まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

我、弾劾す

2016-02-22 | 北米映画 20s~50s
 先日、久々にツ○ヤに行ったのですが…
 レジでレンタル料を払おうとしたら、げっ!所持金45円!仕方なくクレジットカードで。でも…店員が何度やっても、カードがカードリーダーに通らない。え!?何で何で何で?!店員が『お客さんのカードに何か問題があるのかも』と、まるでカード利用停止になってるかのようなことを。ええ~!?私カードなんか滅多に使わんし、そんな覚えない!と、不安と恐怖に。○タヤカード有効期限が切れてるので更新料は払って!と言われ、ちょ、ちょっと待っててください…と、恥ずかしいけどいったん店を出て、近くのコンビニヘ。試しに恐々とクレジットカードで買い物…え!?フツーに使えた!まったく利用停止になってませんでした。どーいうこと!?ツタ○に戻って、あの~コンビニではフツーに使えたのですけど…とオズオズと申し立てると、レジの磁気が合わなかったのかも!はい、更新料払って!と、ササっとスルーされてしまいました。ええ~!?人前でカード利用停止にされてる恥かしい人扱いされ、気まずさと不安に陥っただけでなく、わざわざコンビニまで行ったのに。店員さんの対応、あまりにも情が薄いというか…そんなもんなのでしょうか?私がいろいろ他人に期待しすぎなのかしらん?自分では誰に対しても多くを求めてないつもりなのですが…今日はコンビニで、店員にメチャクチャ理不尽なクレームをつけてるおじさんと遭遇したのですが。あのおじさんみたいになれたら凹むこともなく気が楽だろうな、と羨望する反面、他人に不愉快な思いをさせるよりは自分が不愉快な思いをするほうがいい、なんて思う私は聖人?それとも単なる小心者の負け犬?

 「ゾラの生涯」
 19世紀末のパリ。苦節を経て富と名声を得た作家エミール・たゾラは、老境に入っても創作に意欲を燃やしていた。そんな中、軍人のドレフェスがスパイ容疑で逮捕されるという事件が起き、世間を騒然とさせる。夫の無実を信じるドレフェス夫人は、ゾラに救いを求めるが…
 1937年のアカデミー賞作品賞、助演男優賞などを受賞した名作、のわりにはあまり知名度が高くない?私も最近まで知らなかったのですが、オスカー受賞作だけあってなかなかの力作でした。フランスの文豪ゾラの一生、というより、有名な“ドレフュス事件”に彼がどう関わり、どう戦ったかを描いた内容です。
 非道い冤罪事件って、日本でもよく起きていますが…このドレフェス事件も、理不尽で非情すぎます。当事者や家族にとっては、たまったもんじゃない災難。いきなり身に覚えのない罪を着せられ、劣悪な流刑地の牢獄に長い間閉じ込められてしまうなんて、想像しただけでゾっとします。ドレフェスがスパイ容疑をかけられる経緯が、これまた杜撰というか超テキトーだったのも戦慄。あんな風にいとも簡単に無慈悲に、他人の人生をメチャクチャにするなんて。自分の利益のためや保身のために、部下を犠牲にすることも厭わない軍のお偉いさんたちに、こんな上司ぜったいイヤー!でも、いるよな~と、組織の中で生きてる者にとしては他人事ではない恐怖を覚えました。

 エミール・ゾラって、名前は知ってるけどどんな作品を書いたのかと訊かれたら、パっと出てこない作家。映画にもなった「居酒屋」とか「ジェルミナル」「嘆きのテレーズ」の原作者なんですね。画家セザンヌと親友同士だったというのも、へぇトレビア!でした。理不尽なドレフェス事件に義憤を燃やし、世論を動かして法廷闘争に持ち込むゾラの、バイタリティと気骨あふれる人柄が、魅力的に描かれています。若き日のビンボー生活が、いきいきとコミカル。若い人はやっぱ夢や意欲を持ってないといけませんね。大作家になっても気さくで元気いっぱい、お金も名誉も大好きな俗っぽさも人間的で好感。俗世を嫌う親友のセザンヌとの別離に、ちょっとしんみりしてしまいました。創作スタイルにも裁判にも、不屈の信念と闘志を貫くゾラですが…え!?な最期に唖然。あっけな~…偉人って必ずしも、ドラマティックな人生の幕引きをするわけではないのですね。
 ゾラを熱演したのは、30年代に活躍した伝説の名優、ポール・ムニ。

 私、古き佳き時代のハリウッドの女優は大好きなのですが、男優はあまり心惹かれないんですよね~。美男が多いけど、その美しさが何か不自然というか、作り物っぽすぎるというか。日本の美男系でも松じゅんとか成宮とか、メイクばっちり男って苦手なんですよ。女優はいいのだけど、男優はね~…その点、ポール・ムニはそんなにメイクばっちり感がなく、今の時代の俳優っぽいというか、リアルで自然。美しく見せるメイク感はないけど、役に化けるための特殊メイクは入念。そこが百花繚乱の美男がひしめく時代のハリウッドの中で、独特の個性と魅力にもなっているのではないでしょうか。もちろん、すごく男前です。そして、演技も素晴らしかった!若かりし頃は、ちょっと内気で夢見る青年って感じで可愛く、大成した老境は自信たっぷりの貫禄と威厳。有名な『我、糾弾す』の演説シーンと、法廷での独演シーンは、元は舞台で名を馳せたというだけあって、圧巻のひとり芝居。あの長い台詞を、怒涛かつ流麗に、朗々と淀みなく、エモーショナルにこなせるなんて、役者さんってほんとスゴいわ~と畏怖せずにはいられません。すっかりポール・ムニのファンになってしまったので、彼の他の作品も観たい!調べてみると、出演作は少なくて早々と引退してしまったみたいですね。
 古~い映画ですが、睡眠誘導的まったりゆったりムードでも展開でもなく、なかなか劇的にスピーディに物語は進むので、ぜんぜん退屈しませんでした。当時のパリの世情やファッションも興味深かったです。モノクロも返って新鮮。不正に立ち向かい、苦難の果てに巨悪をギャフンと言わせる痛快逆転劇は、いかにもアメリカ人が好きそうな内容。そのせいか、舞台はパリで登場人物はフランス人なのに、みんなアメリカ人に見えて仕方なかった。まあ、ハリウッドの俳優が英語で演じてるアメリカ映画なので、仕方ないことですが
コメント
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