まつたけ秘帖

徒然なるままmy daily & cinema,TV drama,カープ日記

殺し方は憶えてる

2019-06-12 | 韓国映画
 「殺人者の記憶法」
 アルツハイマーを発症した獣医のビョンスはかつて、世間にはびこるクズどもを抹殺する殺人鬼という裏の顔があった。新たに連続殺人事件が発生し、その犯人が警察官のテジュであることにビョンスは気づくが…
 認知症の殺人鬼VS新殺人鬼という、かつてないようなユニークな設定でした。記憶を失う主人公の犯罪映画といえば、クリストファー・ノーラン監督の「メメント」を思い出します。韓流ならではの猟奇殺人映画なのですが、陰惨悲惨な中に何かちょっと笑ってしまうユーモアもあったりして、そういうところも面白かったです。娘を狙うテジュを、先手を打って始末しようとするビョンスが、そのつど記憶を失って失敗、の繰り返しがコントみたいで笑えた。老体にムチ打って、殺人鬼との対決に張り切る姿も滑稽。娘とテジュのデート先である映画館に乗り込んだはいいが、目的を忘れていつの間にか席に座って隣の客のポップコーンを食べながら映画観て爆笑してるシーンが特に笑えた。テジュに陥れられ、しだいに過去も現実も?!!?なカオス状態になっていく展開も、先が読めず退屈させません。

 ボイスレコーダーが小道具として巧みに使われていました。ラストの血みどろな死闘とか、殺し方や死体の扱いなどの生々しさ酷さは、まさに韓流猟奇殺人ものならでは。韓流猟奇殺人映画を観て私がいつも怖いな~と戦慄してしまうのは、韓国の貧しい地域の夜道です。とても現代の光景とは思えないほど、深く濃ゆい闇。まさに冥界に引きずりこまれそうな暗さ。あんなところ、独りでは絶対に歩けません。鬼畜すぎる虐待や無能で杜撰な警察など、この国ならフツーのことなんだろうなと思ってしまう韓国、その民度の低さこそ猟奇的です。

 認知症、殺人鬼、どっちかだけでも怖いのに、その二つの合体という前代未聞な役を怪演したのは、「あいつの声」や「監視者たち」などの名優ソル・ギョング。基本、いぶし銀のシブい熟年であるギョング氏ですが、今回は骸骨みたいに痩せ細り涸れ果て、まさに死人のような風貌と雰囲気。

 しぼりだすような苦しげな声は、聞く者の胸ををザワザワさせます。焦点がさだまってない虚ろな目が、テジュへの殺意や殺人衝動でギラギラメラメラと燃える異常さ異様さときたら。大真面目に深刻に演じてる反面、イカレすぎて笑える、それを狙ってもいるギョング氏の名演でした。こんなにも鬼気迫る不吉さ、そして悲しさで観客を圧倒できる俳優、日本には今いません。
 テジュ役は、久々に見たキム・ナムギル。売れっ子になってからはすっかり二枚目路線でしたが、今回はサイコ役で新境地。

 もともと冷酷顔なので、異常者役がなかなかハマってました。役作りでちょっと太った彼、懐かしのドラマ「グッバイ・ソロ」のジアンを思い出させました。キム・ナムギルといえば、私にとっては今も昔もグッバイ・ソロのジアンです。ヌオオ~っと大柄なので、迫力や威圧感があって怖い。日本のイケメン俳優だと私でも戦ったら勝てそうだもんね。テジュが殺人鬼になった理由、そしておぞましい身体的秘密も激ヤバでした。警察署長役で、売れっ子オ・ダルスが出演してます。相変わらずのコメディリリーフ的存在。
 この映画、日本でリメイクしたら、理想妄想イルボンキャストはこうだ!
  ビョンス ・・・ 内野聖陽
  テジュ ・・・ 向井理
 ソル・ギョングとウッチーって、何となくカブるんですよね~。ビョンス役には若すぎるけど、老けメイクで熱演してほしい。優しそう、でも実は冷酷で悪賢い役、は向井理のオハコ。捨て身の狂気演技には期待できないけど…

 


 
コメント (7)
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