいちばん残酷にするものは、愛されているという意識』という、印象深い台詞があったっけ。愛されない者の残酷さなんて、たかが知れてる、とか、ヒューマニストというやつは大抵ブサイクばかり、とか、妙に納得してしまう三島先生の名言を思い出します。
コメント (3)
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